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第四章番外編 人類の敵はひとりぼっち

第四章で緑太郎が、すべてのコンピュータをつなげてウィルスのなぞを解き明かして倒れるところから。

イレミ視点での裏話

番外編


血まみれの緑太郎はあたしに託す。

自分の、すべての出し切った顔であたしに伝えているのが分かる。

その疲れきった笑顔が憎い。

「イレミ。あとはまかせるぞ」

反射的に、から元気で答えてしまった。

「うん。まかしておいてね」

あたしは、できもしないことをそのまま約束する。

もう、緑太郎はうごけない。動かない。

血まみれの緑太郎をあたしはにらみつける。


ねぇ、なんでもう全部おわったような顔で寝ているの?

あたしは、本当はもう怖くて何もできないんだよ。

血がこんなにでているんだよ。

ねぇ、本当に対称性は正しいの?

あんたばっかりじゃない……

対象性がただしければ、あたしだって……あたしだってもっと……活躍していいのに

だって、ここまでの、未来の希望も戦略も、何もかもあんたの考えでしょ!

あたしは、何もできていない。

ねぇ、起きてよ……

あたしじゃだめなんだよ。

いままで、誰にも期待されてなかったのに。いままであたしは必要のない子だったのに。

みんなにみんなに嫌われていたのに。

どうして、どうしてこんなときに期待されるのよ!!

重すぎるよ……本当に重すぎるよ……


アニメの着信音がなり響く。

あたしに期待している音だ。あたしに何かさせようとする音だ。

あはは。もう、しんじゃおうかな……


あたしは、緑太郎の携帯電話を布団のなかに隠した。

音は、ふとんのなかでずっとなっている。


ヴィナぁ。やっぱり、人って一人だとダメだよね。

ひとりぼっちになっただけで、あたしはもう何もできないよぉ。


逃げるためにテレビをつけた。

もう、あたしと緑太郎の武勇伝が流れている。

そう、あたしと緑太郎はもう人類の希望。

人の歓声が聞こえる……


ちょっと。まだたすかってないんだよ。


ちょっと、あたしにそんなに期待しないで。

もっともっと、優秀な人がいるでしょ。

しんじゃおうかな。

ミーレ助けてよ。あんた、あたしにきたいしてたんでしょ。あんたをナンバー1と認めるから代わってよ…

陳、笑ってないであたしを導いてよ。答えを…教えてよ…


携帯電話はなり続ける。

テレビは、あたしと緑太郎を賛美し続ける。

あたしは、そんなにすごい人間なの?


ちょっと、いいかげんにしてよ!

ちょっと……


誰か、助けて


なんか、涙でてきた。

なんか赤いし。


あたしは希望。あたしは希望。

本当の希望の緑太郎は動かない。

あたしが、いなきゃ緑太郎も死ぬ。

みんな、みんなしんじゃう。

ヴィナも胸次郎もみんなみんな……

あたしは、みんなをたすけなきゃ。

だって、だって、もうこれしか償えない。もう、ひとりはいや

頼れる緑太郎はもう動けない。

もう、誰もあたしを助けてくれない。


時間がない。時間がない。早く答えをみつけなきゃ。

あたしは希望。みんなみんなたすけなきゃ。


ねぇ、あたしはどうすればいいのかなぁ。

ヴィナぁあたしはどうすればいいの?


一週間前。

ヴぃなは、あたしにその問いに答えてくれたっけ……

「死ねばいいとおもうよ」


やることが分かったあたしはまよわなかった。

緑太郎にとめられた行為。

あたしは、とがったボールペンで自分ののどをついた。


気が遠くなるくらい、痛いよ。

それでも、教えてくれた答えの通りに。


まだ死ねない。なんで…

なんで…意識が遠くならないの?


