第6-3話 癒しの手(奇跡の光)
なんかさ、ちょっとだけ……がんばっちゃったかも?
いやマジで無理だったんだけど!
でも……気づいたら光ってた。
そんな話です。
ララの母親は、地面に寝かされていた。
腹から胸にかけて斜めに刻まれた深い傷。服は赤黒く染まり、あたりには鉄の匂いが立ち込めていた。
「ヒュ……ヒュ……」
息を吸うたび、喉がかすかに痙攣し、今にも止まりそうな呼吸を刻んでいる。
その傍らで、ララがしゃがみ込んで泣きじゃくっていた。
「お母さん……やだよ……! 死なないで……!」
甘奈は、その光景に息を呑む。
「これは……」
医療の知識なんてない。それでも、さっきまでの浅い傷とはまるで違う。
皮膚だけじゃない。奥のほう——内臓にまで達してる。
見ただけでわかる。……これは、もう——無理かもしれない。
背後から、玉の低い声が届いた。
「……これは無理だな。今のお前じゃ、命は繋げない」
その言葉が、胸に突き刺さる。
だけど、甘奈は唇を噛みしめ、膝をついた。
「……無理とか、知らないし……」
両手を傷にかざす。
目を閉じて、深く、深く、意識を沈めていく。
(……お願い……もっと……もっと深く……!)
光が、彼女の指先に宿り始めた。
これまでよりもずっと強く、あたたかい光。
「やめろ!」
玉が、珍しく焦った声を上げた。
「無理をすれば……お前が死ぬぞ」
それでも甘奈は動かない。
汗が額を流れ落ち、震える体が今にも崩れそうになる。
けれど、その手は、決して離されることはなかった。
「……っ……チッ……」
玉が舌打ちし、自らの手を甘奈の上に重ねる。
「少しだけ……魔力をやる」
見えない何かが、彼女の中へと流れ込んでいく。
「ヤーラ! お前もだ!」
「え……えっ!? な、なんで僕が……!」
「手をかざせ! 魔力を流し込むんだ。少しでもあれば、それでいい」
「で、でも僕……そんなの……!」
「信じろ。自分の中にあるものを。やってみろ」
「は、はいっ!」
ヤーラが震える手で、甘奈の手に重ねる。
——その瞬間。
光が、さらに広がった。
淡くて、あたたかくて、それでいて、確かな力を持った光。
「……傷が……」
ララが、小さく呟いた。
血に濡れていた母の身体が、ゆっくりと。ゆっくりと——
裂けた皮膚が閉じ、血が止まり、苦しげな息が次第に穏やかになっていく。
「お母さん……!」
ララが母にすがりついた、そのとき——
「……っ……」
甘奈の体が、ぐらりと揺れた。
「甘奈っ!」
ヤーラの叫びと同時に、甘奈はその場に崩れ落ちた。
玉がすかさず支え、そっと口元に手を当てる。
「……生きてる。だが、魔力も体力も……使い果たしたな」
集まってきた村人たちの間に、静寂が流れた。
誰もが、ただ彼女を見つめていた。
——たった一人の少女が、命を救った奇跡。
それは、光とともにこの村の記憶に焼きついた。
ねえ、ほんとに寝かせて……マジで限界……。
ギャルの全力見せたからさ、ちょっとくらい休んでもいいっしょ?
次回、たぶん爆睡してます☆




