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エルザ神官の質問

結局部屋に残ったのは、エリーとエルザ神官とロイだけだった。エルザ神官は長くなりますから、と言って、部屋の隅に置いてあった古い木の椅子を2つ持ってきた。ロイが座り、エルザ神官も座る。ちなみにエリーはベッドに座ったままである。昨日の夜からほとんど食べていないので立てと言われても無理なのだが。

「聞きたいことも多いでしょうが、まずこちらから質問いたします。貴女の見かけはとても17歳には見えません。まず、年齢は本当に間違いありませんか?」

エリーは泣きたいのを堪えて答える。

「間違いないです。10年前、わたしはこの神殿で真名式を受けている。記録があるはずです」

「そうですか。後で確認させます。では次。貴女が同い年の者たちと成長に差があると感じ始めたのは?」

エリーは思い出すように目をつぶる。

「確か、真名式の時はドラより身長は高かった。でも、エドとルドヴィラの結婚式の時、お前は3つ下の子みたいにチビだって言われて…」

「ドラ?」

「村長の息子です。ドラ息子だから、ドラ。同い年なのです」

3つ下の子よりチビだと言われたのは14歳の時だ。その結構前からあまり村の祭りごとに参加していなかったから、皆と比べて自分が極端に成長してないなんて気づいてなくてショックを受けたものだった。それ以来、村の大人たちに大きくなる方法を聞いては、牛乳を飲んだり、背伸びしたり、木にぶら下がったりしてみたのだが、全て徒労に終わった。落ち込みながら話すとエルザ神官はふむ、と頷いた。

「では、貴女の成長が止まった、或いは著しく遅くなったのは10前後でしょう。真名式の後、つまり7歳から10歳ほどまでの間に何か大きな事件はありませんでしたか?」

「両親が、亡くなっています。9歳のとき。あと、その直後1月、わたしはずっと眠っていたと、皆が言ってました」

エルザ神官は妙な顔をした。

「親の死がきっかけになるというのはよくあることですが…、眠っていたとは?」

「わたしもよく分かりません。でも村の人達がそうだって」


その後、夕べの祈りの時間を知らせる鐘まで質問は続き、ロイとエルザ神官は祈りのために一度大聖堂に向かった。エルザ神官はエリーが食べていないことをしっかり覚えてくれていたようで、誰かに食べ物を持ってこさせるから、立ち上がらずにここでお待ちなさい、と言って去っていった。エリーは一度ベッドに横になり、天井を見上げる。就活は結局のところ上手くいったのだろうか?正直エリーの体では、年齢に見合った職は難しい。だから神殿を目指したというのに、何やら厄介ごとの気配がする。エリーは後悔していた。また迷惑をかけてしまうことになるがメヌエ村に戻ろうか?もしかしたら、遅い成長期が来るかもしれないし…。そう考えながらうつらうつらしていると、ドアからノックの音が聞こえた。ごはんだ!エリーは飛び起きる。どうぞ!と言うより先に扉が開く。

「あ、門番さん!」

割りと親切でロイよりも強い門番のシドはエリーを見て呆れたように笑った。

「また会ったな、ちびっこ」

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