なんどもなんども、自傷して。

ボールペンが、いつしか包丁になって。

包丁がいつしか、拳銃になって。

拳銃が………


もう、自傷じゃなかった。

おなかの中身がなんか、ぐちゃぐちゃ

もう、体の何もかもがダメになったとき、やっとあたしはおちついた。


「あははは……そうだ。死の宣告うけていたっけ?」


真実に気がついたとき、あたしはもうすでに死んでいた。

正確に言うと、もう何をやっても助からない

死の宣告は、「数字の期間は何をやっても死なない禁呪」もちろん、数字がすくなくなればなるとほど効力は失われる。


あたしは、死の宣告を解除すると死ぬ。

死の宣告の期限が来ても死ぬ。

結局あたしの寿命はなにをやっても一日半。


あははははは。

もうだめだ。

大きく大きく泣き笑い。

もう、なくこともできない。

泣くというからだの機能はこわれちゃった。


自傷しながら、時はゆっくりと流れていく。

血も、ゆっくり流れている。

自分のおなかのなかみをもてあそびながら、あたしは考える。


なぁんだ。もうあたしに未来なんてないじゃん。

さようなら。ヴィナ。

よろこんで。あたしはもうあなたの前に現れることはないから。

もう、あたしは死にました。


さようなら。胸次郎

あんた。地味にかっこよかった。

ヴィナになんか、わたさなきゃよかった。

あなたに純潔をわたせばよかった。

もう、あたしの体こわれちゃったからもう遅いよね。


さようなら。緑太郎

やっぱり、あたしはバカでした。

死んで、未来をなくして、人をこわがって、逃げて逃げて、自分で勝手になにもかも絶望して。

もう取り返しのつかなくなってから、初めてふっきれた。

死んで、あたしという人間が分かった。


どうせ死ぬなら、みんな巻き込もう。

憎まなきゃ、憎んで、恨んで、蔑んで。人の迷惑など考えず。人の生死はおもちゃと同じ。

そうじゃないと、何もできない。

そうだ。あたしはクズじゃないとだめなんだ。

恨んで羨んで憎んで壊してやる。


最低最悪な魔方陣刻んでやる。

科学?

知ったことか。

悪魔の魔方陣を刻んでやる。

地球規模で刻んでやる。

宇宙を巻き込んで刻んでやる。


ミーレ。あの世でみてなさい。

エボラなんかより、最悪なものがあるということを。

科学よりも、魔法よりも、技術よりも、恐ろしいものがあるんだよ。


あたしは、そのせいで、一人になって、壊れて、そうしてやっと手に入れた家族に恨まれて、最高の理解者はそこで動かなくなったのだから。

 そして、いつも自分でできないから、あたしなんかに希望たくすおまえらに復讐してやる。責任をあたしにおしつけるおまえらに復讐してやる。

 さぁ、殺しあえ。あたしなんか信用したおまえらがわるいんだ!


きゃはははは。


みんな、みんなしね。疑ってしね。憎んでしね。うらやんでしね。

そして、ひとりでしね。

誰も誰も自分のことを理解されなく、つねに自分の財産と能力を搾取されるために他人がいるということを理解して、絶望して、自暴自棄になって自ら命をたつようにしになさい。

 そして、あなたの周りの人間をひとりでも多くまきこんでしになさい。

あたしと同じ苦しみをみんなにみんなにばら撒いてやる。

あたしより、長く生きる奴らなんか誰が手に貸すか。


ひとりでも、ひとりでも多く。あたしの生き様をみせつけてやる。

ひとりのさびしさをうえつけてやる。

さぁ、殺しあえ。


やることはきまった。

あたしは、なっていた携帯電話を手に取る。

「科学世界の事務総長ね。次の手をうつよ」

「やることをきまったのですね。」

「ええ。まず大至急魔法世界の住人をぜんぶ科学世界に移動ね」

「なんで……そんなことを……」

「説明なんてしている暇なんかないわ」

「分かりました。あなた様と緑太郎様は最後の希望です。すべていうとおりにしましょう」


だって、こうでもしないと魔法世界の人と科学世界の人が殺しあわないでしょ?


