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異界のストーリーテラー  作者: バルバダイン
第二部 「ラトロード領の日々」
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第五十八話 「(面倒な)来客」

こっそり再開



 王都騎士団百名分の滞在費はグレティル王が面倒みてくれるそうで、とりあえずいい部屋を予約していたせいで結構はしゃいでいた。


 そりゃ栄光ある騎士なのでヒャッホーとはならないが。


 王族様と護衛の近衛戦士団(アルブグラーツ)はゲストルームの許す限り押し込んだ。


 ちなみにアクム・サハも一緒だ。


 宴会後半の僕とティルクークの盛り上がりあたりではダルタイシュとサハは二人でバカ話をしていた。


 

 翌朝、早起き属性の僕が早々に起き出すと、さらに早起きな方が庭で黙々とレイピア(ちなみに名前は正義の執行者(エグゼクター))を振るっていた。


 一つの型を念入りになぞっている。


 突きの軌道はコピーしたかのように1ミリ違わず同じ線を描いている。


 恋愛運にとんと恵まれなかったマジメちゃん、ゼフィア・セルワー。旧エンフィールド女公爵である。


 搦め手に弱いのが弱点だが、それを差し引いてもやっぱりバルテルミより数段疾いな。


 善良な地球人モードの僕だと魔術なしでは完封されること間違いない。


 悪党メルレンさんは魔術抜きで戦うことはありえないので考察外。


 というか「魔術無しでやろう」と言っておいて厭らしい阻害系のヤツかまして、一気にトドメ狙ってきそう。


 ゼフィアはアイツの相手は無理だろうなあ。


 イダヴェル第二軍のマグニール・デュラハンにはいいようにやられてたし。


 とか考えながらボーっと窓から見ていたら、視線に感づいたのかこちらを見上げてきた。


「早いですね、伯爵」


「王妃様こそ」


「よろしければ話しませんか?」


「わたしでよろしければ喜んでおつきあいさせていただきます」


 えーと、またこのパターン?




「すみませんね、つきあわせて」


「いえいえ、光栄です」


 エレインが起きていたのでお茶を淹れてもらって、庭のテーブルで話すことにした。


「しかし、やはりあなたが伯爵だったのですね」


「?」


「お忘れですか?グレティル陛下の即位式の日を」


「ああ!」


 わああ、覚えてたのかー。(第三話「即位式」参照)


「任官前とはいえ無礼で差し出がましいことを申し上げまして誠に申し訳ありません」


 思わず深々と頭を下げる。


 ゼフィアはゆっくりと横に首を振り、微笑んだ。


「いいえ、お礼を言いたかったのです。初めてお見かけしたエルフの方から見てもあの時のわたくしはとても恥ずべきものでした。栄光あるバルディス宮廷騎士団筆頭として、由緒あるバルディス公爵家エンフィールドの当主として、とてもふさわしいとはいえませんでした」


 グレティル王にぞっこんだったゼフィアは王の結婚に耐え切れず、ひどいテンションだった。


 みかねて僕はおもわず檄を飛ばしてしまったのだ。


 しかも覚えられてた。


「あなたの一言で持ち直し、陛下の晴れの場を穢すことなく乗り切ることができました。御礼申し上げます」


「いえいえ勿体無い!お顔をお上げください」


「それだけではなく祖国の危急の時に不在である失態を、あなたは穴を埋めるどころか伝説的な手腕で切り抜けてくださいました」


「それこそわたしの功績は微々たるものです。このような素性の知れぬ者の言を取り上げて下さった陛下の御心、バルテルミ殿の度量と指揮、そして気まぐれともいえる大賢者様がお力添えくださったことでようやくなし得たことです」


「それもあなたがいなければひとつに結びつくことはなかったと聞きます。今一度お礼を言わせてください」


「非才の身に過分な御評価をいただき恐縮です」


 もし、ゼフィアがいたまま僕がいなくてイダヴェル戦が始まっていたら…


 おそらく、王都騎士団の半数近くと宮廷騎士団のほぼ全数で迎撃に南進し、ウイラード辺境伯領は完全に落とされているだろうから、ジレコ伯爵領で野戦が行われ、帝国魔術団アトラーヴェイにより出鼻を挫かれ、兵数、練度、戦意で優る帝国にほぼ磨り潰され、ジレコ伯爵居城で籠城するも最終的には全滅。


