第3話 出会いはありますか?
まさかの5個目!!
誤字・脱字があればご報告よろしくお願いします!!
俺が異世界に飛ばされてから恐らく、たったの2時間くらいだがその時間内でいろいろなことがあり、大変な1日となっていた。
(普通なら、今から転校先の学校に行って書類書いてから家でだらけるつもりだったのにな〜)
俺は内心で溜息を吐きながら道に沿って歩いていく。
しばらく、歩いたとこで俺は少し違和感を覚えた。
俺はそれから少し歩いたところで異変に気が付いた!!そう、盗賊らしき人物たちが鎧を纏った護衛?の後ろにいる女の子を襲っていた。
「…そこの嬢ちゃんさっさとそこの馬車と有り金そしてあんたを置いて他の奴らを逃がしな!!」
「ひ、姫様こんな奴らの話をーゴフッ……!!」
護衛が聞く必要性はないと言おうとしたところでその護衛が盗賊に切られていた。
ありゃあ、既に事切れてもおかしくない傷だな。
「止めなさい! その人たちに危害を加えないで! 私はどうなってもいいからこの人たちに酷いことしないでください……」
女の子が俯き気味になって盗賊に降参の意思を伝えた。
それを盗賊のおそらくリーダー(ガチムチ)がその言葉を聞きニヤリっと口を歪ませる。
「野郎ども!! 聞いたか!! これで俺たちは億万長者だ!!」
その言葉のあとに盗賊たちは雄叫びを上げ喜んでいた。
キモチワリィ顔だな。
率直に思った。
「ひ、姫様……」
致命傷を受けている護衛が苦しそうにしながらも女の子に話しかける。
女の子はそれを応えるためにできるだけ微笑みかけていた……
自分を押し殺し、他人の為に命を張る女の子の心境は恐ろしくて仕方がないのに、他の人間に悟られまいと明るく振舞っているのだ。
「気にしないで、あなた達は今までよくやってくれました。今回の事は、すべて、私の責任です。なのであなたたちはあなたたちが今やるべきことをしなさい」
護衛たちは俯きながら悔しそうにしている。
俺はそれを見てしまった。
女の子が健気に微笑みかけている中で足や肩は恐怖でガタガタなところを……
俺はそれを見てしまった。
下唇を強く噛み締めて、恐怖という感情を殺して、涙すら見せない女の子の強い精神力を……
……きっと、いや、確実に、辛いに決まっている。
自らを犠牲にして他者を救う“決意”が軽いものでないことは俺自身がよく分かっている。
本心では、自分の気持ちを曝け出して、今すぐ、この場から逃げ出したいのだろう。
だが、それをしないのは、同じく、自分の為に命を張って護ろうとしてくれた護衛たちが天秤にかけられているから。
だから、この場で自分が護衛を見捨てれば、彼奴らは何の慈悲も、反抗も許さずに殺す。
それだけは、女の子は避けたかった。
護衛が付いているということは、其れなりの名の通った人なのかもしれない。
なら、普通ならば、女の子は真っ先に逃げなければならない。
だが、定石とか、教科書的な行動などに、心は無い。
マニュアル通りの動きは、適切ではあるが、人の心を無視して作られたもの。
所詮は、一時の感情に流されないためにあるもの。
そして、それは彼女の“決意”には必要なかったということだ。
ーー希望はなく。 夢もなく。 大切だったものは、闇に消えたーー
ーー失うモノは既になく。 進むべき道は、失ってから初めて気がついたーー
……だからかもしれない。
俺は、勝手に、女の子と昔の俺が被る。
教科書やマニュアルや決められたルールなんて、どうでもいい。
助けられるなら、人の為になるならばと、己を犠牲にしても護ってみせる。
そう言って、血反吐を吐いていた俺と、現状の高潔な女の子と被ったのだ。
……本当は素通りコースだったんだけどな。なんかスイッチ入ったし、一丁殺るか!!
俺が一歩また一歩とその現場に向かう。
それに気がついた盗賊と女の子がこちらを見る。
「おい、小僧。 なんか用か……?」
男は、突然、真っ直ぐ向かってきた俺に向かって、警戒した様子で尋ねてきた。
「……」
だが、俺はクソ野郎の問いかけには応じず、女の子の元へ一直線へ進む。
そして、俺が彼女に、決定事項であることを確認する。
「……こいつら殺してもいい?」
「えっ?」
女の子がそう呟いた瞬間、盗賊たちがブチッと何かが切れた音がした。
無理もない。
自分の問いかけには応じずにスルーして、更には、目の前の少女に勝利宣言を投げかけたのだ。 無駄にプライドの高い盗賊風情の逆鱗に触れないはずもない。
リーダーが周りの盗賊に命令を下す。
「殺れっ!!」
その掛け声と共に25名の盗賊が俺に向かってサーベルを掲げ突っ込む。
「クソ小僧!! 死ねやコラァッ!!」
「ふっ!!」
叫びながら突っ込んできた盗賊3名に狙いを定めて、腰に付けてある刀を抜きの太刀で一閃!!
その一瞬で肉と骨をたつ生々しい感触を覚えながらも力を緩めない。
次には、血飛沫を上げる間もなく相手の首と胴体が真っ二つになる。
その一太刀に巻き込まれた2人も腹を切られ胃物を吹き出し息を止める。
「そ、そんな馬鹿なっ!!」
その様子を見ていたリーダーらしき男からそんな言葉が出てくる。
それは、戦いで言ってはいけないシリーズの一つですよと心の中でツッコんでおく。
てか、この世界でフラグって言葉が伝わるんだろうか?