さて、次は魔法世界の一番えらい奴。

念話と……

「科学世界のマナをフルに使った魔方陣を刻むから」

「それは、どんな魔方陣かね。」

「あたしオリジナルの究極の魔方陣よ。もう、世界は血であふれているから前提条件はみたされている。まず空に魔方陣を刻みなさい。」

「どうやってかね」

「科学世界の事務総長に、空に文字を書く技術を聞きなさい。次に、深海に触媒と象徴をおきなさい。」

「どうやってやるのかね。」

「科学世界の事務総長に深海に行く技術を聞きなさい。次に科学世界のパワースポットに祈祷師を送り込み、お互い連絡を取り合いマナ開放の祈祷をズレなく行いなさい。」

「念話は、同じ宗派に限られる。また、マナ開放と念話は別の系統だ。そんな魔術師はそんなにいない」

「科学世界の携帯電話を使いなさい。マナ開放は技術的には厳しいけれども宗派と手段を選ばなければいけるわ。次に宇宙にマナ増幅の魔方陣を刻みなさい」

「宇宙とは何か?」

「宇宙とは、ベチット山脈よりも高いものをさす概念よ。科学世界はそこに行きつく方法がある。そこにある人工衛星というものを通信しあってマナ増幅の魔方陣を刻むのよ。電波によるPINGだけで魔方陣は成立する。次に科学世界の都市に魔法世界の住人を送り込みなさい」


みんなみんな都市に移動しないと、みんなでころしあわないでしょう?


「科学と魔法の調和か。了解した。そして、貴殿へ我々は謝罪する。正直、われわれの所業は貴殿にとって殺されてしかるべきことだ。しかし、それでも貴殿はわれわれに協力してくれている。本当にすまなかった。終わり次第連絡する。」


死ね。口先だけで、あたしは騙されない。

分かっているなら、頼るな。そして、あたしが助けるなんて思わないことね。

信じるということは、裏切られると同じ意味。

あんたが、信じた瞬間あたしは裏切っているのがなんでわからないのかな。

謝罪は、敵意を隠すための常套句。そして、次の裏切りの下準備。

なぁんだ、また裏切るつもりでしょ?


もう、あたしは一人で死ぬという覚悟を持った。

だから、もう誰も信じない。それが強さ。


あたしは、発動の意味をもつ魔方陣を書く。

部屋では、足りないからあたしの体にも魔方陣を刻む。

あたし自身が魔方陣。


書きながら、あたしは眠っている緑太郎に思いを伝える。

「緑太郎。これが本当のあたし。みじめでしょ。あんたはなんか希望に満ちている。本当は、対称性はなかったのかもね。ただの仮説だし。あんたは、強すぎる。あんたは、賢すぎる。同じことを考えているとしても、あんたのほうが早く正確。あんたがいれば、あたしはいなくても問題はないし。あーあ。あたしがあんただったらなぁ。こんな目にあわなくて、あたたかさに溺れたまましねたのかもしれないのに」

あたしは、緑太郎に近づく。そして思いっきり緑太郎のほほをなぐった。

「対称性とか、なんとかいって考え方が似てて、同じような境遇なだけでしょ!あたしが、あんたをどれだけ思っているか、なんでわからないんだ!対称性が正しければあんたもあたしが大好きなはずでしょ!なんで、何もアクション起こさないのよ!いい加減にして!あたしばっかりやきもきしてバカみたい。こんなことなら胸次郎でも洗脳すればよかった」


なんども、あたしは緑太郎を殴った。

そして、体の痛みがだんだん強くなってきた。

あはは。もうどーでもいいや。


「もう……あたしのことが大嫌いでいいから、早く起きてよ。あんたもあたしが嫌いだから眠っているんでしょ。もういい加減に死んでしまえ!」


この魔方陣の触媒はあたしの体に残されたマナ。

マナは魂の原料。多分、発動したら終わる。

どうせもう体は致命傷だし。


連絡が来た。

宙に、場ができた。

空に飛行機雲で魔方陣がきざまれた。

海に触媒が置かれた

地に祈祷師が配置された。


そして、都市に魔法世界の住民が来た。


あとは、発動あるのみ。

さぁ、みんなあたしの最大の裏切りをうけてみろ。

みんなみんな殺しあえ。


みんな、みんなしね。疑ってしね。憎んでしね。うらやんでしね。

そして、ひとりでしね。

誰も誰も自分のことを理解されなく、つねに自分の財産と能力を搾取されるために他人がいるということを理解して、絶望して、自暴自棄になって自ら命をたつようにしになさい。

