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『クラムボンが死んだ日』
『クラムボンが死んだ日』
「クラムボンは笑ったよ」
「クラムボンはかぷかぷ笑ったよ」
「クラムボンは跳ねて笑ったよ」
与えられたこれらのヒントをもとに
必死に想像力をかきたてて考えた
クラムボンとは何だったのか?
蟹の泡?
蟹の母親?
それとも光?
拡散した思考は収束することなく
ただただ時間だけが過ぎ
正体はついに分からないまま
いつしかクラムボンという言葉すら忘れ
僕は大人になっていた
「クラムボンは死んだよ」
「クラムボンは殺されたよ」
最終的には死んでしまったクラムボン
いったいいつ死んだのだろう?
いったい誰が殺したのだろう?
もしかしたら
クラムボンの存在を忘却の彼方に追いやってしまった時に
僕自身の手で殺したのかもしれない
クラムボンとは宮沢賢治の短編『やまなし』で蟹たちが観察していた謎の存在のものです。
私が小学生の頃は国語の教科書に載ってたけど、今でも載ってるのかな……?