そんな事は置いておいて……
まぁ、声に出してもいいが、戦いにおいて、言葉は不要ということで切り捨てておいた。
そんなことよりも、相手にシッカリと恐怖を与えるために、インパクトの強い殺し方をしたけど、女の子達にもインパクトを与えすぎたかもしれないと、少し後悔したが、今はそんな事はどうでもいい。
大事なのは、こいつらに二度と、関わりを保たせない為に、今の内に恐怖を刷り込んでおくこと。
トラウマをどれだけ植え付けるかが重要になるのだから。
ま、全員殺しちまえば無駄になるけどな。
心の中で苦笑する。
俺は嗤い顔を作り、盗賊たちに刀の切っ先をつきつける。
盗賊たちは、先程の一撃を見て、たじろいでいる。
中には、顔を真っ青にして俺を見ているものですらいる。
余程のバカは、俺との戦力差を測れずに、未だ敵意を抑えようともせず、むしろ、殺られた同胞の仇のように睨んでくる。
いやいや、履き違えるなよ?
お前たちが最初に手を出してきたんだ。
俺の敵となった以上は、タダで済ますどころか、生きていることすらも後悔させるようにシッカリと殺してやる。
「っ!!」
「「「……っ!?!?」」」
強い殺気が放たれ、あたり一帯にビリビリとした空気が流れる。
体が硬直し、思うような思考が出来ない様子を見せる盗賊達。
女の子も俺の殺気に充てられているがシッカリと意識は保っている。
余程の修羅場を潜ってきているのかもしれないと考えたが、ここは地球とは違う。
地球での基準とコッチでの基準がわからない以上、彼女が平均より上かどうかなんて測りようもない。
「次、誰かな?」
俺は嗤いながら、盗賊たち相手に尋ねた。
これは、意思表示。
これ以上、手を出さないというのなら、追いはしない。 だが、戦うというのならーー
しかし……
「「「……っ」」」
如何やら、全員が覚悟を決めた様子でサーベルや短剣を構える。
魔法使いみたいな存在は確認されていない。
それでも、全員が逃げることなどせず、油断も隙もない隊形で俺たちを囲うように得物を構える。
それは、まるで、蛇がジワジワと体力を奪って、ウサギを丸呑みする時のようだ。
チームワークは高い。
連携も取れる。
個人で勝てないことを認識しており、洗練された集団戦闘で戦う。
かなりの手練れである。
それでもーー
「……仕方ないな、人数も多いしまとめて片付けてやるよ」
俺はそう言って刀を鞘に収める。
だがそれは攻撃をやめた訳ではない。
むしろ、これこそが俺達が代々受け継いできた伝統の型。
本領が発揮できる最高の形だ。
しかし、相手はそれを見て少し安堵の息を漏らしたのちに、一斉に俺に再び襲いかかってきた。
「「「ウォォォォォォッ!!」」」
激しい怒号!!
雄叫びはあたり一帯に広がり、まるで地響きを起こすかと思う程の声量だ。
全員から放たれているから当然といえば、同然である。
だから、俺はこのタイミングを待っていた。
口角を吊り上げて、勝利を確信した。
相手は、俺を格上と見て、全員同時攻撃の策を打ってきた。
それは、マニュアル通り。 教科書通りの完璧な対応だ。
一対一で敵わなくとも、多勢に無勢。
数で押し切れば問題ないのだから、当然といえば当然である。
そう、だから分かるのだ。
相手の行動が一番読みやすく、対応しやすいモノが来ると確信していたのだ。
「ーー宮部火神流 剣術 奥伝ーー」
全て敵の位置が俺の間合いに入るまで溜める、溜める、溜めるーー
目を閉じ、集中。
敵が、何人か俺の間合いに入る。
だが、まだ全員じゃない。
まだ、まだ、まだだ……
時がゆっくりと流れる。
アドレナリンが飛び出ており、体内時計までも狂うかと思うほど集中力を研ぎ澄ませる。
失敗すれば、死ぬのは俺。
俺が死ねば、女の子たちも死ぬ。
それだけは避けろ!! 自らの限界を超えろ!!
勝ち取れ!! 数瞬後の生存を!!
そして、放つ!!
「ーー“炎月斬”っ!!」
その技は、炎のように揺らめきながらも、月のように綺麗な弧を描き、斬り裂く、ーー宮部火神流ーーの奥伝の一つ。
その技は俺の間合いに入ったもの(敵に限り)を360度全てを、斬り裂く幻炎の一刀である。
かの、最強の剣豪である、佐々木小次郎の【燕返し】と同格の剣技。
……と爺ちゃんが言っていた。
ま、ほんとかどうかはわからない。
だって、比べようにも相手は既にいない。
その技を受け継いだものは一人もいない。
だが、たとえ其れが比喩表現だとしても、簡単に相手の命を消せる型だ。
すなわち、盗賊たちは皆仲良く全滅した。
勿論、悲鳴などをあげさせることもしない。
訪れるのは静寂。
その様子を全て見ていた。唖然した女の子は俺を見てこう呟き、それが何時までも俺の耳に残った。
「……剣聖様」
「……はぁっ?」
俺は思わず聞き返し、そして、今度はコッチが呆気に取られることとなった。
フラグ立ったのかな?
作者出る幕無かったなー!!
今回はシリアスだったのでほのぼのに戻ります!!
誤字・脱字があればよろしくお願いします!!