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掟と年齢

エルザ神官の話は簡潔で分かりやすかった。神官見習い、とその場を逃れるためにロイは軽く言っていたが、全く適当なものである。これは騙される寸前だったと言ってもいいだろう!エリーは説明をしてくれたエルザ神官に感謝する。

「つまり、神官見習いになっても、18歳までに神官になれなければ、神殿から出てかなきゃいけないってこと?…ですか?」

確認するようにエルザ神官を見上げると彼女は厳かに頷く。

「ええ。たいていは見習いになって5年も経てば、神官になれるかどうか、周りのものも、自分もはっきり分かるようになります。適性がなかったと知り、早々に神殿を去るものも多い」

そこでエルザ神官はエリーを静かに見つめる。

「エリー。貴女に神官への適性があるか、わたくしには分かりません。ロイさまが連れてきたということはなにがしかの才能はあるのでしょう。しかし、わたくしは正直認められません」

エリーは神妙に頷き、口を開いた。

「…ええ。わたしもそう思います。そもそもわたしは衣食住の確保のために下働きに応募しに来たのです。神官を目指してはいないのです」

お祈りの最中に寝てしまうなら適性はゼロだろう。これは早々に諦めて次の職を探したほうがいい。神官見習いを勤めたところで、何かしら技能が身につくなら話は別だが。

「それに、適性を見極めるのが18歳までなら、わたしには時間がありません」

エリーがそう言うと、空気が固まる。皆が黙ってしまい、不思議に思ったエリーが顔を上げると、エルザ神官を始め、神官たちは目を丸くして自分を見つめている。しばらく沈黙が続き、エルザ神官が我に返ったように咳払いをして、エリーに尋ねた。

「エリー。今の言い方ですと、貴方がもうすぐ18歳になるかのようですよ」

「あ、はい。わたし、半年後に18歳です」

再び部屋に沈黙が訪れ、その後神官たちが大騒ぎを始めたのをエリーは不思議そうに眺めていた。

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