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異界のストーリーテラー  作者: バルバダイン
第一部 「イダヴェル戦乱編」
36/65

第三十四話 「襲来」

くう!原稿書いてる途中で寝てしまった!

これは何かの呪いなのか!?

(いいえ赤霧島のお湯割りのせいです)


いつも読んでくださってありがとうございます!

今週は日曜まで休みなく働いてきます!

 アリエン・ワーデルガー視点


 わかっていたのに何もできなかったこと。

 わかるのが遅かったこと。

 そういうことから、この酷い有様が僕のせいのような気がしてとても悲しい気持ちになった。

 

 でもそれは一瞬でふっとんでしまった。


「よくもよくも彼奴は我を虚仮にしたいようだな」

 低く押し殺したような、でもよく響いて通る、そして地の底から湧き上がるような恐ろしい声。

 僕はさっきまでの悲しい気持ちも忘れて急に怖くなった。

 サイレン将軍はその声にバッと振り向いて片膝を地面についた。

「ウォーレンナック大将軍」

 メニヒ・ウォーレンナック大将軍だった。


(わっぱ)、貴様は頭が切れるようだな」

 大将軍はサイレン将軍を見た。

「はい。子供にしては時々ハッとするようなひらめきを見せます」

 そんなことない。

 僕にはなにもできなかったんだ。

「サイレンの秘蔵っ子という評判は聞いておる。どうも我が陣にはあのエルフとの知恵比べに勝てるヤツがおらん。そこで(わっぱ)、貴様に聞こう。あのエルフは今どこにいると思う?」

 え?なんで僕に聞くの?そんなことわからない!

 いや、よく考えてみよう。

 僕にもできることがあるかもしれない。


 まずは地形だ。

 ここは谷あいで、この先はすぐ森のある盆地だった。

 そしてその先がまた谷になっている筈だ。

 だからあのエルフはそこに、ここと同じ落石を仕掛けて、塞いだうえで火を点けたんだ。

 なぜ?

 それは前にサイレン将軍が言ったように自分達の数が少なくて、こちらが多いからまともな戦い方では勝てないからだ。

 だからこちらの数を減らしたい。

 では今は?

 自分たちの罠が成功してこちらはみんな混乱している。

 追撃してくる?

 いや、わざわざ谷の両側に岩を落として数を決めて罠にかけた。

 きっとこちらの数を減らすのも計画的に減らしてくる。

 では今頃遠くへ逃げている?

 きっとそうだ。

 ・・・いや、もう少し考えてみよう。

 向こうの谷に岩を落とす時、先陣の前に落としたのかな。

 ・・・。

 岩は大きい。

 持ち上げるのは凄く大変だったはずだ。

 何日もかけて準備しただろう。

 たくさんの人が、一生懸命に作戦を準備した。

 サイレン将軍の仕事みたいだ。

 それならきっと、せっかく準備をしたのだからなるべく効果が出るようにしたいと思ったんじゃないかな。

 効果、つまりこの場合は『たくさん殺すこと』だ。

 岩で先陣の人達を潰そうとした。多分。

 『たくさん殺す』には先陣の先頭の人に当たるように岩を落とす?

