緑のリゾット
シドは食事を運ぶようエルザ神官に頼まれたらしい。届け先がロイを訪ねてきたちびっこだと聞いて驚いた、と彼は笑っていた。
「お、おいしすぎるぅ…」
エリーはあまりの美味しさにふにゃふにゃな顔になる。神殿ではよくあるメニューであんまり評判はよくないが、消化にはいいから、と言って差し出されたのは木の皿に入ったリゾットだった。緑色なのは、薬草を刻んで米と一緒に炊いたからで、鶏肉も入っている。上に乗ってるのは、木の実を小さく砕いて空炒りしたやつ。薬草の匂いが独特だから、好き嫌いが分かれる。シドは丁寧に説明してくれたが、エリーは美味しさを噛みしめるのに必死だったので、こくこくと首だけ動かしながら、食べるのに集中していた。
「お、ちびっこも気に入ったのか、これ?」
空になった皿をやけに嬉しそうに眺めてシドは言う。
「これ、作りやすいし滋養あるしで、よく出てくるんだけど、好きなやつ、少数派なんだよ…」
「そうなのですか?わたしはお米が出てくるだけで万々歳ですのに」
ううっ、もうちょっと食べたかった…。エリーは名残惜しげに皿をみる。
「まあ、神殿にいりゃ、これが出てくる日は多いし、苦手なやつが寄越してくるから、もっと食べられらぞ」
ほほう。エリーは目が光る。これはいいことを聞いた。神殿にいれば、緑のリゾットはいっぱい食べられると!
「なあちびっこ」
「エリーです」
ロイ神官たちが戻ってくるまでエリーのお守りをすることになっているから、とシドは部屋に居座った。特にすることもないらしくエリーに話しかけてきたが、呼び方が気に入らん。エリーはすかさず訂正を入れる。
「そっか、俺はシドだ。いや、そうじゃなくてお前、神官見習いになるってホントか?」
「よく分かりません。さんざん歳を確認されて…これから説明ってところで皆お祈りに」
んー?とシドは首を傾げ、あっと思いついたように、エリーを見る。
「もしかしてエリー、お前『神の子供』?」
「『神の子供』?」
大層な名が出てきて、エリーは目を丸くする。聞いたこともないが、エリーの父母は人だったはずだ。神さまではない。
「そうそう。…まさか、知らないのか?」
神官見習いになるなら、それくらい知っとけ、説明してやろう。シドが話はとても長く、エルザ神官が戻ってくるまで続き、エリーはシドにはもう二度とものを聞くまいと決意した。