間章その一『星波学園の人々』34
★美羽★
慌ててコウリュウに乗り換えると、直に二度目の鐘が鳴った。
だけど、みんな夜衣斗さんが動かない事に疑念を持ったのか、誰も動かない。
……これは、チャンス?
急いで夜衣斗さんの下にコウリュウを向かわせると、私達の動きに気付いたみたいで、一気にみんなが夜衣斗さんの下に殺到し始め………それでも微動だにしなかった夜衣斗さんが唐突に消えちゃった!?
ええ!?どう言う……って、夜衣斗さんが消えた場所に、小型の円盤が浮いてるから……さっきまでいたのって、サーバント?……うわ……凄すぎ夜衣斗さん………それにしても、いつの間に代わってたんだろう?
そう思っていると、学園大門の上空に、別の小型円盤があるのに気付いた。
尖った角みたいなのが二つ付いていて、大きなレンズが一つ付いている小型円盤で………また新しいサーバントかな?
今度はどんなサーバントだろう?
なんて思いながらそのサーバントに近付き、ツンツンと突くと、困った様とジグザグに飛び出すサーバント。
………それにしても、夜衣斗さんって、どれだけの種類のサーバントを考えているんだろう?
★夜衣斗★
……………どうやら上手くいったみたいだな。
目の前の空間に映し出される学園大門の映像に、俺は思わずにやりとしてしまった。
俺の前には無数のレンズが付いた小型円盤『リフレクションサーバント』がいて、そこから学園大門の映像が俺の眼前の空間に映し出されている。
その映像は、学園大門の上空で浮遊している『スカウトサーバント(尖った突起が二つ付き、大きなレンズが一つ付いた小型円盤)』からリフレクションサーバントに送られてくる映像で………なんだか今、映像が動いたな……誰かに悪戯されたか?………まあ、問題ないか。
そして、俺の頭の上にはステルスサーバントが浮遊しており、ゆっくりと歩いて高校棟に向かう俺の姿を隠していた。
実は、家を出る前からステルスサーバントを使って姿を消しており、俺の姿にしたドッペルサーバントの後ろを付いて登校していた。っで、一回目の鐘が鳴ると同時に、俺は音を発てない様にそろりそろりとその場を離れ、普通に登校している。と言うわけだ。
ちなみにオウキは具現化していない。
昨日の夜。青葉さんが帰った後に、0.5化をヒントに思い付いた事を試した。
それが、今している『部分具現化』。
そして、オウキ本体の一部の具現化は上手くいかなかったが、今具現化している『サーバントの様なオウキの装備なら具現化出来る』事が分かった。しかも、俺が普通に使える大きさの0.5化の状態で具現化する事も出来た(だから、今、具現化中のサーバントは通常より一回り小さい)。
0.5化は、普通の具現化より具現化体積が少ないせいか、意志力の消費が低く感じられて、いくらでも具現化できそうだった。まあ、『今は』そんなに大量に出す意味はないが………。
それにしても………なんだか気分がいいな……。
……何と言うか、こう、俺が考えた通りに物事が運ぶ事って、この町に来る前まで俺の記憶の中にない。
だからか、妙に気分がいい。
………まあ、今回は、命の掛かった状況下でもないから、よりそう感じるんだろうが…………ってなんだありゃ?
俺が気分の良さ浸りながら高校棟近くまで来ると、高校校門の前に……何故か、メイド二人と執事二人がいて………これまた何故か、睨み合っていた。