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歩く七不思議と都市伝説  作者: 柊 響華
桜の木の下には死体が埋まっている!?
2/21

起承転結で言うとまだ起



 結局僕はあの後、無理矢理勉強させられた。

 そのおかげで、テストはなんとか合格することが出来たのは言うまでもない。




 そしてやってきたゴールデンウィーク。



「で? なんで、折角の休みを潰してまで死体探ししなきゃなんねぇーんだ?」



 僕と伸一君は家の近くの森にやって来ていた。

 森と言うよりは山に近い気もするが、さほど大きいわけでもなく、森と山の中間といったところだろうか?



「それは勿論、君に邪魔された桜の都市伝説を実証する為だよ」


 僕が言うと伸一君は呆れ顔。

「あれは勉強逃れる為の口実だろう。なんでテスト終わってまでそれやろうとしてんの? もういいからさ、遊ぼうぜ」




 口実とはっきり言われてしまいました……。

 まぁ、実際に口実なので否定は出来ないのですが。

「僕、もう一つ思い出したことがあるのです」


 最初は確かに口実だったのですが、今はそれだけではありません。

 もう一つ理由が出来たのです。



「なんだよ」

 伸一君が尋ねてきますが、これは言うわけにはいきません。

 僕は首を振ります。


「伸一君には関係ありません。知らぬが仏というやつです」

 本当に言うわけにはいかないのです。



「意味わかんね。何だよ。それ」

 伸一君少し怒っているようです。

 口調に少し怒気が含まれています。

 僕を睨むように見ている伸一君。

 僕はその視線に耐えられずに目をそらしたーー。



「なら、俺が手伝う必要もないんじゃね。自分一人でやれよ」

 そんな僕に愛想を尽かしたように、そう言って背を向ける伸一君。

 このままだと、伸一君は怒って帰ってしまいそうです。



「待ってください。伸一君には居てもらわないと困るのです」

「はぁあ?」

 伸一君は振り返って意味がわからないという顔をする。

 彼を引き留めないと。



「そうじゃないと……」

 伸一君は怪訝そうな顔で、僕の言葉を待っていた。

「じゃないと、なんだよ?」



 何とか伸一君をこの場に留まらせないと。

「じゃ、じゃないと」

 僕は無い頭をフル回転させて、彼を引き留める理由を考えてました。

「だからなんだよ?」

 焦れたように、続きを催促する伸一君。


 えーと。えーと……。




「じゃないと……僕が宇宙と交信して、宇宙人に連れ去られるかもしれません!」



 …………。




 伸一君。

 呆気に取られた顔してます。

 ちょっと、今のは、流石に、無理があった気がします……。




「ぷっ。クックックッ」


 !

 笑われた……!



 伸一君肩を震わせ必至に笑いを堪えてます。

 僕は思わず自分の顔が赤くなっていくのが、自然と分かりました。



「笑わないでください。僕は真面目にですね」

 僕が抗議すると。

「アハハは」

 伸一君声を上げて笑いだしました。



 伸一君のその反応に、僕はますます恥ずかしくなってしまいました。

「伸一君。君って人は」

 僕が注意すると、伸一君は片手を上げて謝ってきます。



「いや、悪い悪い。でも、お前なぁ。いくら何でも宇宙人に拐われるってのはないだろ」

 だって思い付かなかったんです。

 僕はムッとした顔をしますが、伸一君ガン無視です。

「第一、お前宇宙と交信なんて出来るのかよ」


「やろうと思えば出来ます。ただやらないだけです」



 笑い半分、呆れ半分で言う伸一君に、僕は若干むきになって言います。

「むきになるなよ。元はと言えばお前が悪いんだぞ。関係ないってことないだろ。俺はお前の唯一のダチだぞ」

 伸一君は、最後はちょっと冗談めかした口調で言いました。




 分かってます。

 でも、君はきっと知らなくていいことなんです。

 知らないのならきっと一生知らないほうがいい。

 僕が黙っていると伸一君は諦めたようで。

「お前一人で迷子になられても困るから、手伝ってやるよ」

 ぶっきらぼうにそう言いました。




「伸一君って優しいですね」

「はっ? 意味わかんねぇーし。ほら、早く探してとっとと終わらせようぜ」

 そう言って森に入っていく伸一君。

 伸一君、照れてます。

 本当に君は優しいですね。

 でも、その優しさがいずれ仇になるかもしれませんよ。

 特にこの件に関しては優しさなんて見せないほうがいい。

 じゃないと、




「桜の霊にとり殺されてしまうかもしれませんよ」




「何か言ったか?」

 伸一君が振り返って言います。

「何も言ってないですよ。その年で空耳ですか? キテるんじゃありません?」

 僕は立ち止まった伸一君を追い越しながら言います。



「てめっ! いつか絶対ぶっ殺す」



 なにやら物騒なことを叫ぶ伸一君でした。

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