 あとは侵攻ルート上の城を落としながら王都へ。


 民衆の命と引き換えに開城を要求されたら、グレティル王ならば無血開城していた可能性も高い。


 ダルタイシュとゼフィアが出会うこともなく、即ちバルディスへの援護の意味合いも兼ねたイダヴェルへの斬り込みも行われなかった可能性がある。


 メニヒは少ない被害で王都を占領し、帝政マガニアへの侵攻を進めただろう。


 それはすべて仮定ではあるが、即位式に至るゼフィアの傷心が、この大戦のキーポイントにもなっていたのだ。


 ゼフィアが振られて、イダヴェル滅びる。


 風が吹けば理論恐るべし。


「ティルクーク殿も珍しくあなたに興味をもたれておりました。あなたは一体何者なのでしょう」


「ティルクーク様にも申し上げましたが、変わり者のグレイエルフ。ただそれだけの者です」


「剣聖ラザルス様、そしてあなたの師であるプロガーン様にもお会いして、お二方とも大変人間族について理解が深くとても友好的で、特にラザルス様は文化的にもとても溶け込んでおいででしたが…それはあくまでも人の世に降りてこられたグレイエルフというお立場でした。あなたは…失礼な物言いで申し訳ありませんが、エルフの姿を借りた人間というような」


 ダメだ、この連中核心つきすぎる。


「俗なエルフであるとよく揶揄されます。もともと同族ですらあまり一緒に生活することの少ないグレイエルフですが、わたしは特に彼らからも爪弾きにされています。品が無いようです」


「しかもネヴェやカーマインのことまで面倒見ていただいて…」


「それこそお礼を申し上げるのはこちらです。彼らのような優秀な人材がいてくれるのでわたしのような無学な者でも伯爵よばわりされてなんとか勤めることができております。彼らを見出し、育てていただきありがとうございます」


「それはお父様の功績ですから…」


 バルディスの雷神、ヴィダル・エンフィールド公か。


 知勇共に比類なき騎士で、生きていればメニヒと対等にやりあえた人物かもしれない。


「わたしがバルディスでお世話になるようになったことも大戦のことも、すべては巡りあわせですよ。我々はその中でたゆたうばかりです」


「エルフらしいこともおっしゃいますね」


「たまには言うように心がけております」




 その後、ダルタイシュは自分達も街づくりの途上だから見学させろと言って、視察とは名ばかりの見物に出かけた。


 ティルクークはカーマインと話し、都市計画というものについて意見交換をしている。


 ゼフィアはネヴェの元へ顔を出しに行き、ようやく癒えた傷をえぐることに余念が無かった。


 いやまあ本人に悪気はないのだが。


 ダナードは律儀にダルタイシュに付いて回り、ウェズレイは居酒屋に入り浸っていた。


 クーリアも一緒に飲んだくれている。


 お前らが昼間っから酔っ払ってる姿を見ると「エンジョイ&エキサイティング」をスローガンにしてる気がする。


 治安乱したら宮廷騎士団に出動要請するからな。


 ダルタイシュも居酒屋に行こうとしたがゼフィアに止められている。


 かかあ天下、それこそがもっとも夫婦が円満にいく方法だということを理解しているのか?


 さすがダルタイシュ、死角が見当たらない。




 さて、ティルクークは知識欲、ゼフィアはお礼という目的で遠路はるばるやってきた。


 ダルタイシュはその付き添いか?


 などと思った僕が浅はかでした。


 コイツがそんなワケはない。


 明日にはここを発って帰路につくというその日のこと。


 ダルタイシュに誘われ、二人で日本酒を酌み交わしつつ戦争中のエピソードトークに花を咲かせていると、猪口に残った酒をぐいっと飲み干したダルタイシュはパシンと手を叩いて立ち上がった。


「よぉし、一丁始めるか」


「何をですか?」


「おいおい野暮なこと聞くなよ。ケンカだよケンカ」


 あああ、やっぱそのつもりだったか。


 こっちは否も応も答えていないのだが、ダルタイシュは腕をまわしながらスタスタを歩いていってしまった。


 僕がついていくかどうかを確認すらしていない。


「正直、オマエみたいなタイプは初めてだからよ。すっげえ楽しみなんだよ」


 勝手に話している。


「レイスリーのヤロウは正義漢ぶってるが、いざとなれば汚ねえ手も平気で使うじゃねえかよ。どっちかっていうとそっちが本性で、相手を油断させる仮面を被ってるヤツだったよな」


