第47話 なんであたしが場をまとめてんの?!
やっほー☆甘奈だよ!
ほんとマジでさぁ、ドロドロしてる場合じゃないんだってば!!
セラさんの目とか超ヤバそうだし、雰囲気もガチ重め……。
ギャル的には恋バナは大好物だけど、今はそれどころじゃないし!
大男はリーズを抱き寄せ、ヤーラを鋭く見据える。
「………逃げるなよ」
怒気を残し、テレポートの術で闇と共に消えた。
その直後、通路の奥からかすれた足音が響く。
壁に片手をつきながら、ふらつく影がこちらへ姿を現した。
「……セラさんは無事なのか?」
ダリオだった。
玉たちが秩序の院の地下に入ろうとした際、必死に立ちはだかってきたため、玉が魔法で眠らせていたのだが、どうやら今になって目を覚ましたらしい。
セラの姿を見つけた途端、ダリオは一直線に駆け寄り、顔色を変える。
「セラさんが……! なんで……!」
彼女をきつく抱きしめ、喉を震わせる声をあげた。
セラの動きがピタリと止まる。
「……ダリオなの?」
その声にはわずかな緊張が混じっていた。
「すまない、立て込んでいる」
エルディスはダリオをセラから引きはなそうとするが、振りほどかれる。その態度に苛立ったのか、冷たく言い放った。
「ダリオ、悪いが治療魔法に長けた者か、せめて目に精通する医師を呼んできてくれないか?」
次の瞬間、ダリオはエルディスの胸倉を掴み、荒々しく揺さぶった。
「あなたがいながら! どうして彼女が……!」
エルディスは突然のことに驚き咳き込む。
痩せた体は揺さぶりに耐えられず、ただ翻弄されるばかりだった。
「……げほっ……くっ……やめろっ……」
「あんたが最初から彼女を本気で支えていれば……こんなことには!」
さらに揺さぶろうとするダリオ。その手首を、玉が無言でつかんだ。
「――また眠りたいか?」
冷たい声音に、ダリオははっとして玉を睨みつける。だが、しぶしぶと力を緩め、エルディスから手を放した。
支えを失ったエルディスは咳き込みながら膝を折りかける。
そんな彼を、ダリオは氷のような視線で見下ろした。
「……ま、まさか……今回の件に君も関わっていたのか……?」
咳き込みながらも、エルディスはかすれ声で問いただす。
「ダリオお願いだから、もうそれ以上喋らないで……!」
それは懇願に近いセラの叫びだった。
だが、その言葉に反応したダリオは、今度はセラに向き直る。
「どうしてですか?! 俺たちは……あんなに深く愛し合ったはずじゃないか!」
衝撃発言に、その場の空気が一瞬で凍りついた。
(もう、勘弁して……)
甘奈は心の中で願った。
ヤーラは顔を真っ赤にし、ピンと立った耳を小刻みに震わせながら気まずそうに視線を落とす。
玉はただ黙して立ち、表情ひとつ変えない。
「……ダリオ、お前、何を……」
エルディスは今度は一気に顔色を失った。
「やめてぇえええ!」
セラは叫び、耳を塞いで首を振る。
「ノクスが聞いてるのよ! 変なこと言わないで!」
だがダリオは耳を貸さず、激情を吐き出した。
「腑抜けたエルディスなんかより……私のほうが魅力的だって、あなたは言った!
だから俺は……誘拐まがいの真似までして、あなたを手伝ったんだ!!」
甘奈はもう我慢できなかった。
「ちょっと待ったーーー!!」
目一杯叫んだ。
「ドロドロ展開はお腹いっぱい!! 今はそんな場合じゃないでしょ!!」
その声に場の視線が一斉に集まる。
甘奈はそのままセラに駆け寄り、そっと優しい声で問いかけた。
「……見えないの? 全然?」
優しい響きに、セラの肩が小さく震えた。
張りつめていた不安がほどけたかのように、瞳に涙がにじんだ。
「……真っ暗なの。なにも……見えない」
震える声は、すがるように甘奈へ向けられていた。
甘奈はセラの手を握りしめ、力強く宣言する。
「……あたしが、セラさんの目を治療する。――だから大丈夫」
ふぅ~なんか修羅場って大変だね……。
てか、あたし次でちゃんと活躍できるかな?ドキドキしてきた~!
読んでくれてありがとねん♡
次回もよろしく~!




