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妖の巣喰う屋敷  作者: 雪りんご。
一章 -辻斬り-
8/13

決着

「…間に合った」

愛が思わず、その場にへたり込んだ。


「ギィィィィィィィィィイイイイイイイイイイイイ」

鋼鐵は、赦式に捕らえられ、見る見るうちに小さくなっていく。


「遅いよ~、陰陽師」

瞬が屋根の上の翔を見上げる。


「ふん、陰陽師は陽の力を必要とするんだよ。…夜だから発動に時間が掛かっただけだ」

「天下の久遠家が、言い訳かい?」

「ほっとけ」

ニッ、と片頬だけ上げ、笑みを浮かべる瞬。

その笑みに、皆が肩の力を抜いた、その時。


「まだだぁぁぁああ…まだ終わっていないぃぃぃいい」


鋼鐵が再び邪悪な気配を放ち始める。

「おいおい…」

(まだ動けるってのかよ…!?)

内心動揺する瞬。


「しぶといわね…」

疲労しきっている様子の砂雪。

その砂雪を上回る勢いで、鋼鐵は妖気を放つ。

「まずいな…」

現状でまともに動けそうなのは、ざっと周りを見るに、瞬一人だ。


「死ぃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええええええ」


鋼鐵が再び瞬たちに襲いかかろうと、近寄ってくる。

「お前は、ここにいろ。いいな?」

「うん…。だけど、お兄ちゃんは?」

瞬はその言葉には答えず、子供の頭をそっと撫でると、子供の周りに淡い緑色の正方形が出現した。

結立(けつりつ)

瞬の言葉と共に、子供の周りに結界が張られた。

(妖なのに、結界を張った!?)

目を瞠る翔と愛。


「大人しくしてろよ?そこなら、絶対に大丈夫だから」

ニッ、と瞬は笑うと、子供に背を向け、鋼鐵と向かい合う。


(さて、どうするか…)


鋼鐵の妖気はこうしている間にも、再び膨れ上がっていっている。

「参ったね…」

苦笑する瞬。

癖なのか、前髪をかきあげる瞬。

両目に巻かれた包帯があらわになる。


「ジネェェェェェェェェエエエ」


「そういうわけには、行かないんでね~」

ハッ、と短い呼気とともに、口を開いている鋼鐵の刀身に右足で回し蹴りをきめる。

そのままの勢いを利用し、さらに飛んでいく鋼鐵を追い、膝蹴りを入れる。

このたった二回の蹴りで、鋼鐵の刀身は、折れた。


「ふぅ…。こんなことやったのなんか、久々だぁ~」

「おじさんみたいなこと言わないの」

砂雪があきれ半分の口調で言う。

「へいへい~…」

折れた鋼鉄から、妖気の塊があふれ出す。

「お、おのれぇぇぇぇぇぇ!!」


「あれは何だ?」

屋根から降り、瞬の横に並ぶ翔。

「本体さ」

「えらく可愛らしい本体だな…」

妖気の塊は、段々濃い紫色のウサギへと姿を変えてゆく。


そして―――――

「よう、ウサギさん?随分なことやってくれたじゃねぇか」

真っ黒な…先ほどの鋼鐵より黒いオーラの笑みを浮かべる瞬。


怯えたウサギは逃げようとするが、如何せん。

瞬がそのウサギの影を踏んでいるせいか、ウサギは動けない。


何かしらの術だろう。

「影踏み…意地が悪すぎるぜ!!」

笑いながら言う炎龍。

「そうかな~?これぐらいのことで、意地が悪いなんて言ってたら、僕とはやっていけないよ?」

太陽が昇り始める。


「ま、ウサギさんは、僕が適当に処理しとくから。――――――――――――安心して、陰陽師さん?」

意味深な笑みを浮かべる瞬。


その言葉に、顔をしかめる翔。

「…喰えない奴だな」

「そう~?僕は至って普通だと思うけど~?」

わざとらしく微笑む瞬。


「というわけで、君もお疲れ様」

と、愛の正面に立ち、ぽん、と頭を軽く叩く瞬。


「な…」

唖然とする翔と愛。

「じゃ、また。いつか会わないことを祈るよ~。滅されちゃ嫌だからね~」


「好きねぇ、そういうの」

「ふふふっ。

 ――――――――でも、罰は受けてもらわないといけないからね、このウサギさんには」

「あ、わわわわわ…」

ウサギは、気がつくと泡を吹いて気絶していた…。

「ありゃりゃ…つまんないの~」

「主…そろそろ…」

「あぁ、分かってるさ。――――――――じゃあね~」

そう言い残すと、瞬は突風と共に姿を消した。

お久しぶりです。


久々の更新となります。

次は、正直、いつになるか分かりません…。


では、また。

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