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歩く七不思議と都市伝説  作者: 柊 響華
桜の木の下には死体が埋まっている!?
5/21

声に誘われ

 ねぇ。一体誰なの?

 どこで話しているの?



 ーーこっちよーー



 まるで、鈴が転がるような軽やかで美しい声が僕を誘う。



 ーーおいで、私はここにいるよーー



 待って。

 今行くよ 。


 美しい声と甘い香りに誘われて、手を伸ばす。


 気分はまるで禁断の果実に手を出す瞬間のアダムとイヴのよう。


 一時の至福と背徳感。



 もう少しで手が届く。




 ……。

 あれ?

 一体、何に?



 気がついた時にはもう遅いーー。





「危ないっ!」




 僕はその声ではっと目が覚めた。

 気がつくと、すぐそこには大きな川があった。

 僕は勢いが殺せずそのまま川に落ちようとしていた。

 川幅も広く、流れも速いため落ちれば大人でも危険そうな川だった。




 水面が近づいてくる。

 スローモーションのように時間がゆっくりと感じられた。

 ああーー。

 また、戻ってきたのか。

 その時ーー。

 後方に体を引っ張られ、そのまま誰かの上に倒れこむ。




「一体なにしてんだよ! 危ないだろ!」

 伸一君だった。

 僕は振り返り彼の顔を見る。

 怒鳴った表情のまま、彼は鬼のような形相で僕を見ていた。


 いつの間にこんなところまで来ていたのだろう。

 上手く働かない頭で思う。



 とりあえず、伸一君の上から退けてその場に座り込む。

「おい、大丈夫か? 亜鶴沙」

 怒った表情から、一転して心配そうに僕に声をかける伸一君。

「立ち止まったと思ったら、急に走りだしやがって」



 ーー?

 走り出した?



「僕……。走ってた?」

 自分に尋ねるかのように呟いた。

 伸一君が訝しげな顔をする。

「大丈夫か? 亜鶴沙」

 今さら、心臓がバクバクと脈打つ。

 危なかった。

 危うく呑まれるところだった。



「……平気だよ。大丈夫」

 平静を装って答える。

 伸一君がいてくれて良かった。



「ありがとう。君がいてくれて良かった」


 感謝の言葉は素直に僕の口から出てくれました。

 僕が言うと伸一のは少し変な顔をした。

「何、急に言ってんだよ」

 どうやら伸一君は照れてるらしいのです。


「おかげで川に落ちずにすみました」

 僕はそう言って笑う。

「気をつけろよ。全く」

 伸一君の言葉に頷く僕。

 そして僕は川の向こうを指差す。



「あちら側にきっと僕の探し物があります」

 伸一君はズボンの汚れを払いながら立ち上がる。

「てことは、向こう岸に渡るのか? どうやって?」

 伸一君が立ったので僕は彼を見上げる形になる。

「わかりません。橋か何かないですかね?」

「俺に聞くなよ」

 伸一君、眉間に皺を寄せていいます。




「とりあえず、川沿いを歩いて見ましょう。橋があるかもしれません。」

 僕も汚れを払いながら立ち上がって言う。

 そして、伸一君の返事を待たずに歩き出す。




「おい、待てよ。亜鶴沙」

 そう言って、後を追いかけてくる伸一君。



 ねえ。


 伸一君?




 僕は君がいてくれて本当に良かったと思っているよ。

 だって、あの声は僕にしか聞こえなかったのだろうから。

 君は声を聞かなかった。

 もしも、僕一人だったらあのまま死んでいたかもしれないもの。

 だから、君には本当に感謝しているのだよ。

 僕はまだ死ぬわけにはいかない。

 必ず桜を見つけなくてはいけない。

 僕自身のためにもーー。

 僕はそう自分に言い聞かせるようにして歩みを進めた。







「ところで伸一君」

 ふと、僕は立ち止まる。

「なんだ? 亜鶴沙?」

 自然、伸一君も止まる。


 僕は尋ねるーー。


 彼にーー。


 最も重要なことをーー。






「ここ、何処ですか?」



「……」


 一瞬の沈黙ーー。


 後


「俺が知るかよ」




 実にごもっともです。

誤字脱字あれば御願い致します!

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