表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/4

湖の向こう側に見えるのは・・・



「どこから来たの?」


その子は私に尋ねかけてきた。

私は、この子がこの町の子だから、初めてみる私がよその町から来た子だと思っているのかな?と察した。


「私はね、遠くから来たの。

今はこの町まで遊びにきてるの。」


「じゃあ、いつまでいるの?」


「そうね、明後日くらいまでかしら?」


私はただ、親に連れられて一時この町まで来ているのだけれど、いつ向こうに帰るのかは詳しく聞かされてなかった。


「じゃあ、帰るまでボクと遊ばない?」


急にこの子は、そんなふうに言ってきた。

私は、一緒に遊びたいという思いと、仲良くなれるかな、という思いをこの時感じた。

それに、何日かしたらここを離れることになるから、しばらくの間、一緒に遊んでもいいんじゃないか、とそう思った。


「・・・うん、いいよ!」


私は、オーケーの返事をした。


「やった!」


その子は、本当に嬉しそうにそう言って、肩を並べるように近づいてきた。


「どこに行ってるの?」

「特に行く場所とかは決めてないの、散歩してるの。」


そうして、私たちは知り合い、友達になった。


その日の夕方、太陽が傾き空が夕焼け色になってきた頃、私たちは明日また遊ぶ約束をしてそれぞれの帰り道を歩いていった。

私は帰る途中、あの男の子と出会った湖沿いの道を歩いているとき、湖の方を眺めながら今日の出来事を思い返していた。

私はあの時、自分でも驚くくらい自然にあの子と会話をした。

それまでは、初対面の人や、知らない人が話しかけてきても、あまり上手く返事を返すことはできなかった。

今日、あの子と会ったことは、何がしかの私の変化を感じさせた。


そんなことを思っていると、湖の向こう岸から分かるか分からないかといったほんとに細やかな、何かキラリと光ったのを見た。

私はそのキラリとしたものが気になって、向こう岸までぐるっと長い道を歩いていった。


ちょうど、見えたかなと思った当たりまで来たとき、道から外れて湖のそばへと行くように下っていった。

足場は、岩がところどころに見える、しっとりとした土でできており、杉のような木が並んでいた。


木に手をついて支えながら下りていくと、観葉植物のような生い茂った植物がある中で、ちょっと開けた所にそのキラリと光ったものの正体を知った。


それは、私の胸あたりまである、岩に嵌め込まれた綺麗な結晶が、湖に反射した光とともに、夕日に反射して輝いていた。

水晶?クリスタルというのだろうか、その結晶は、人目に付かないこのような所でひっそりと、それでも健気に主張していた。


私は、見つけたその水晶とこの場所が、目に入った途端に好きになっていた。

それほど、水面に反射した光と、水晶の光が交差するこの場所が綺麗だったから。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