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「え、掃除?なんで俺が……」
「なんでじゃねーよ。お前そろそろ勉強しろよ……何日お前の再テストに付き合わなきゃならねえんだ。今日、俺は忙しいの。教室の掃除でもしとけって。」
そう言って担任からバケツと雑巾が渡される。
めんどくさ。
まぁ、入学初日のテストで最低点とって再テスト受けるが、ことごとく不合格になる俺が悪いんだが。
あれからもう1週間かー早いなー。
「わかりました。しゃーなしやってあげます。」
「……もうちょっと言い方あるだろ?」
「あんたに言われたくないです。」
「はいはい。掃除に行った行った。」
俺が職員室から教室に帰ってくると誰もいなかった。
放課後だけども、みんな帰るの早くない?
誰か居たら手伝わせようと思っていたのがばれたのだろうか。
しかたない、掃除するか。
ーーーーーーー
掃き掃除も拭き掃除もしたし、机も並べたし大丈夫のはず。
「終わったー。あーめんどくさかったー。」
ふと外を見ると暗くなってきていた。
「やばいやばい、早く帰ろーっと。」
雑巾を洗うためバケツを持って手洗い場まで走る。
「えーと、水道どこだっけえっ!?わっこける!!!?」
何かにつまずいたと思った時にはもう遅い。体が前に倒れていくのを止めることができない。
その時、曲がり角から人が出てきた。こちらに気づいてはいないみたいだ。
けれどもこのままいくとぶつかるっ!!
「ちょ、あたる!!うわぁぁ」
「は?え、うお!?」
バシャンッ
派手な水音がして、とっさに閉じた目を開けると曲がり角から来た人を下敷きにして倒れていた。
その人には思いっきり水がかかっている。雑巾を絞ったあとの汚い水が。
「す、すみません!!!!」
急いでその人の上からどく。
「いてえ。てか、冷た……水!?やばい書類が濡れてるっ!くそっあいつに怒られる!!!」
そう言って青くなっているこの人を俺は見たことがある。
入学式の時に舞台上でみた
「生徒会長……?」