 いや、先陣の途中に落とすはず。

 だとすると岩より前の人は逃げているかもしれない。

 敵はそちらを追撃しているのはないだろうか。

 いくら少ないとはいえ、無傷の敵兵が動き回るのを嫌がるはずだ。

 倒すか、捕まえようとする。


「大将軍様、僕なりに考えたことでもよろしいですか?」

(わっぱ)、我が聞こうとしていたのはまさしくそれだ。申してみよ」

「はい、エルフは恐らくこの先の谷あいのその先にいると思います」

「ほう、理由は」

「はい、まず全体を見渡すことが出来、指揮には好都合なことと、落石から逃れた我が軍の兵を追撃するために崖を降りてその指揮に当たっている頃合だと思われるからです」

「成程、寡兵とはいえこちらの残兵を狩るには問題がなく、こうして岩と炎で遮られていれば援軍の駆けつける恐れなどないというわけだな」

「御意でございます」

 大将軍はうんうんと頷いた。

「よし!まじない師共を何人か連れて来い!」


 すぐに魔術師が来た。

「陰気なまじない師ども!すぐにこの火を消せるか?」

「申し訳ございません。我らが長、アシュケム・ヴィドマー様でも長大な詠唱にかかる時間を考えますと自然鎮火とさほど差はないと思われます」

「使えん、返す返すも使えんな!よい、ではすぐ我に耐火(ファイアレジスト)の術をかけよ」

「お、仰せながら耐火(ファイアレジスト)の呪文でも完全に熱は防げません。効果時間も5分間ほどです!」

「充分であろう。さあ急げまじない師め。唯一の芸すら満足にできぬとあらば、この場で素っ首叩き落としてくれよう!」

「わ、わかりました!」

 大将軍は何をする気なのだろう。

 僕が見ていると大将軍は笑った。

(わっぱ)、今から敵に挨拶に行ってくる!我が本気で剣を取るにふさわしい相手かどうか見てきてやろう」

 え?

 まさか、ここを突っ切って行くおつもりなのかな。

 無理だよ、死んでしまうよ。

 魔術師の人達は術を掛け終わった。

「大将軍様、無理です」

「心配するな、我とこの「月の出(ムーンライズ)」なら造作もない」

 大将軍は自分の愛馬である巨大な青鹿毛の馬の首を叩いた。

「首尾よく行けば、エルフの首を持ち帰ってやろう!」

 言うや大将軍はまだ燃えている谷あいの向こうへと駆けていった。

 大将軍の馬も炎を前にしてまったく怯える様子も見せずに平然と飛び込んでいく。

 僕らはただそれを呆然と見送るしかなかった。




 メルレン・サイカーティス視点


 先頭で落石を免れた騎兵は約50。

 自由にさせるには少々多すぎる。

 降伏してくれると助かる。

「バクスター、ランベール、テスカ、アル!手が空いた騎士とついてきてください。相手が少数ですし正面から当たります!」

 下策だが相手も機動力がある。

 僕とバクスターが切り込み役となって敵を崩せば充分に渡り合えるはずだ。

 第一に敵の士気はおそらく底まで落ちている。

(いつもどおりハッタリで降伏してくれれば・・・)

 崖を降りるルートを駆けていくと、やがて山道に合流する。

 どうやら先んじることに成功したようだ。

 あれだけの仕掛けをされて敵の罠で部隊は壊滅的被害を蒙り、自分たちははぐれてしまった。

 となればちょっとつついてやるだけで降伏するだろう。

「敵とまともに戦うのは初めてです。皆無理せず気を抜かないでください。傷を受けた者はすぐに後退すること!」

 指示を出しつつ駆けていく。


 見えた。

 敵はほとんど岩のところから動いていなかった。

 どうやら下敷きになった仲間の救助活動をしていたようだ。

 僕らの追撃が充分考えられる中で仲間の救助を優先させるとは見上げたものだと思う。

 それだけにこの火計を仕掛けたことに改めて胸が痛くなる。

 何度も納得したつもりだったが、やはり完全には吹っ切れない。

 でも一度決めて自ら身を投じた戦いだ。

 後悔はしても引き返すことはない。

 抜刀して告げる。

「バルディス王国宮廷騎士団、団長代行補佐兼参軍、および南方方面軍総指揮官メルレン・サイカーティスである!武器を捨て投降すれば命は保証しよう。また怪我人の救助、治療を行う」


 イダヴェルの兵たちは驚いた顔をしたが、やがて剣呑な表情でこちらを睨んだ。

「イダヴェル帝国剣術団アークロイガー、先陣先鋒騎兵隊五百騎長エヴェレット・ウーリッヒだ」

 指揮官とおぼしき人物が一歩進み出る。

「貴殿が指揮官か。降伏は恥ではない、英断を期待する!」

 直球で降伏勧告を行ったが、相手の反応は非常に悪かった。

「どの口が救助とほざくか!!」

 絶叫だった。

「我が手塩にかけて育て上げた騎兵隊を卑怯にも石を落とし潰すという鬼畜の所業で殺した貴様がっ!」

 その叫びは僕の心に重く響いたが、それは何度も自問し、すでに答えの出た内容だった。

「これは戦争だ。どちらかが負けを認め矛を収めるか、あるいは最後の一兵が倒れるまで殺しあうのだ。そこに正々堂々も行いの上下もない。それは貴殿らイダヴェルもよく叩き込まれていることではないのか?それとも自分たちは手段を選ばなくても相手には正々堂々を強要するのか?話にならんぞ」

