プロローグ10
再び気が付くと、俺は玄関前に戻っていた。
事態は進展も好転もしておらず、骸骨犬達に囲まれ、男性は地面に倒れて血を流していた。
ただ一つ違うのは、俺の前に鋭角的な騎士甲冑……オウキが立っていた。
多分、突然現れたであろうオウキを警戒する骸骨犬達。
(少しだけ、教えて上げる)
またどこからともなくサヤの声が聞こえてきた。
サヤの言葉通りなら、俺の心の中からという事になるが……よそう。今は目の前の事だけに集中しなくては……。
(オウキはね。『自分の意思』をちゃんと持ってるの。でも、あなたの命令無しでは、攻撃できない『仕様』になっている。だから、命令して。どうして欲しいか、心に強く思い描きながら。そうすれば、オウキは答えてくれるから)
そう言われてもな………
(じゃあ、がんばってね)
な!ちょ!ちょっと!?
そう言うと、サヤはこちらの呼びかけても何も言わなくなった。……なんなんだか。
俺は戸惑いながら、俺の中にあるオウキのイメージを思い浮かべる。オウキが、俺の考えたオウキなら、現状でこれが最も使える機能なはず。
「オウキ。セレクト。冷凍弾装填。二丁拳銃」
俺の命令に、それまでピクリとも動かなかったオウキが、両腕を骸骨犬達に瞬時に向ける。
その瞬間、腕の内側が開き、二丁拳銃が飛び出して、オウキの両手に収まった。
その動きに、骸骨犬達が反応し、一斉に飛び掛かってくる。オウキのみならず、俺に対してもだ。
恐怖に固まる前に、俺の口は「撃て」と口にする事が出来た。
命令を受けたオウキは、素早く、正確に二丁拳銃を連射する。
凄まじい銃声の連続に、耳が痛くなるが、放たれた弾丸は狙いたがわず、全て骸骨犬に着弾した。瞬間、骸骨犬達は白い煙に包まれ、煙が消えた時には、炎が消えて、『氷漬け』なって次々と地面に転がった。
冷凍弾は、その名の通り、弾丸に着弾した相手を瞬時に凍らすガスが入っている弾丸……と言う想像をしていた。……本当に、俺の想像した通りのオウキの様だ。……驚きと喜びともう心の中はぐちゃぐちゃだ。……まあ、これで一応、何とかなった…んだよな?
その疑心が浮かぶとほぼ同じタイミングで、凍った骸骨犬の一体から炎が噴き出した。
ああ!やっぱり。
なんとなくそんな気がしていたので、あまり驚かなかったが……。
俺の見ている前で、次々と凍った骸骨犬達が炎を吹き出し、ゆっくりと立ち上がり始めた。




