間章その一『星波学園の人々』27
★夜衣斗★
「ところで夜衣斗君。君はどこの部活に入るつもりなの?」
学園大橋をゆっくりと歩きながら、団長がそんな質問をしてきた。
俺は首を横に振って答える。
「あら?じゃあ、同好会?」
当然、これにも首を横に振る。
「……そっか、逆鬼ごっこに挑戦するんだ」
そう言って、困った様に苦笑する団長。
「夜衣斗君は一昨日昨日で有名になっちゃたからね……ほとんどの部活・同好会に狙われるじゃないかな?」
……でしょうね。
「……だとすると大変だよ?四月だったら、まだ他にも逆鬼ごっこにチャレンジしている武霊使いはいただろうけど……今は夜衣斗君一人だものねぇ……」
……まあ、タイミングが悪いのは、いつもの事だが……ついため息が出てしまい、団長に苦笑された。
「でも、逆にその状況を利用すれば、上手く逃げられるかもしれないよ?」
…………なるほど、確かに複数の部活・同好会が俺を狙うなら、当然そいつら同士の邪魔し合いも発生する。それに、競争密集度も高いとすれば…………ふむふむ。思ったほど勝率ありそうだな……。
「あ!でも、逆鬼ごっこ終了二日前は注意してね」
唐突に思い出したかの様にそう言われ、首を傾げる俺。
「多分、明日説明があると思うけど、逆鬼ごっこに武装風紀も参戦してくるから、気を付けてね」
………。
「彼ら、個々の武霊能力が高い上に、連携がどこの部活・同好会よりも出来ているはずだから」
マジですか………ってか、何だか団長、妙に詳しくないか?………
そう思って少し首を傾げると、それに気付いた団長は微笑んだ。
「私が作ったのよ生徒校則」
は?作った?……おお!?って事は、団長が、初代統合生徒会長?マジですか!?
「しかも、自警団もほとんど私が作ったようなものなのよ」
ちょっと自慢げに言う団長。
いや、まあ、凄いっちゃ凄いな………なるほど、何でさっき人だかりが出来ていたか、その理由が分かった。そんだけの事をしたなら、自警団でも星波学園側に人気がある………そう言えば、統合生徒会と自警団って微妙に仲が悪いんじゃなかったけ?
「……まあ、でも、作った当時は、自警団と生徒会が微妙な関係になるとは思いもしなかったんだけどねぇ……」
そう言って、ため息を吐いた団長。
ん〜多分、団長は、自警団と生徒会の板挟み状態で、大変なんだろうなぁ………まあ、俺には関係なし、どうする事も出来ないからなぁ〜………