第49話 秩序の院の裏話まとめ!まさかのエルディスさん案件!?
やっほー、甘奈だよっ✨
今回はね、ちょっと真面目(?)なお話。
玉から聞いたエルディスさんとか秩序の院の裏事情をまとめてみたんだけど……
え、え、大人ってマジ大変すぎない!?
ってなったから聞いてほしい!
あれからエルディスさん、行方不明になっちゃって。
それに合わせるように、秩序の院も活動停止になったんだって。
ここからは――玉から聞いた話。
昔の秩序の院は、街角で声を張り上げるだけの小さな集団で、
誰からも相手にされず、細々と続けてたらしい。
……エルディスさんは、自分を重ねたのかもしれない。
それとも、ただ利用できると思っただけなのか。
真意は本人にしか分からないけど……。
それで、荒れ果てていた古い教会を修繕して、
当時の代表に「ここを拠点にすればいい」って持ちかけたんだとか。
それをきっかけに、秩序の院は急速に大きくなった。
表立って代表を名乗ることはなかったけど、
実権を握っていたのは――彼だったみたい。
地下には自分の研究室や実験所も作ってあって、
信者にとっては思想を共有する“集いの場”。
そして彼にとっては“自分の居場所”だったんだ。
……でもね、信者のお布施だけじゃ足りなかったらしくて。
教会の修繕、灯火の維持、見張り役への給金。
さらには、表向きの慈善活動としての炊き出しや施しまで。
どれも「表向きの顔」を保つためには欠かせない出費だったけど――
不足分を埋めていたのは、エルディスさんだった。
自分の蓄えを切り崩したり、ときには研究の成果すら売り払って。
玉も言ってた。「彼がいなければ、秩序の院はとっくに潰れてただろう」って。
そこまでして守ってきた場所を――
今度は、居なくなることで活動停止させたんだ。
そして今回のセラさんが魔族にやったことをセリオン王に話して、
「自分の責任」と言い、地位や持ち家の返還まで申し出たんだとか。
「大人って大変だー……」
あたしがぽつりとつぶやくと、
ヤーラはふふっと笑って耳をピクッとさせた。
そんな玉から聞いた話を思い出しながら、
ヤーラと薬草を仕分けていた時だった。
コンコン。
「入るぞ」
ドアがノックされて、玉が入ってくる。
そういえば本名はノクスだっけ。……まぁ、玉でいいよね。
「な、なに?」
玉を見るのが気恥ずかしくて、あたしはわざとヤーラの方に顔を向けた。
「甘奈さん……」
そんなあたしの行動をみてヤーラも苦笑いを浮かべる。
「いい加減この顔になれてくれないか?」
玉が呆れた声を出す。
「だって!」
玉をちらっと見た瞬間、顔が熱くなるのを自覚して――
あわててヤーラに視線をそらした。
「イケメンなのが悪い! あたしはちゃんと“前の方”がいい!って言ったのに……」
玉は思い出したように「ああ」とつぶやき、
意地悪そうに笑った。
「そのあと、ゲラゲラ笑って人の頭を叩いてただろう?
オレはこのままでいるからな」
「そ、それは悪かったってば……」
もとの玉に戻った時、あまりの安堵感で――
「やっぱつるつるの方が玉らしくていいね!」
なんて調子に乗ったのは認めるけど……。
「とりあえず、これからの方針が決まった」
玉があたしに向かって手を差し出す。
「魔導具を出せ」
言われるまま操作すると、新しくロック解除された機能が表示された。
システムのアプリ。
あたしのステータスや術のレベルが数値化されていて、
それを振り分けて強化できる――そんな感じの機能みたいだ。
玉はそれを使って、あたしがすべきことを端的に説明してくれた。
全部は語らないあたりが玉らしい。
「え! そんなこと本当にできるの?」
話を聞き終えたあたしは、思わず声をあげた。
「とりあえず、お前はできる限りレベルを上げろ。
あとは――あいつを」
玉の口元がにやりと歪む。
「もう一度、表舞台に引っ張り出す」
(玉って、たまに悪い顔で笑うよねー……)
そう思いながら、あたしは薬草の整理に戻った。
ふぅ~、説明いっぱいで頭パンクしそうだった~!
でも大人の裏事情って、やっぱ重いね……。
で、最後の玉の悪い顔、やばくなかった!?
(あれ、絶対なにか企んでるやつじゃん!)
「もう一度、表舞台に引っ張り出す」って言ってたけど……
ま、まさか……あの人が来ちゃう?
次回どうなるの~!?
読んでくれてありがとねー!




