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「このままではダメだ……働きたくない……」

「このままではダメだ……働きたくない……」

 深夜の自室、青年は焦っていた。それはおそらく”生存の恐怖”からくる焦りだった。青年は生きることに苦しさを感じしていた。肉体的、精神的苦痛を感じていた。その発端はなにか。それは大抵仕事だった。眠いのに起き、寒いのに出かけ、しんどいのに働き、失敗して怒られ、またそういう1日が始まる、ずっとそういう毎日が続くと想像し、肉体と精神が傷んできた。ゆえに働きたくなかった。


「しかし、働かなければ……」青年は思った。飢え、満足に食べられない生活を。寒さに震える生活を。味方のいない世界で怯える生活を。病気になって苦しみながら死に向かう生活を。それらもまた肉体的、精神的苦痛に満ちた生活であるように思えた。ゆえに働くしかなかった。


「だから……」だから、”このままではダメ”なのだ。働くしかないなら、働くことから苦痛を取り除くしかない。それはおそらく環境や他人ではなく自分自身をどうにかすることで解決する問題なのだ。もっと言えば、自分の精神が変われば解決する問題なのだ。青年はそう思った。


「精神を変えるには……」青年の思考はここで行き詰った。それはいつものことでもあった。これまでの過程は何度となく繰り返され、問題は解決することなく、いつもの毎日が始まり、肉体と精神はすり減らされ、数日の間中断された思考は時間と共に振り出しに戻っているようなのだった。これは何回目のループだろうか。僅かにも上昇している螺旋なのだろうか。

 深夜、青年は考える気力を、自分を見つめる気力を失いかけていた。

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