 師匠の言われっぷりが酷いな。まあ合ってるけど。


「ラザルス師匠はあんなジジイのクセして死ぬほど負けず嫌いでよ、格下相手には力で圧倒するし、負ける可能性が少しでもあると理屈つけて勝負を先延ばしにしたり、清々とするくらい見事に逃げるんだぜ。でなきゃ、イダヴェルのマグニールが足許にも及ばないようなゲスい手使ってくるんだぜ。オレとやった時には、オレが羊を斬れねえってアタリつけて、羊を盾にしてやりあったんだぜ。信じられねえよ。まあ泣きながら羊ぶった斬ったけどよ」


 知ってる。てか、この師弟はめちゃくちゃだな。どんな師弟対決だよ。


 コイツがやると決めたからには絶対やる。


 結局メニヒもダルタイシュもおんなじ人種の戦バカだ。


 僕の頭の中で転がってる『顔なしエルフ(ホンモノのメルレン)』とダルタイシュだとどっちが強いのかねえ。


 メニヒ一蹴したからなあ。


 ダルタイシュ、バシュトナーク、ヒヤルランディ国王イルベオスあたりといい勝負なのかもしれないな。


 ただし、あくまでもアイツ。


 僕がやるとなると全く違う。


 アイツがン百年もアホみたいに修行した成果は確実に記憶として残っているし、反射的な動きも身についてはいるが、いかんせん経験が少ない。


 補正がかかっているから、剣向けられても、人斬ってもそれほど動揺はないが、不意をつかれれば驚くし、なにしろパワーとかスピードのスペックがダルタイシュとではケタ違う。


 もしかしてスピードはいい勝負なのかもしれないが、先を読む組み立ての中で攻撃と回避に振り向けるスピードと、いきあたりばったりで斬ったり、よけたりするスピードでは効果がまるで違う。


 それにダルタイシュは手加減しないしなあ。


 うっかり僕を斬っても、本気で謝ればどうにかなる、くらいに考えている。


 基本脳筋だもの。


 はぁ。


 ため息しか出ない。


「ちなみにこの勝負、王様の許可取ってあるぜ」


 え?マジで?何してくれてんすか、グレティルさん。


「『剣士たれば尋常の勝負の決着について余が申すことはない。しかして我が騎士はおめおめと負けはせぬがな』だとさ。かっこいいいな!あの王様」


 煽るなグレティルさん。


「寸止めにする…つもりだぜ」


 ダルタイシュは凄絶な笑顔で背中の大剣を抜いた。


 その名も『物体(ザ・シング)』。




 メニヒより一回り小さいダルタイシュが二回り大きい得物を構えると、大きさが際立った。


 全長2m。幅広の直剣で、冗談みたいにデカいブロードソードだ。


 重量のバランス取りが神懸かっていて、見た目より取り回しやすい(らしい)。


 見た目どおりに力まかせに振り回す使い方は勿論、刃の腹を利用しての防御もうまくこなせる。


 長い間合いをなんとかくぐり抜けても、超一流の防御テクニックと、一撃で鎧を陥没させるダルタイシュの剛拳が待っている。


 何気にナイフも巧い。


 刀身は当然のように魔術霧散つきだ。


 ホント魔術師って冷遇されてるよなあ。


「ワタシはメニヒとやりあったんですが、3戦3敗ですよ?正直陛下と剣を合わせるような器ではありません。凡百の剣士です」


「聞いた聞いた。まったく歯が立たなかったのが最後の最後で完封だろ?その奥の手が見たいんだよ」


 あー奥の手は現在、顔半分失くなって転がってますんで。


「わかりました。正直つまらない手品程度しかお見せできませんので、満足していただけないと思いますが、よろしくお願いします」


「おう、早くやろうぜ」


 怪我しませんように。


 メンテいらずの愛刀霧断丸(キリタチマル)を抜く。


 間合いは遠い。


 バカみたいに速い踏み込みで来るだろうが、それでも半呼吸はあるだろう。


 全身に力を込めて、少し緩める。


 回避か防御か、どちらにせよ初手でこちらの攻撃は無理だ。


「どうぞ」




 ダルタイシュはゆっくりと、そして軽々と大剣を右肩に担いだ。


 自然体だ。


 しかし、次の瞬間その姿が掻き消えた。


 網膜が高速で動く目標を結像するより速く、真っ直ぐに踏み込んできた。


(担ぎ剣からの振り下ろしか!?)


