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歩く七不思議と都市伝説  作者: 柊 響華
桜の木の下には死体が埋まっている!?
1/21

起承転結で言うと起

また新しい作品を書きました。

今度の作品は一応学園ものを書いたつもりです。

結構長くなる予定なので、気長に待っていただければと思います。

まだまだ拙い文章ではありますが、楽しんで頂ければ幸いです。

また確認はしているのですが、誤字脱字があるかもしれないのでそこはご指摘願えればと思います。


 皆さんは桜の都市伝説をご存知ですか?




 桜の木の下には死体が埋まっているそうです。

 桜は死体の栄養分を吸い上げてあんなに美しく咲くのだそうです。



 僕はその話を聞いたとき、本当に死体が埋まっているのか知りたくて桜の木の下を掘り返したことがあります。



 けれどいくら掘ってみても出てくるのは石と誰かが捨てたゴミばかり。

 僕はとってもがっかりした記憶があります。

 骨の一つでも出てくるかとワクワクしたのですが期待して損しました。

 おまけに学校の桜の下を掘り返したもんですから、先生に大目玉をくらいました。

 まさに骨折り損のくたびれ儲けです。




 さて、話を戻しますと僕が小学校4年生の頃のことです。

 祖父に桜の苗を頂いたので家の庭に埋めました。

 その時、雀の死体も一緒に僕は埋めました。

 勿論、雀は僕が殺したんじゃありません。

 烏か何かにやられて死んでたのを拾ったんです。




 一緒に埋めれば桜が早く大きくなるかとも思ったのですが、成長は至って普通の桜と同じで高さは未だに高校生の僕の身長と同じくらい。

 幹もまだまだ細い。

 やはり雀じゃ、栄養分が少なすぎるのでしょうか。

 お祭りで取った金魚なんかも埋めてみたのですが、やはり足りなかったようです。

 ということで今度は猫か狸でも埋めてみようかと思うのです。






 * * * * *






「ということで僕は猫の死体を探さなくてはならないから忙しいのだよ。伸一君」




 僕は一通り説明したところで隣で俯いている友人を見る。

 彼は俯き肩を震わせ、お腹の辺りを押さえている。

 一体どうしたというのか。



「どうしたんだい。お腹でも痛いのかい?」

 僕は心配になって彼の顔を覗き込もうとする。



 しかし……。




「ぶふぅっ!うわぁ!もう耐えらんねぇ。あっははは!」



 いきなり吹き出したかと思ったらそう言って笑いだしたのだ!

「あははは。いや、まじあり得ねぇ。アハハハ!」



 いくらなんでも笑いすぎじゃないだろうか。

 僕はムッとして言う。


「君、人が心配しているというのに、その態度は何なんだ」



「いやいや。悪かったって。お前があんまりにも可笑しなこと言うから」



 彼は笑い過ぎて目尻に浮かんだ涙を拭いながら弁解を始める。



「お前が不思議ちゃんなのは知ってたけど、まさかここまで突拍子もないこと言うとは思わなかったからさ」


 そんなに突拍子もないことだろうか。僕は内心首を傾げていた。

 そんな僕の様子を見てとったのか、彼は言った。



「いやさ、その話は俺も聞いたことあるよ。あるけどわざわざ木の下を掘り返したりしないし、雀とか埋めようとは思わねぇよ」


「そういうもんだろうか」


「そういうもんなの。百歩譲って木の下掘り返したとしても、死骸は埋めねぇよ。お前の常識は常識じゃないんだって」


 そう、彼に諭される。

 うーん。でも猫は埋めたい。いや、猫じゃなくてもいいのだけど。



「諦めろよ。てか猫や狸の死体がそうそう其処らに転がってるわけねぇだろ」


「だから、探すのです」


 僕が至極当然とばかりに言うと。


「テスト終わってからやれ」


 至極真っ当に突っ込まれてしまいました。




 そもそもここは僕の家の僕の部屋なのですが、そこになぜ伸一君がいるかというと、事の発端はほんの1時間前のこと。伸一君が僕の家にやってきたところから始まります。



 * * * * *




「おーい。あーずーさちゃーん。勉強してるかー。ちゃんとー」


 そう言って僕の部屋のドアをノックもなしに開けてきたのはクラスメイトの伸一君です。

 僕がクラスで唯一親しくしている人。

 ちなみにあずさというのは僕の名前。

 字は亜鶴沙と書く。



「ちゃん付けで呼ばないでください。伸一君」

 僕はムッとした顔で言う。

 なのに伸一君はその僕の反応が嬉しいようでニコニコ笑う。

「まぁ、そう言うなって。ところで勉強してるか。もうすぐ春の実力試験だぞ」




 僕らの学校では春休みが明けて少し経つと実力試験がある。実力試験なので成績には関係ないがこれを落とすとゴールデンウィークが無くなる。

 ゴールデンウィークの間中、ずっと学校でみっちりと勉強させられるのだ。

 だから、中間や期末試験よりも勉強する、という人は少なくない。



「お前は頭良さそうに見えて超が付くほど馬鹿なんだからちゃんと勉強しないとヤバイぞ」

 それぐらい分かっている。


 ちなみにそう言う伸一君は頭が悪そうに見えて実は学年でも1、2を争う頭脳の持ち主だ。

 伸一君に教えて貰えば実力試験も何とか乗り切れるかもしれないが、僕は勉強をしたくない。



 しかし、このままの流れでいくと絶対にーー。



「どうせなんもしてないんだろう。俺が教えてやるよ」


 したり顔で言う伸一君。

 ほらやっぱり!

