表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/67

第57話 お城でまさかの“お役ゴメン”とかウケるんだけど?!

やっほー☆甘奈だよー!

まさかお城から急に呼び出されるとか聞いてないんだけど?!

てか王様に謝られるとか意味わかんないし!

「はあ?!」って素で声出ちゃったわw


その日、甘奈たちのもとへ王城の使者が現れた。

きらびやかな紋章入りの外套をまとい、場違いなほどかしこまった様子で一礼する。


「ノクス様、甘奈様。国王陛下がお呼びです。至急、城へ」


その言葉に、空気が一気に張り詰めた。


「何ー!? しかも名指しされてるし……」

甘奈は思わず声を裏返らせた。


ただの報告ではなさそう――甘奈は思わず身構えた。


◇ ◇ ◇


謁見の間に足を踏み入れると、王はすでに玉座から立ち上がっていた。

普段の威厳を削がれたように、深くため息をつき――


「……異世界の娘よ。すまない」


そう言うと、王はゆっくりと頭を垂れた。


「へ?」

甘奈は目をぱちくりさせる。

「え、急に何……? なんか謝られてんだけど?!」


王は続ける。

「そなたをこの世界に呼び寄せ、危険に巻き込んでしまった。

本来ならば背負わせるべきではなかった。……許してほしい」


「え、いや……いまさらそんなこと言われても……」

甘奈は思わず、視線を泳がせる。


王の目は玉へと移った。

「そしてノクス。改めて禁術という愚行に巻き込み、数多の犠牲の果てにその姿を……。知らなかったとはいえ、我が罪である」


玉はわずかに目を伏せたが、口を閉ざしたままだった。


その時、王の背後に控えていた側近が一歩進み出る。


「陛下。……ここからは私が」


王が小さくうなずくと、側近は甘奈たちに聞こえるように言った。


「魔族と繋がる使者より連絡が届きました」


一拍の間を置き、重々しく言葉を重ねる。

「女魔王が実権を握ったことにより、魔族側も以前のように“魔封じ”を行うことに成功したとのことです」


玉の目が細く光った。

「……そういうことか」


甘奈がきょとんとする。

「え、なに? どういうこと?!」


玉は少しためらい、言葉を選ぶようにしてから口を開いた。

「つまりは……甘奈。お前はもう“お役御免”というわけだ」


「……はあああああああ?! ちょっと待ってよ!……何それ……」


がくんと膝から力が抜け、その場にしゃがみ込む。

手から滑り落ちそうになったスマホを慌てて胸に抱きしめ、ぽつりとつぶやいた。


「……意味わかんないし……」


甘奈がうなだれたままの空気を断ち切るように、王は深くうなずいて場を見渡した。

「……私はこの国を導く資格を失った。禁術を止められず、多くの命を失わせた責は重い。

ゆえに――王位を退き、後を娘に託す」


その言葉に謁見の間がざわめく。

背後の幕が揺れ、若き姫が一歩、前へ進み出た。


「……以後は、この私が政を担います」

張り詰めた声が響く。まだ若さの残る顔立ちに緊張が滲むが、その瞳は真っ直ぐに前を見ていた。


「……それって責任取ったことになるの……?!」

甘奈の抗議を、姫は正面から受け止めて小さく息をつく。


「父の罪は、私が引き継ぎます。この国が償わなければならないから」


そう言いながら――ふと玉の方へ視線を向ける。

その瞬間、姫の白い頬にかすかな赤みが差した。

玉は気づいているのかいないのか、淡々とした表情を崩さない。


謁見の間に再び沈黙が落ちた。


その空気を切り裂くように、玉が一歩前へ出る。


「……セリオン王。退位するのは止めないが」

低い声が響く。

「だが、その前にやってもらいたいことがある」


王が顔を上げる。

「なんだ」


「女魔王と――正式に対面できる場を設けてほしい」


謁見の間にざわめきが走る。

「女魔王と、対面……だと?」

王の声がわずかに震える。


玉は表情を変えず、ただ頷いた。


しばしの沈黙ののち、王は苦渋に顔を歪め、やがてうなずいた。

「……わかった。お前の言うことなら何か意味があるのだろう」


「頼んだ」


玉は短く答えると、しゃがみ込んだままの甘奈の腕を取った。

しっかり支えながら引き上げる。


「用は終わった。帰るぞ」


「……ちょっと待って、あたしまだ気持ちが……」

甘奈が涙声で言いかけたところで、玉は彼女を覗き込み、口元をわずかに歪めた。


「歩けないなら……背負ってやるぞ」


「~~っ近いし、歩けるし!!」

顔を真っ赤にして叫ぶ甘奈。


玉はそれ以上何も言わず歩き出す。


去っていく二人を、姫はじっと見送っていた。

その頬にわずかな赤みを帯び、名残惜しそうに視線を落としながら――。

うわぁぁん……。

お役ゴメンとか、あたしここまで来た意味どこいったんですか???

てか姫様まで出てきてなんか意味深だし~!

次回はマジで心の準備いるんだけど……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ギャル ギャグ パッシュ大賞 ネトコン13
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