 高速の踏み込みの勢いを乗せて振り下ろすとなれば、あらゆるものを両断する。


 防御はありえない。


 いかな霧断丸(キリタチマル)でも刀身がもたない。


 というか受ける僕の手がもたない。


(回避!)


 未だに幻影のようなダルタイシュのシルエットを感じて回避行動を取る。


 ドン!


(え!?)


 トラックに跳ねられたような衝撃。


 飛ばされながら見ると、ダルタイシュは剣を担いだ姿勢のままだった。


(体当たり、いやむしろぶちかましか)


 軋む身体に僕は顔をしかめ、1mも跳ばされた。


(くそっ)


 内心毒づいて体勢を整えようとすると、大剣を振り下ろすダルタイシュの姿が見えた。


(最初から着地点狙っての斬撃かよ!)


 体勢が崩れているので回避だけでは間に合わない。


 ギィン!


 上半身を剣の軌道からはずしながら、霧断丸(キリタチマル)の握りでダルタイシュの剣の腹を思い切り叩いて逸らした。


 ズゥゥン!


 およそ斬撃の音とは思えない轟音を立てて物体(ザ・シング)は地面にめり込む。


 こいつ100%殺す気じゃねえか!


「たいした寸止めの腕ですね」


「かわすと思って斬ったんだよ」




「何事ですか!?わああっ!」


 サラが駆けつけてきた。


 明らかに戦闘の音したよね。


「ダ、ダルタイシュ王ご乱心!」


 いや待て、乱心したの僕かもしれないだろ?


 あと、コイツはこれが平常運転だぞ。


「サラ、待ってください。尋常の立ち合いを挑まれたので、お受けしたまでです」


「そうだぞー、ケンカに水差すんじゃねえよ」


「そうは言いましても…」


 人を呼んだものか、止めに入るべきか、見守るべきか悩むサラだったが、そうこうするうちに野次馬連中が集まってきた。


「おいおい!大陸屈指の好カードじゃねえか!やる前に呼べよ!」


 ウェズレイ、酒瓶片手にガヤるんじゃない。


「メルレン様!魔術支援必要なら合図くださあい」


 リュタンの魔術は支援魔術ではなくて決戦魔術もしくは戦略級魔術になるかもしれないね。


 あとアル君、弓に矢つがえるのはやめよう。


 絶対防御されるけど、万が一当たったら国際問題になるからね。


 そこへ行くと、ダナードもサハもどっかり座って静観の構えだ。


「にぎやかだなあ、お前んとこ」


「お恥ずかしい」


「水さされちまったなあ、やめるか?」


「やめましょうか」


「なあんて、やめるワケねえだろ」


 コイツむかつくわ。



 ともあれ仕切り直し。


 しかし、遠間から僕が打てる手なんかロクにない。


 そうです、いわゆる魔術です。


 どうせまともにやったって勝てるワケはないので、びっくり箱魔術のオンパレードしかないだろね。


「いきますよ」


「なんだ、もうちょいやる気出せ」


「無理です」


 言いつつ足をドンと踏み出した。


土槍(クレイ・ジャベリン)!」


 よくあるタイプの魔術。


 地面を離れて高速飛翔するわけでもなく、精製が超高速で回避が困難ということもないので、正直馬防柵くらいにしか使えない。


 ただ周辺の土が抉れて集まって杭状に集まるため、連発すれば平地でもあっという間に足場が悪くなっていく。


 直線的な突撃の防止にはまあまあ役に立つ。


「めんどくせえ!」


 ダルタイシュは叫ぶや剣を低空で振り回した。


 それは見事に作ったばかりの土槍(クレイ・ジャベリン)を根元から叩き折り、整地したように地面をならしていく。


「うら!」


 しかも、その充分に遠心力のついたバカでかい剣を筋力だけで急停止、軌道変化させ思いきり踏み込むと背負い刀の要領で振り下ろしてきた。


 もうデタラメだ。


 しかし見えていたので半身になって剣筋から体をかわし、出来る限り小さく回転しながら、振り終わりの脇腹めがけて剣を打ち込む。


 ガイン!