「しかし!我らはこの地に攻め入って後、ただの一人も殺しておらぬ!貴様はどれだけ手にかけたのだ!」

「貴殿らももしそこに人がいれば斬っただろう。奪っただろう。事実貴殿らが通ってきた街は少なからず焼き払われている。何故か、それが戦争というものだからだ」

「どれだけ佞言を積み上げても貴様の罪は消せぬ!」

「罪を消す気などもとよりない。貴殿らは罪を負い続ける覚悟もないままに殺戮を繰り返してきたのか」

 エヴェレットが一層憤怒を濃くした。

「問答はもういい。我らアークロイガーは戦わずして敵に膝をつくことはない!ここで貴様の首級を挙げて散った者へのせめてもの手向けとしようぞ!」

 だめか。つい感情的になってしまった。

 戦うしかないだろう。周りの皆も雰囲気を察して武器を構えた。

 尋常の戦い、それを前にして物凄い緊張感が襲ってくる。

 ?

 違う。

 これは戦いを前にした緊張感などではない。

 もっと何か根源的な恐怖とでも言えばいいのか。

「ウーリッヒ!よう言うた!それでこそアークロイガーだ!」

 大音声とはこういうことを言うのか。

 まさに空気がビリビリと震動したかのようだった。


 見れば未だに熱気で揺らめく谷を抜けてきたのか、道を塞ぐ岩の上に一騎の姿が見えた。

(岩の上を飛び越えた?恐ろしい技術と馬の能力だな)

 思わずそんなことを考えたが、その騎馬の姿を見て戦慄が走った。

(逆立つ黄金の髪、見上げる巨躯、青鹿毛の巨馬・・・メニヒか!?)

 まずい、絶対的にまずい。

 ヤツが出張ってくる可能性を考えなければならなかった。

 いや考えていたからこそ、罠を張るにもこちらの居所が極力わからないようにしてきた。

 しかし今回は入口側の切り通しは相当迂回しなければ登れないし、こちら側は火の海を挟んでいるのでメニヒ自身が動く可能性を消去したのだ。

 だがどうだ、実際ヤツは来た。しかも単騎だ。

「全員直ちに退却!」

 皆はえ?という顔になる。

 一騎増えたところでこちら側の圧倒的有利に変わりはない。

 増えたのがメニヒ・ウォーレンナック以外ならば。

「メニヒです!全速退避!」

 色めき立つ味方。

 下手をすれば、いや、そうでなくても全滅するかもしれない。

 僕も全開で行くしかない。

加速(アクセル)筋肥大(バルクアップ)!」

 相性の悪い2つを使う。効果は相殺され本来の50%程度ずつになるが、とにかく強化でもしなければまともに打ち合えない。

「ぬしが報告にあったエルフか。面白いまじないを使うな。なんだそれは?随分と簡単に使うものだ。ウチのいんちきまじない師どもときたら眠たくなるような文句をだらだらと言うぞ」

 答えない。

 正直言ってプレッシャーがきつくて余裕がない。

 もう皆は逃げただろうか。

 振り返って確認することすらできない。

 全身のセンサーが警報を鳴らしている。逃げろ!と。

(生き死にの話をした直後で自分の生き死にの瀬戸際になるとは、なんとも戦国だなあ)

 暢気な考えがよぎる。

 体は警戒しているのに頭は実は冷めているのか??

「・・・ぬしは面白いな。どうやら我と我の力を知っておるようだが呑まれた様子もない。対等に渡り合える、そういうことなのか?」

 それはない!(断言)

 ふうっと大きく息を吐く。

 少し人心地ついたか。

「さあどうでしょうね。天下無双との呼び声もあるメニヒ・ウォーレンナックを向こうに回して対等にやりあえるような自信はさすがにないですよ。臆病者なりに肚を据えたってとこでしょうか」

「我は天下無双に非ず。その称号を頂くに相応しいのは我が主のみ」

「へえ、バシュトナークはそれほどつかいますか」

「ふっふ、呼び捨てとは不遜な。そうだなあの方は単に強いというよりは目線が違うな。誰かと斬りおうても、相手を斬るのではない。その向こう側を斬るのだ」

「随分抽象的ですね」

「我にもよくわからぬ。そこいらへんは我は及ばぬな。ついつい目の前の相手との戦いに興じてしまう」

 メニヒは僕を見て物凄い笑顔になる。

 一旦は落ち着いた恐怖がぶり返してきそうだ。

「さあもう充分に語った。あとは剣で語ればよい」

 全力でお断りしたい!


