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妖の巣喰う屋敷  作者: 雪りんご。
二章 -爆弾魔-
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爆発

「そんな…」

砂雪が口元を覆う。


先ほどの爆発を調べて来い、

と瞬はすぐさま砂雪とネコ娘を城下に派遣した。


「火の海なのです…」

文字通り、火の海だった。

建物から、何から何までも燃えていた。


物陰から様子を窺う二人。

何処もかしこも火の手が上がっていて、町中が混乱している。



「消火しないと…!!」

と、動こうとする砂雪をネコ娘が止める。


「待つのです、砂雪」

「ネコ娘!?」

「主は、見て来いと言ったのです。

 ここは一度引いて、主に現状を話すべきです」

「でも…。それじゃあ、たくさんの人間が死ぬわ!!」

「大丈夫なのです」


す――――。

と、指差す先には、陰陽師の部隊。

20名あまりの陰陽師たちは、次々と火を消してゆく。


「一度、主に報告。それから、です」

「…分かったわ」


砂雪はそう言うと、渋々その場をあとにした。



●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○



「そうか…」

砂雪たちの報告を聞き、顔をしかめる瞬。


「兄ぃ?」

礫が瞬の着物の裾をくい、と引っ張る。


「ん?」

どこか不安そうな顔の礫に、視線を合わせる。

そして、そっと顔をのぞく。


「こわい」

そう言う礫を抱きあげる瞬。

「うん、怖いな。でも、ここに居れば、大丈夫だ。

 何も怖いことはない。みんながいるし、な?」

瞬にくしゃり、と頭を撫でられ目を細める礫。


「うん。兄ぃは、どこかにいく?」

「ん?」

「母さまは、しんじゃった。しんだら、お花いっぱいのきれいなとこいく。

 ―――――しゅんもいくの?」

瞬は、ぎゅうっと礫を抱きしめる。


「俺は、何処へも行かない。お前が望む限り、ここにいる。

 ―――――礫はどこかへ行っちゃうのか?」

首を左右にブンブンと激しく振る礫。

「ぼくも、どこにもいかない。ここにいる」

「ん」


瞬は礫の額に、軽く口付けをした。

「おまじない。これで、礫が怖がることは、何もない」

「うん!ありがとう、兄ぃ!」




さて、と瞬が話を切り替える。


「砂雪、ここに翔と愛を連れて来てくれる~?」

瞬は礫を抱えながら砂雪にそう言う。

「嫌よ」

即答だった。


「砂雪~」

「なんと言われようと、私は行かないわよ?

―――――誰が好きで、陰陽師の家に行くのよ」

瞬が困ったように笑う。 


「自分の実家でしょう?自分で行きなさい」


そう。何を隠そう、瞬の実家は陰陽師の「久遠家」だ。

もろもろの事情により、疎遠状態となってしまっているが、血のつながりは確かにある。


「翔と愛ちゃんとは、確かイトコの関係にあたるんでしょ?」

無言で頷く瞬。


瞬の父・久遠和莉(あり)の兄、雨莉(うり)の子が翔と愛だ。


「しゅん、おうちいくのイヤ?」

礫にまで、そう言われると何も言えなくなる瞬。


「あいつ等に説明するのが、面倒だ」

と、顔を背ける瞬。

「今行って説明してきたらいいじゃない。

―――――あとあと楽になるわよ?」

「砂雪…。お前は何がどう転がっても、俺をあの家に行かせたいのか?」

「あら、察しがいいじゃない」

ふふふ、と笑う砂雪。



「なんだったら、私が付いて行ってやろうか?」

突如姿を現した少女。

一言で表すなら、「漆黒」という言葉がぴったりの少女。

肩ほどの髪を一つに束ね、袖のない着物を着た姿は、忍の様だった。


「久しぶりだな、瞬」

琳麗(りんれい)こそ。

 ―――――そっちはどうだった?」

その一言で、何かを察する琳麗。


「爆発したのは、家に届いた荷物だったようだ」

「もう、調べてもらってたの?早いわね」

砂雪が半ばあきれるように言う。

「早いのが、売りなのでね」

琳麗が言う。



琳麗は、この屋敷の主である瞬が、何処からか拾ってきた忍だ。

何処で、どういう経緯で拾ったかは、誰も知らない。

が、その腕と情報力は誰もが認めており、この屋敷内では一目おかれている人間の気配のしない、人間である。



「で、どうするんだ?

―――――一人で行くか?それとも、私と行くか?」

瞬は顔を盛大にしかめる。


「…一人で結構です。行けばいいんだろ。行けば」

「最初からそう言え」



結局、瞬のほうが折れて、翔たちのいる陰陽師の家―――――もとい、実家へと向かうことになった。

更新ペースはコレぐらいになると思われます。



これからも、よろしくお願いします。

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