 えらく硬質の衝撃を背面から受ける。


「!」


 どうやら致命的な打撃ではなかったので、そのまま前方に回転して振り返る。


 なんとダルタイシュは振り終わったはずの剣を筋力だけで水平に回して叩きつけてきたのだ。


 この人慣性の法則とか無視なのかな。


 というより、全力の振り下ろしと全く同じ力で止めてるだけか。


「刃の部分向けてるヒマが無かったぜ。さすがに速いなあ、おい」


食人鬼(オーガ)並の筋力ですね」


「あいつら腕相撲やってくれないから比べられねえがよ」


 食人鬼(オーガ)の群れの方が絶対マシだ。


「バケモノ相手ならこんな力まかせの芸当でもどうにかなるがよ、人間相手だともっとこう駆け引きとかだましあいとかするじゃねえか。あれが面白えんだよなあ」


 ダルタイシュはさも楽しそうに言う。


「このくらい」


 と、指を10センチくらいに広げる。


「ちょこっと切ってやれば、痛みで動きが鈍る、でっかい血管から血が噴く、腱を切られて動けなくなる。そのちょこっと切って勝負つけるのに、いろいろ小細工するのが面白くて仕方ねえんだ!」


 三寸切り込めば致命傷ってヤツか。


 マンガで読んだ記憶がある。


 やっぱりコイツは肉体派で学も無いけど、頭は悪く無いんだよなあ。


 生身の勝負、鎧を着込んだ相手を切る、怪物との戦い、その違いを知って戦い方を大胆に変えてくる。


 力自慢の剣術バカではない。


 口では「俺が史上最強の証明をする」とか吹いているクセに、決して侮らず、驕らず、そして何より一戦々々を楽しむ。


 さて、この無邪気な魔神をどうさばく?


 僕は魔法剣士だ。


 それならば、それなりの戦い方が一番望みがある。


 魔法剣士の一番の長所はなんだ。


 ゲームなら魔法の力を剣に乗せてダメージ増加とか地味なんだけど。


 いやこれも一応ゲームの中なのかな?


 でもまあ実際に剣が熱もって赤く燃えていてもダメージ受けるのは持ち手な気がする。


 あと焼きが鈍って台無しになる。


 ……焦っているな。まとまりの無い考えは止めよう。


 目の前の最強の相手をいかに倒すか考えよう。


『倒す』?


 ハハ、僕も随分強気だなあ。


「肚は座ったようだな、いいツラになってるぜ」


「ひとつ確認しておきますが、決着は生命のやり取りでつける訳ではありませんよね?」


「生きてるか死んでるかは結果だろ?勝ち負けは本人達がわかるだろうが」


 やれやれだな。




 さてもう一度仕切り直し。


 というか相手の都合に合わせてたら色々とんでもない引き出し開けられそうなので、もうここで決めちゃおう。


 大技ぶちかまして、あとはどうにでもなりやがれ。


「ふううううう」


 大きな呼吸で脳と心肺に酸素を送り込む。


 魔術式を頭で練る。


 属性は「雷」っていうか電気だけど。


 本来は電流が大きいため、使用するモノが熱をもって蒸発したりプラズマ化したりと大変なはずだけど、そこはそれ文系脳とファンタジーでどうにかね。


 そう、ご理解いただけたかもしれないが魔術でレールガンをぶっ放す。


 レールというか砲身は鞘、プロジェクタイルと呼ばれる弾体は霧断丸さんだ。


 それってレールガン(電磁砲)じゃなくて電磁抜刀じゃ・・・


 その通り、元ネタもある。


 要はダルタイシュが知らなきゃいいんだよ。


 魔力回路接続。


 薄膜(メンブレン)で鞘と刀身を絶縁する。


 そして双方へ帯電させていく。


 片側を正極へ、片側を負極へ。


 そうして鞘を背に『担ぐ』。


「ほう、担ぐのかよ」


 ダルタイシュは楽しそうに嗤う。


「さあ来いよ、存分にやろうぜ」


 答えずに、引き絞った魔力を現出させる瞬間をうかがって集中力を高める。


 空気が硬質化したような時間がやってくる。


 周囲のざわめきから切り離され、目の前のダルタイシュにすべての神経をそそぐ。


 どうせ隙なんかない。


 呼吸をダルタイシュにむしろ合わせていく。


 呼気、吸気、そして溜め。


 行こう。


電磁刀(レールガン)!」

さすがに評価くださいとか感想くださいとか厚かましいことは言いませんので、また過去話見返しつつ、ゆっくり続きを待ってくださいね。

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