 こうなると思った。

 だが、僕は何としてでも勉強を回避したかった。



 そこでー。

「実はだね、伸一君。僕はこれから出掛けなくてはいけないのだよ」



「ほーう。何処にだ」


 何か言い出したぞこいつ、みたいな顔して僕を見る伸一君。

 何か良い良い言い訳はないだろうか……?

 うーんと。うーんと……。



「ね、猫を捕まえにだね。ちょっとその辺に」




 我ながら苦しい言い訳。

 悲しいかな。僕は咄嗟に良い言い訳が思いつくような機転の利いた子じゃありませんでした。



「はぁあ?猫ぉ?意味わかんねぇな。俺にも分かるように詳しく説明してみせろ」



 伸一君。この顔は咄嗟の嘘だって気付いてる顔です。

 ですが、ここまで来たら(まだそんなに来てませんが)引き下がる訳にはいきません。



 僕が何か理由になりそうなものはないかと視線をさ迷わせると、ふと窓から昔僕が植えた桜の木が見えた。

 そこで僕は閃いた。

 これだ! これしかない。




「伸一君。桜の都市伝説はご存知ですか?」




 * * * * *




 そして現在に至る。



「つーかさ。亜鶴沙。咄嗟に思い付いた言い訳が猫を捕まえるって何なんだよ。もっとマシな言い訳思い付かなかったのかよ。しかも捕まえるってことは生きてるってことだ。つまり、生き埋めにするかお前が殺すってことになるぞ」




 伸一君呆れてます。

 しかも微妙なミスを指摘されてしまいました。

 けどここで思い付きませんでした、なんて言おうものなら、勉強を逃れる為の口実ですって言うようなものです。(もうとっくにばれてますが)

 僕は無視を決め込みます。

 そっぽを向いて知らんぷり。



「まぁ。いいけどよ。ところでその都市伝説、お前に教えたの誰よ?俺つい最近知ったばっかだぜ」

 伸一君は話を変えてきました。

 それなら答えてあげましょうと、僕は。

「祖父ですよ。あれは僕が小学校の入学式のことでした」

 ちょっとした昔話を始めました。





 * * * * *





 その年は桜が早咲きで入学式の日にはもうほぼ満開という状態でした。

 僕は祖父に手を引かれて家に帰る途中でした。

 僕らの歩く右側には、学校の校庭に植えられた桜が枝いっぱいに花を咲かせていました。



「亜鶴沙。桜が綺麗だなぁ」

 祖父が桜が舞い散る様子を見て言いました。

 正直、僕には桜なんてどうでもよかったので。

「そうですね。聡一郎さん」

 と、適当に返しまーー。




「ちょっと、待て」


 そこで突然伸一君が僕の話を遮りました。

「なんですか?人の話を途中で遮らないでください」

 僕は抗議しましたが、伸一君はまるで無視です。

「あのさ、聡一郎さんって誰?」


 ?

 どういう意味でしょうか?



「僕の祖父ですが、何か?」

 伸一君は頭を抱えています。

 今度は頭でも痛いのでしょうか?



「お前さ、じいちゃんのこと名前で呼んでんの?」

「はい。何かおかしなことでしょうか。僕は母のことも美和さんと呼びますし、父のことも一義さんと呼びますよ」

 僕は首を傾げます。

 伸一君は少しの間、頭を抱えていましたが、何かを諦めたように顔を上げました。

「まぁ、いいや。続けて」

 言われずとも続けさせて頂きます。





 僕が適当に返すと祖父は不服だったのか。

「何だ。亜鶴沙は、桜は嫌いか?」

 と言ってきました。

「別に嫌いではありませんが、好きでもありません。第一、勝手に咲いてあっという間に散っていくものに興味がありません」





「その頃お前小学生だろ。生意気つーか。何つーか。ませてるな」


 伸一君がまた割り込んできました。

「いいから、黙って聞いてください」





 僕がそう言うと祖父は。

「そうか。じゃあお前が興味を持つような話をしてやろう」

 と言いました。



 僕は正直心底どうでも良かったのですか、聞かないのも祖父に悪いかと思い、聞いてあげることにしました。


「いいか。桜は凄く綺麗だろう」

 凄く綺麗って程でもないと思いましたが、ここで同意しないと話が前に進まないので、そこは頷いてあげました。

 その様子を見て祖父は話を続けます。

「桜がな、あんなに綺麗に咲くのは死体の血を吸っているからなんだ」






「そうして話してくれたのが桜の都市伝説です」



「お前のじいさんも余計なこと言ってくれたよな」

 僕が話終えると伸一君は真っ先にそう言いました。



「しかも小学生にする話かよ。それ」

 そこは僕も同意します。

 小学生にする話では確かにありませんが、祖父も僕が初孫でしたから、何を話していいか分からなかったのだと思います。



「んで、穴はいつ掘ったんだ?」

「桜の下に掘った穴ですか?」

 僕が聞くと他に何があるんだ、という顔をされました。

 一応聞いただけなのに……。



「その話を聞いた翌日ですよ」




「お前は馬鹿か」


 馬鹿って言われてしまいました。

誤字脱字があれば指摘してください。

最後まで読んで頂きありがとうございます!

続きは気長に待っていてください。

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