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妖の巣喰う屋敷  作者: 雪りんご。
二章 -爆弾魔-
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総本山

「うわぁ…来ちゃったよ…」

大きな陰陽師の屋敷、久遠家を前にしてたたらを踏む瞬。



「兄ぃ、おうちイヤ?」

礫にそんなウルウルした悲しそうな目で見られると、イヤとは言えない。

「いいや、イヤじゃないよ。

―――――ただ、初めてだから緊張するだけだよ」

と、片手で抱く礫の頭をそっと撫でる瞬。





「ほぉ。いい事を聞いた。お前でも緊張することがあるんだな」

突如現れる少女。

例のごとく、琳麗だ。





「…結局ついてきたのか?」

「見ての通りだが?」

「…よし、今すぐ帰れ」

「断る」

即答だった。


「何しに来たんだよ…」

「お前の護衛に決まっているだろう?」

琳麗が当然のことのように言う。

「俺には必要な」

「ないワケないだろう、普通」

琳麗の言葉の意味が分からず、首をかしげる瞬。


「兄ぃ。姉ぇは、兄ぃしんぱいなんだよ」

礫が瞬に進言する。

「そうだ。心配で心配で…」

琳麗が自らの指で泪をすくうしぐさをする。


「何しろ、瞬がいなくなったら私は…。





―――――雇ってくれる奴がいなくなっちゃうからな★」



一気に空気がしらけた。





「薄情者め」

「なんとでも言えばいい。なんと言われようが、私は帰らん」

大きなため息を一つ吐く。



妖と結婚した父は、家の反対を押し切って…否、無視して母の家に嫁いだらしい。

それ以来この陰陽師の総本山「久遠家」には帰ってきていない。

それどころか、瞬自身もここ最近になってやっと知ったレベルだ。


「うわぁ~…。魔よけの結界張ってるし」

強力な霊力も持ち主にしか見えないように造られた、強固な魔よけの結界。

「僕、滅されちゃうかなぁ~」

「お前は半妖だから、完全に滅されないだろう。

―――――御託はいい。とっとと行け」

琳麗が瞬を後ろから蹴っ飛ばし、強引に屋敷の中へと放り込んだ。

「うわっ!!」

前のめりにこけそうになるが、必死にバランスを取り直して持ち直す。


「はぁ…」

心の底から安堵する。

結界に反応しなかった。

(まぁ、妖気を抑えている状態で反応されたら、たまったもんじゃないけどね)



「兄ぃ、なにかいってるよ?」

そう礫に言われて、視線を上げると大柄の男が瞬を見下ろしていた。


「主、ここに何用だ?」

堅い口調で、目つきも怖い。

(あぁ…やだやだ。これだからお堅い家は…)


「はじめまして。翔くんと愛ちゃんの友人なのですが…2人に会えますか?」

最大限の笑顔を作る。

「翔と愛に何用だ?」

(チッ、いちいち面倒な…)


「街で兄弟2人、性質(たち)の悪い妖に絡まれていたのを、2人に助けてもらって…。

ぜひ、お礼をと思い迷惑とは思ったのですが、来させていただきました」

何故“兄弟2人”といったかと言うと、気がつけば琳麗が姿を消していた。

おそらくは、どこか近くにいるのだろうが姿が見えない奴をカウントしても、使えないだけだ。

そう判断し、男に“兄弟2人”と言った。


「そうか。上がってくれ。2人も連れてこよう」

「お邪魔します」

「おじゃまします」

お行儀よくそう言った礫の頭を瞬はそっと撫でてやった。


更新が滞ってしまい、すみません!


これからも、よろしくお願いします。

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