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第5話 タスク探し

「えっ、僕が稼がなきゃならないの~」

「ええ。

だって無理でしょ、わたちは上様から召喚されルカ様のお側仕えを言い渡された、ただの化け猫ゴブリンキャットですし。

何より、ルカ様には“召喚”という商売になる素晴らしいお力があるじゃないですか」

「あー、そう言えば『召喚師になれっ』みたいなこと言ってたねー、あの声」

(あっ、やっぱり猫じゃないんだ・・・・・・と、今はそんなことよりも)

思いだした重要事項、その2。

これが一番意味がわからないんだな。

「ねー、その“召喚師”って何なの?

なんか生き物を異世界から召喚する的なよくあるアレなの?

てか、何でそれがそんなに素晴らしい力なんだ?」

(本当はもっと聞きたいこといっぱいあるけどな)

一先ず、これくらいにしておこう。

これから長旅になるのなら、聞く時間はたっぷりあるということだろうから。


「“召喚師”というのは、ルカ様の仰っていることで大体あってます。

正確には宇宙コスモと呼ばれる自身の心の中の異なる空間から、一般的に“魔物”や“天使”なんて呼ばれている者を呼び起こし、契約をして命令などしたりするんですが・・・・・・。

“召喚師”は素晴らしいですよ!!

もう、エリート中のエリートっ!」

「へぇー、そんなに」

いまいちピンと来ない。

というか、僕、“召喚師”って言われる前に“召喚”もしたことないんですけど。

そんなルカの心中を察してか、ニコは歩きながらも話しを進める。

「まぁ、大丈夫ですって。

こういうのは口で言っても分からないものです。

やっぱり実践が一番かと。

だから、“召喚”が活かせるお仕事を探しましょうね」



今、ルカとニコが歩いているのは、先ほどの賑やかな広場から一変、薄暗いどこかの裏路地。

少しカビ臭い、人と化け猫一匹が横に並んでギリギリ通れるくらいの狭い道。

(おいおい、仕事探しでこんなとこ通るなんて・・・・・・何かヤバイ仕事探しなの)

ルカはもうこの時点で怖気づいてしまった。

一体、ニコはどんな非ルートの仕事をさせたいのか。


薄暗い路地の角を、何度か曲がった数分後。

「着きましたよ」

そう告げたニコがルカを連れてきた場所は、先ほどよりは広くなった道の一角。

所々破けたボロボロのテントを張り、腐ってしまっている大きな机にビッシリと何かが書かれた紙が貼ってある、お店・・・・・・っぽいところ。

一瞬、店の主人がいないようにも見えたが・・・・・・よくよく見ると薄暗いテントの中、一人屈強そうな男が座っているじゃないか。

「いら``っじゃい」

低音の枯れた声。

道一体に響くほど大きくないその声は、どうやらルカとニコへと向けられているようだ。

「・・・・・・(ビクビク)」

「あっ、ご主人。

召喚師のお仕事で、こちらの方が働いても割の合うお仕事ってありますかね?」

完全に怖さの余り、苛められっ子体質が全開に出てしまったルカは動けずに固まってしまった。

そんなルカを差し出すかのように、ニコは前へとルカの背中を押し出す。


ジロリ―――


ルカを店主の男がひと睨み。

「おいおい、その別嬪な嬢ちゃんなら、もっといい仕事がいっぱいあるけどなぁー」

ゲヘゲヘと下品な笑い声が聞こえてきた。

どうやらルカに、ちょいとピンク色のお仕事を勧めているようだ。

(僕は女じゃないっ!!)

心の中で反論するものの、決して口には出せない。

臆病者チキンなルカの変わりに、ニコがそつなく店主の言葉を受け流してくれる。

なんて、気の利く化け猫なんだろうか。


「いやいやご主人。

あれだったら、わたち達、他の店に行ってもいいんですけど」


ジャラリ


どこから取り出したのやら。

多分、中身はお金であろう袋をニコがジャラジャラと揺すってみせた。

「ちょっ、そのお金っ」

「しー、ルカ様は黙っていてください。

大丈夫、わたちがちゃんとルカ様にお似合いのお仕事を聞きだしてみせますから」

ルカを黙らせるニコ。

(違う!!ニコのお金があるなら僕、別に働かなくてもいいじゃん!!)

結局、言いたいことは言えずじまい。


「チっ、でもなぁ。

確かに“召喚師”ってのは金になるし、人も少ないから求人は多い。

だが、どう見てもその手の学校に出てない、まだまだガキな嬢ちゃん雇うところとなるとなぁ・・・・・・」

ニコが見せたお金の効果があったのか。

色々とぼやきながらも、男は店の奥へとすっこんでいった。

どうやら、ちゃんと探してくれるらしい。



~数分後~



「ほいよ、見つかったぞ」

そう言いながら店主が出てきて、紙きれを二、三枚提示してきた。

そして、それをニコが受け取る。

「有難うございます。

では、こちらが報酬ということで」

引き換えにジャランとお金を置いて。

(あぁ、あのお金の分も僕は働かさられるのか)

男がお金を受け取るともに、ルカはトホホと落ち込んだ。









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