「参る」

 ドギイィィィン!

 加速(アクセル)で鋭敏化した知覚も筋肥大(バルクアップ)で強化した筋力も全く関係ない。

 僕にはメニヒの動きがほとんど見えず、反射的に掲げた剣で受けた斬撃は僕を吹き飛ばす威力だった。

「なるほど、よく今の打ち込みを凌いだな」

 剣の性能のおかげで凌げた。下手な受けをしたら、間違いなく得物ごと真っ二つだ。

 どうする?

 馬を降りた方がいい。

 馬上で武器を扱うのは踏ん張りも効かなければ、熟練度も足りない。

 一騎打ちの時は実力がこちらが上だったし、相手が不用意だったせいもあった。

 今はまるで違う。

 しかしだ。

 馬を降りた方が満足に戦えはするが、逃走の手段を放棄してしまうことになる。

 馬を降りるならば、戦いに勝利する必要がある。

 バルテルミと比べてもまったく段違いだ。

 ダルタイシュやバシュトナークはこれよりも強い!?

 そう書いてはいるけど実際味わってみると、凄すぎてワケがわからない。

 勝つのは不可能だ。

 では逃げるか。

 どうやって?

 馬首を返せば当然背中に一撃を浴びる。

 突破する?

 メニヒのように炎の中に飛び込んだら、僕だけ耐火(ファイアレジスト)していてもアル君達がこちら側に残される。

 勝てなくていい。

 この化け物を一瞬怯ませて逃げをうつ隙ができれば!


 頭の中で筋書きを構築する。

 ただ一手足りない。

 こちらが先に一撃を繰り出す、先手を取るための一手が。

「メルレン様!」

 後から声がした。

 アル君だ。

 なんてことだ、逃げていなかったのか。

「援護します!」

 え?

 言うが早いか何本もの矢がメニヒに向かって放たれる。

「ふん」

 メニヒはそれらを造作もなく払い落とす。

「まだだ!」

 次々と放たれる矢。

 なぜ逃げなかったんだ!しかし、行くなら今しかない!

 僕は馬に気合を入れ一気に駆け出した。

 メニヒは僕を見て大剣を構えなおす。

 よし!これなら先手を取れる。

 狙いはメニヒの馬だ。

 乗馬を殺されるか、なんらかの被害を受けることによってメニヒの足は止まる。

 体勢も崩すだろう。

 そこで全員一気に離脱だ。


「おおおっ!」

 全力の踏み込み。

 右腕に全体重を込めて渾身の打ち込み。

 ギィィン!

 攻撃はメニヒに受け止められる。

 でも、これは囮だ。本命はこっち。

 左手を手綱から離し、両腿のみで馬をコントロールする。

 そして左手を手刀に構える。

断空(スラッシュ)!」

 上段を受けさせて、下段に断空(スラッシュ)

 手刀では完全な威力は発揮できないが、それでもメニヒの乗馬を壊すことくらいなら・・・

 できなかった。


 僕は呆気にとられた。

 僕の渾身の打ち込みもメニヒを縫い付けることができなかった。

(読んだ・・・のか?)

 メニヒは断空(スラッシュ)を乗馬ごと跳躍させて躱したのだ。

 空中でメニヒはにいっと笑う。

「ぬしは本当に面白いな。まるでからくり箱のようではないか。うちのまじない師どもよりよほど使えるぞ。しかしだ・・・」

 メニヒは僕の後方まで跳んだ。

「せっかくの勝負に水を差すとは無粋」

 まずい!

「アル!逃げるんだ!」

 ようやく振り向いた僕の目に飛び込んだのは、迫るメニヒに気圧され硬直するアル君達だった。

「邪魔だ」

「アルーーー!!」

そういえば皆さん雪は大丈夫でした?

僕のとこは北に10kmほど行くと50cmの積雪だったのですが、家の周りはみぞれがちらほらくらいでした。

まだ、大変な環境の方もいらっしゃると思います。

うまく言えませんが・・・頑張って!

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