 そして、あなたの周りの人間をひとりでも多くまきこんでしになさい。

あたしと同じ苦しみをみんなにみんなにばら撒いてやる。


ひとりでも、ひとりでも多く。あたしの生き様をみせつけてやる。

ひとりのさびしさをうえつけてやる。

さぁ、殺しあえ。


強制ではなく自らの意思でころしあえ。


あたしの魔方陣は、「意識共有」

すべての言語を超えて、意思の疎通を強制的に行なう。

隠し事など、何もできない。

隠された本音が、その思いがすべてその本人に伝わるのだから。


さぁ、友人への陰口を本人にバラしなさい。

不貞を妻にバラしなさい。

憎しみを親にぶつけなさい。

憤りを子供にぶつけなさい。

貧困の恨みを富裕層に伝えなさい。

蔑みを貧困者にあらわしなさい。

今までの偽善を、すべての人に伝えなさい。

今までの汚職を、すべての人に伝えなさい。

今までの不正を、すべての人に伝えなさい。

今までの捏造を、すべての人に伝えなさい。

魔法世界の住民よ。殺されたものの遺族たちよ。その恨みを科学世界の住民に伝えなさい。

科学世界の住民よ。殺されたものの遺族たちよ。その恨みを魔法世界の住民に伝えなさい。


さぁ、あなたたちが復讐する相手は、目の前の人間です。


自分の今までの、過ちをすべての人に伝えろ。

自分に向けられた、陰口をすべて聞いてそして暴力によって復讐しろ。

そして、今までの裏切りを思い知って、復讐の力にながされてしまえ。

さぁ、殺しあえ。


発動。


だんだん、マナが体中からぬけていくことが分かる。

あれ、まずい。そうだった。あたしにはほとんどマナが体に残っていないんだ。

今の体は、もう肉と骨のガラクタなんだ。

こうやって、魂が分解しないのは死の宣告ののろいが強力だから。

このままでは、あたしの裏切りができない。

血で血を争う醜い争いが、みんなの寿命が限られているのに無駄な争いで何も解決しないまま終わる様を見ることができない。

 嫌だ。絶対にいやだ。

絶対に、どんなことしてもあたしの体にマナを取り込んでやる。


 フラフラになりながら、あたしは緑太郎に近づいた。

 そして、緑太郎の体にまたがった。

 「緑太郎は対称性の仮説を正しいと思っているんだよね。あたしは、正しいと思ってあげるよ。だって、あたしがしたいこと、することは全部あんたがしたいこととすることだからね。緑太郎大好きだから、許してね。あんたも、あたしのこと大好きなんでしょ?そういえば、今日はごみの日だし。純潔捨てるにはもってこいの日ね」


マナは生命の根源。男性は、それを作ることができる。

そして、女性はそれを受けることができる。


あたしは、緑太郎のものをすべて吸収したあと魔方陣を発動させた。

マナの吸収の基本。でも、絶対に使うことは無いとおもっていたのになぁ。


都市には、魔法の住民と科学の住民。

憎む相手は、そろっている。

そして、身近の人間が1番裏切っている。

無駄な争いの土壌はそろった。

あとは、ほんの一押しするだけ。


そして、一つの問いを

「誰があなたの味方?」

さぁ、これで殺しあえ。

科学と魔法とで、争い始めろ。

そして、家族すら裏切り者と思い知りなさい。


さぁ、発動完了。

あたしの頭に多くの言葉にならない感情があふれ出る。

英語圏のみんなに

「Someone your friend?」

感情が答える。

「all people!!」

日本語圏のみんなに

「誰があなたの味方?」

「魔法も科学も含めたすべての人類!」

中国語圏のみんなに

「谁您的我方?」

「全人类!!」

スペイン語圏のみんなに

「¿Quién es tu aliado?」

「Toda la humanidad!!」

ロシア語圏のみんなに

「Кто твой союзник?」

「Все человечество!!」

韓国語圏のみんなに

「누가 아군?」

「전 인류!!」


……えっ、ちょっとまって。

なんで?

なんで、目の前の人間を疑わないの?

親なんて、コドモを搾取するための物体でしょ?

友人は、利害と踏み台と身代わりのための動物でしょ?

他人は、危害を加えるためにいる化物でしょ。

人は、人間の天敵でしょ……


なんで?


なんで、殺しあわないの。

他人の頭の中が、全部見えるんだよ。

みんなみんな、自分のことしか考えてないはずじゃない!

自分の利益のために、食い合っていた欲望が、全部あらわになっているはずなのに。

人の本性を見て、協力なんかできるわけないでしょ!


