第2話 なんでそこにハマってんの!?
気づいたら異世界で、隣には光る裸男!?
描いた絵が勝手に動き出して…なんかもうムリ!
森だった。高く高く伸びた木々が空を覆い隠し、木漏れ日がまばらに地面に落ちている。足元には湿った土と分厚い落ち葉の層。空気はひんやりとしていて、鼻腔に湿った草と土の匂いが染み込んでくる。
その中で、甘奈は制服のまま膝を抱えてしゃがみ込み、呆然とした顔で周囲を見回す。
「……どこ、ここ?」
さっきまでいたのは美術室。油絵の具とターペンタインの匂いが充満する、学校の中の静かな一室だった。それが今は、信じられないほど巨大な木々に囲まれた深い森の中。何が起こったのか、まるで理解できなかった。
そして、彼女のすぐ横には――
顔には目も鼻も口もなく、髪も生えていない。まるで白紙に線だけ引いた人間のようなフォルム。明らかに“人ではない何か”が立っている。
「…………なんか喋れっつーの!」
恐怖と混乱と、ギャル特有の虚勢。甘奈はそれらを全部ひっくるめて声を出す。だが、人型はまったく動かない。
「お前が描いた体だ。使わせてもらった」
「いやいやいや、聞きたいのそこじゃないし!? どっから声出てんの?!てか、ここどこ!?」
「森だろ」
「……そんなん見ればわかるし!」
そのとき、紙のような質感の体がふっと揺れた。
「……しかし、これだと動きづらいな」
瞬間、まっ白だったその体に、じわじわと“肌色”が浮かび上がってくる。質感が出て、筋肉のラインが浮かび、関節や陰影まで細かく描かれていく。
「うわうわうわっ……な、なんか生々しくなってきたんだけど!? やめて!? やめてっ!? おえっ……」
そして顔のパーツ――目、鼻、口がにゅるりと浮かび上がる。
「おえええ……何見せられてんの……」
だが、その顔が完成してしまうと、思わず甘奈は一瞬見惚れた。
「……なんかイケメンじゃん?」
自分が描いた“つもり”のキャラが、こんな風になるなんて。
だが、ふと下に目をやった甘奈は凍りついた。
股間に――見覚えのある黒い玉が、すっぽりと収まっていた。
「?!」
跳ね起きるように距離を取る。
「ふ、服着なさいよっ!? それじゃあ警察に捕まるわよ!!」
顔を真っ赤にして叫ぶ甘奈。人型は淡々と答える。
「お前が描いた絵を借りた」
「いやいや、それ聞いたし!あたしの絵って……もうそれ全然別モンじゃない!?」
「お前が顔を描かなかったから構築した。だが、服と髪は今は無理だな…」
「え!? ムリムリムリ! そんな下半身丸出し野郎と一緒に歩くなんて絶対ムリ!!」
「……注文が多いな。自分で描いたくせに」
光の人型は、ひとつため息をつくように小さく息を漏らし――次の瞬間光を放つ。
「これならいいだろう」
その光は下半身をぴっちりと包み込んでいく。
それはまるで、光のタイツをはいた芸人の江◯2:50のようでって…。
「エガ◯ゃんかよ!!!」
甘奈は全力でツッコんだ。
「まぁ……これで直視はできるようになったけど……早く元の場所に戻してくんない?」
「無理だ」
「いや無理て! ちょっと、あんた……!」
「とりあえず一緒に城に来てもらう」
「……強制じゃん!!」
「こんな所で無駄話をしてる時間はない」
その時だった。
「たーすーけーてー……」
か細く、しかし確かに遠くから聞こえてくる子供の声が、森の奥深くから響いてきた。その声は、不安と恐怖に満ちていた。
甘奈と光の人型は、同時にそちらへ顔を向けた。
「今の……声?」
甘奈の口から、掠れた声が漏れた。森の静寂が、その問いかけを飲み込むように、再び重くのしかかった――。
え、マジで何なんこの世界!?てか服着ろ!!
次はちっちゃい子出てくるらしいけど…あたし帰れるん??
つーか読んでくれてありがとね!マジ感謝〜☆