第6話 タスク探し♯2
先ほどの怪しい求人情報屋よりも、もっと路地の入り組んだ場所。
日当たりの悪い、閑散としたそこに、雰囲気漂うホラーハウス並みの建物が一軒ありました。
「どうやら、ここのようですね」
「ちょ、ニコ。
もっとましな所無いの!!」
「無いですね。
ここが情報からしたら一番、信用出来るところです。
なんて言ったって・・・・・・
一応、『“第八円周状”領主直属ギルド』って書いてありますし」
「イヤ、それ絶対嘘だと思うよっ!!!」
(だって、どうみても・・・・・・そんな立派な風には見えないんですけど)
むしろ、怪しすぎるだろう。その情報と、この建物の外見では。
求人情報屋から受け取った情報は全部で三つ。
探すのが難しいと言っていた通り、全てが全てどこか胡散臭いものばかりの情報で、その三つの中、一番の好条件だったのがこの『“第八円周状”領主直属ギルド』と見出しに書いてあった“レチア組合”。
『我が組合は、“召喚師”を求めます。
学歴、性別、年齢、出身地などは一切問いません。
我々とともに戦ってくれる、その意志さえあれば合格です!
給料は、直談判。衣食住付き。期間限定な自由契約者でも歓迎♪
場所は・・・・・・』
「だってルカ様。
今のルカ様にとって、こんなにも好条件でしかも、公のギルドですから給料もガッポリ。
期限付きでもOKなところなんて・・・・・・そうそうこんなイイ仕事、無いですよ?」
「世の中、そんなに甘くないです」と言わんばかりのジト目でニコはルカを見た。
しかし、ルカからしてみればどうも信用出来ないから仕方がない。
「じゃあ、こんなに条件よくって、しかも領主直属の組合の求人が・・・・・・どうして、さっきの裏ルートっぽい情報屋に回されてるんだよっ!!
本当にいい職場なんだったら、僕よりさきにもう決まってる人がいるだろうし」
ジジジジ~
「はいはい、では入ってみましょうね~」
「っっって、僕の主張は総無視かっ!!」
なんて化け猫だ。
完全に主導権はルカからニコへと移動してしまっている。
ニコは問答無用でルカの言葉を無視し、勝手にドアベルを鳴らす。
「ぼ、僕、絶対、こんなところで働かないからなっ!!」
ここは意地だ。
今、ここで主導権を奪い返しておかなければ、もう二度と自分の意見が通ることはないだろう。
(てか、僕の夢のはずなのに・・・・・・もしや、主人公はニコか?)
いいや、僕であるべきだ。
この中々従わない夢にも、リードをつけるチャンスとなるだろう。
何が何でもこの主張は曲げない、曲げられないっ!!
そう思ったのに・・・・・・
ボソッ
「チっ、全く手のかかるガキが・・・・・・俺がこんなにもしてやっているというのによ・・・・・・」
アレ?
今、何か上手く聞き取れないほど黒い発言がニコ様の方からしたような?
き、気のせいで、ですよね・・・・・・(汗)
いいえ、どうやら、こちらがニコ様の本性のようでして。
「はいはい、ゴチャゴチャ言わずに。
ほら、レチア組合の人出てきますよ?」
そう言いながら、グググと僕をドアの方へ突きだすニコ様のお力は素晴らしいものでした。
「はーい、今、行きますんで」
ドアの中から聞こえてきた若々しい女性の声。
その声を聞き、少しホッとする。
(良かった・・・・・・怖そうな男の人とかじゃなくて)
天性のビビリなルカは、若干、気を抜いてドアの前で待った。
ガチャリ
「いらっしゃいませ~。
こちら“レチア組合”でございますぅ。
今日はどんなご用件で?」
綺麗なソプラノの声。
その心地のよい声は、聞いただけで女性のものだとわかる。
しかし、出てきた人は、
「「・・・・・・(絶句)」」←ルカとニコ
ルカの身長よりも遥かに高く、見えているところだけでもたくさんの生傷が見える、いかにも怖そうな、マッスルボディーの屈強な男の方でした。