だんだん、ほかの言葉が、意味として伝わってくる。

世界の人たちの言葉が、あたしのあたまに伝わってくる。


「ありがとう。俺は、隣の奴を助ける。一人でも多くの人を助けて見せる」

「言葉を超えて、俺たちはやっとわかり始めた。みんないいやつじゃまいか」

「奴らも、やっぱり仲間だったんだな」

「さぁ、生き残るぞ!」

「神は、これを和解のための試練とした」

「飢えている奴は、とりあえず俺のところこい!俺の作ったコメをくわせてやるぞ!」

「抗生物質、あまっているぞ。怪我した奴は、みんなこい」

「祈れ。科学のみんなも祈れ。それが俺たちの力になるんだ。魔術の力みせてやる」

「壊れた発電機は全部もってこい。どんなものでも直してやる」

「泣くな!泣くときは、勝利の雄たけびのときにとっておけ!」

「パンを焼くぜ。俺はパンを焼くぜ。」

「浄水器だ。これを隣の村まで届けるぞ」


多くの言葉が一つになってきた。


「私たちは、これからも生き残るぞ!!」


あたしの魔術で、世界の出来事がほかの誰かを伝わって全部つたわってくる。


日本が、魔法世界のために道を作っている。

アメリカで、魔法世界のために飛行機を飛ばしている

ロシアが、毛布をたくさん作ってきた

イギリスが、船で魔法世界の住民をみんな運んできてくれた。

韓国が治安の維持をしている。

フランスが食料を配給している。


ねぇ……どうして……

どうして、あたしだけがこんなに汚れているの?

あたしは間違っていない。

あたしは絶対にまちがっていない!

あははは。

まだ、あたしとしたことが、手段が生ぬるかったみたい。

つぶしてやる。こんな希望なんてつぶしてやる。

やっぱり、直接あたしが手をださなきゃ。

万一、人類が協調したとしてもあたしは必ずひとりぼっち。

魔方陣を書き換えよう。

「孤立」なんていいかな。

それが真実だから。

「裏切り」でもいいよね。

それが、人の本性だから。

「蒸発」ってのもいいかな

誰がいついなくなっても、別にかんけいないでしょ?

もっと、単純に「不幸」なんていいかな。

やっぱり、幸福は存在しないけど不幸だけは確実に存在しているし

「絶望」とかでもいいや。

あたしだけ、こんな気分なのは許せない。

滅ぼすと決めたら、どんな手段を用いても滅ぼす。


ひとつの思念が直接あたしに響いてきた。

今までは意味が漏れ出すという感じだった。

今の思念は、あきらかに直接あたしに向かって放たれた。


「誰かは分からんが、さびしいのなら俺の家にこい。俺の家族とメシでもくわないか?」


え……?


なんで、直接あたしにそんな思念を飛ばせるの?

それにこの人、科学世界の人でしょ。

「ねぇ、あなた。怖がってないで外にでてきなよ。あたしたちと一緒に助け合おうよ。」

「おねぇちゃん。僕たちと一緒に、資材をあつめようよ」

「誰も、あんたを傷つけないから手伝っておくれよ」

「そこのあんた!いい加減ウジウジした思念飛ばすな。私が友達になってあげるからもう希望を持ちな!」

「これが終わったら海に連れてやっているから生き残ろうぜ!」

「絶望するのは、死んでからでも遅くないって!それより、一緒に水はこぼうよ」


え……え……

なんなの?

何が起こっているの?


あたしが刻んだ魔方陣は「意識共有」それは、強制的にほかの人の意識を共有する。

それは、絶対に隠し事はできない。

つまり、あたしの今までの思考が全部……全世界に……


いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああ!!!!


死のう。死のう。

もうダメだ。

早く。早く。早く死ななきゃ。

もう、どんなことしても死ななきゃ。

死ななきゃ。必ず死ねる方法。


そうだ。


禁呪の一つに、生命をそのまま相手に与えるものがある。

これを、緑太郎にかけよう。

あたしの命をそのまま緑太郎にささげよう。

これなら、これなら、確実に死の宣告の呪に関わらず死ねるはず。

もぅ、早く死ぬためならなんでもいい。


緑太郎にあたしの血を飲ませなきゃ。

それが、前準備。

緑太郎の周りに、生命付与の魔方陣を刻んだ。


あたしは、自分の血を口に含み、そのまま緑太郎に口移しをした。


緑太郎は、かすかに動く。

目覚めたのね。よかった。

これで、あたしも死ねる。







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