第13話 え、レベル全然上がってなくない!?色々メンタル削られた件。
やっほ〜☆ 甘奈でーすっ!( ๑˃̶ ꇴ ˂̶)
今回はね、ちょっと多めに狩ってきたんだけど……え、レベルってこんな上がんないの!?まじで泣いた。
「…疲れたー!」
ウサギモンスターの群れをなんとか狩り終え、甘奈はその場にへたり込んだ。
「ねぇ、玉。これでレベルが30ぐらい上がったかな?!」
興奮気味に尋ねる甘奈に、いつも冷静な玉が、珍しく目を見開いて言った。
「その魔導具で自分を撮ってみろ」
玉が指差したのはスマホ。どんな状況でも自撮りするならポーズは欠かせない。
「って…え…?まじ?」
画面に映った数字に、甘奈は目を疑った。
『レベル4』
「まじだ。しかもお前は元々レベル2くらいだったから、上がったのは2だけだな」
「えー!もうメンタル的に崩壊なんですけどぉ!」
盛大に嘆く甘奈をよそに、玉は淡々と続ける。
「こいつらは冒険者でもない大人でも倒せるレベルだ。経験値が低いのは当然だ」
「でも、美味しいお肉は食べられますよ!」
ヤーラが元気に笑った。
「今回の目的はレベルじゃない。魔法の使い方と、体の動かし方を覚えるための訓練だ」
玉の言葉に、甘奈の胸に一瞬、あの獣人の村で見た焼け跡の記憶がよぎった。
どこか、焦る気持ちがこみ上げる。
「……でも、ゆっくりしてるとまた……」
「モンスターの発生には周期がある。焦るな」
玉は甘奈の不安を見透かしたように言い切った。
「とりあえず、キリのいいところで切り上げる」
「え?もう帰るの?」
甘奈は倒したモンスターたちを見下ろして言った。
「んー……こんなに倒したのに、このまま置いてくのもったいなくない?」
玉は振り返らずに答えた。
「野生動物の餌になる。無駄ではない」
「そ、そうだけどさー。さっきのウサギ、めっちゃ美味しかったし……できればまた食べたくない?」
玉は軽くため息をついてから宣言した。
「……では、空間収納を使う」
その瞬間、倒れていたモンスターの亡骸が、玉の股間あたりへと吸い込まれていった。
「……は? え!? ちょっとなにしてんの!?」
あまりに予想外な光景に、甘奈は思わず叫んだ。
「この空間なら腐敗せず、運搬も効率的だ。合理的だろう」
「腐らないんですか?!すごい!」
ヤーラは目を輝かせている。
「いやいやいやいや! 無理無理無理ぃ! そこに入った肉とか、あたしもう食べられないって!」
玉は相変わらずの無表情で返す。
「忘れてるようだが、俺の本体は“黒い玉”だぞ。収まってる場所が場所だから、生理的に嫌悪感を抱くのは理解するが」
「あ…(忘れてた)」
甘奈は青ざめる。どれだけ人型に見えていても、玉は人間じゃない。どこに収納しようと本人にとっては“普通”なのだ。
「空間能力は魔力を消費する。わがままを言うなら、戻して置いていくが?」
「う、うぅ……それは……」
「どうする?」
迫られ、甘奈は悩んだ末、ぐぬぬと唸って力なく答えた。
「……お願いします……(もう、考えないようにしよ……)」
「テレポートするのか?」
「いや、楽はしないって決めたし。薬草を摘みながら帰るよ」
「それがいい。薬草はどこのギルドでも重宝されるからな」
そう言われ、甘奈は学生バッグを背負い直し、周囲を見回す。
「僕も手伝います!」
「まちがって毒草を摘むなよ」
「わかってるってばー」
疲れた体にむち打って、甘奈は草を選びながら歩き出す。
精神的にもだいぶ削られた気がするけど――
口元にほんの少し笑みを浮かべながら、甘奈は帰り道を歩き始めた。
読んでくれてありがと〜っ!
ウサギは倒せたけど、レベルは全然上がらんし、玉は変なとこから肉収納するしで、もうメンタルぐったりなんですけど〜!?(涙)
でもまあ……ちょっとずつ頑張るっしょ!ギャル的に☆
次もよろしくね〜!ばいちゃっ!