プロローグ
私は天才だ。
法と罪とモラルとは、ごまかして、壊して、買収するものだ。
努力とは、私以外の人間が行うものだ。そして、私は人の努力をすべて無にしなくてはならない。そうすれば、退屈はしないから。
私に害があるものは、その人の家族を対象にできるだけ残酷な方法で罰されるべきだ。
私は、すべての法律とその抜け穴を知っている。私だけは罰せられることはない。
私は、世界一の科学の知識と発想を持っている。捜査はすべてごまかせる。
そうだ。今、世界の資源がもうすべてなくなりかけている。
この世界に私以外の人間がいるから資源がなくなる。
資源が無いと私の楽しみは全てなくなる。
どうせ、資源がなくなれば戦争で私以外の奴はみんな死ぬんだ。
私が全人類を殺しても、戦争で全人類が死んでも結果は変わらない。
僅かな資源を使いきられる前に人類を殺そう。
私の暇つぶしで使う資源を使いきられる前に殺そう。
そうだ。全部殺そう。人類は、私以外の人間を意味するから。
そのために、作りたい兵器がある。これなら化学兵器でも生物兵器でも核兵器でもかなわない。人類は滅ぼせる。たやすく滅ぼせる。私の僅かな努力で滅ぼせる。
そのためには、人がいる。沢山の実験体がいる。沢山の死体がいる。村でも襲うか。
幸せそうな村でも襲うか。笑顔がある村でも襲うか。子供でも襲うか。それなら退屈が少しはごまかせる。
殺してやる。壊してやる。つぶしてやる。死なせてやる。
そうだ。殺そう。