第一神話、覚醒
「…くん
…のがみくん
四季乃神くん!」
「は、はい!」
「だいじょうぶか?仰太。」
前の席からクラスの友達の大介が心配して声をかけてくれる
「あ、ああ、大丈夫だ…なんか今朝からぼーっとしててな」
実のところ今朝から、ひどい頭痛と目眩におそわれていた。
「大丈夫ならいいんだけどな」
しかし、今日の授業は集中できなかった、むしろ頭痛がだんだんひどくなっていったのだ。
俺は今日の授業を全て終えるとそのまま、真っ直ぐに帰った。
夜になる頃にはたちあがれないほどになっていた。
「トントン」
ドアがノックされた
「おにいちゃん、はいるよー」
「大丈夫なの?お兄ちゃんすごい汗だよ…」
「ああ、大丈夫だ、すまないな心配かけて…もう未雷も寝なさい。」
そう言われて美雷は不安そうに部屋を出ていく。
そこからは深夜になるまで頭が痛くて耐えられなかった
声も出そうになったが母さんや未雷に心配をかけまいとして我慢した。
「もう始まってしまっているですね。」
窓の方から小さいがよく通る声が聞こえてきた。
そこにはちょこんと未雷くらいの女の子が窓の淵に腰を据えていた。
「君はだれだ…」
なぜそこにいるのか、なぜ窓を開けれたのか、いろいろと気になるところはあったが今の仰太にはそ
んな余裕は無いに等しかった。
「私は天界イルジオン(illusion)から来た神憑 マル(かみつき まる)と言うです。
GUOからの遣いで来たです。」
「…あ!」
一瞬呆気にとられていたが思い出した、昨日の手紙に書いてあった名称であった。
神育成機関、そんなわけはないと思っていたが、この少女の着ている黒い格式めいた服、
とても冗談には見えない。
「頭が痛そうですね。
覚醒が始まっているようです。」
「覚醒?なんのことだ!この頭痛はただの頭痛じゃないのか!」
「それはあなたのクリエイトアビリティの目覚めです。」
「っつ!」
仰太の頭痛はますますひどくなっていった。
「私のCPに当てられているようです。
早く措置を施さないとあなたに備わった体中のレコイド機関の暴走であなた自身がパンクするで
す。」
「パンクって!」
「死ぬです。」
仰太は頭痛にかまってられなくなった。
「ですが…死なない方法もあるです。」
「あるのか!頼む!教えてくれ!」
家にいる家族に聞こえてしまいそうな声でベットから落ちながら必死で懇願する。
「ですが、あなたは全てを失うです。」
無表情な顔で少女が言う。
「…全て…?」
「はいです。学校の友達も、周りの人間全て…
もちろん、あなたの家族も例外ではないです。」
「そ…そんな」
仰太は絶望したように膝をつき、体全体の力が抜けたようになった。
「ですが…」
その仰太の絶望の感情に割り込むように少女が口を続ける。
「それと同時にあなたは家族を守ることにもなるのですよ?」
「あなたと一緒にいない方があなたの家族は安全なのです。」
「そ、それどういう、うっ!」
「そろそろ危険です。」
そう言うと少女は形式的な口調でいいだした。
「さあ、選べ!生きて守るは修羅の道!死して嘆くは人の道!」