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第4話 なりかけのブルーボーイ♯2

「あ、ああ、そんな、ついに僕は女の子に・・・・・・!!」

夢の中なのに、実に理不尽なものだ。

こんなにも、現実感があるなんて。

何度も水面をのぞき込み、その度に絶望しているルカ。

そんなルカの横で、ニコと名乗った猫っぽい何かはこの変化を冷静に判断し、勝手に解説し始めた。

「あぁ、それは性転換ブルーボーイの呪いですね。

きっと、上様がお掛けになられたのでしょう」

「えっ、呪い?」

「えぇ、呪いです。

殿方を女性へと変える呪い、じわじわと」

「じわじわと?」

そう言われて、急いで自分の胸元を触ってみた。

しかし、別段柔らかいわけでも、ふくよかになったような変化もなく、改めて全身を調べてみたが、どうやら変化があったのは服と髪だけのようだ。

声もまぁ、元がそんなに低いと言えるものではないが、そのまま。

「でも、そんなもの一体、誰が・・・・・・って、あいつか」

そこでようやく思いだされる、あの声の存在。

「確か、『アインツに会いに来て』って」

しかし、おかしい。

もっと何か喋ったはずなのに、思いだされるのはそこの部分のみ。

(夢だから、もう忘れちゃったのかなぁ?)

そう言えば。

この夢の始まりは一体どこからだったのだろう―――?



「その“アインツ”って言うのは、場所の名前でございます。

第一周円状アインツ”のことでして・・・・・・まず、ルカ様にはこの世界の地理をわたちがお教えしましょうか」

そう言うとニコは、ポンッと噴水のふちに飛び乗り起用に座った。

(えっ、座るのにその二股は邪魔じゃない?)

変なところに気がいってしまうルカに、ニコは自分の横へ座るようにと勧める。

「いいですか?

まず、この世界・・・・・・というか大陸は、大きな円状の大地が大海の上を何重にも浮かび上がって出来ています。

まぁ、簡単な例えを言いますと、小さなドーナツの外を大きなドーナツが囲み、またそのドーナツよりも大きいのが外を囲み・・・・・・円状の大地は全部で12個。

それを中心の円から順番に、“第一周円状アインツ”、“第二周円状ツヴァイ”、“第三周円状ドライ”と呼び・・・・・・最外殻の“第十二周円状ツヴェルフ”が現時点では『世界の果て』と呼ばれております」

「へぇー。

でも、その『現時点では』っていうのは何?」

「はい。

それはですね、実はその“第十二周円状ツヴェルフ”が発見されたのもつい最近のことでしてね」

「発見?」

(おいおい、僕の夢。何でこんなに設定が深いの?)

何かちょっとややこしいなぁと思いつつも、ルカはちゃんとニコの話を聞き続ける。

「この大陸、最近発見されたその円の外には、まだ広大な海が広がっているのです。

しかし、その先に行った者は誰もおりませんし、誰もどこまでが世界なのかを知りません。

つまり、“第十二周円状ツヴェルフ”から外は未開拓地、“未知の世界”なのです」

「はぁ」

ちょっと誇らしげに話すニコの様子から、どうやらニコはその“未知の世界”とやらに興味があるようだ。

(それって僕が宇宙に興味を持つみたいなもんと一緒か)


「まぁでも、一先ず“未知の世界”のことは置いといて、と。

そうですか、“第一周円状アインツ”まで会いに来いとのことですか。

それはそれは、長旅になりますねぇー」

うーんと悩むニコの発言にルカはふと、気になり、今更ながらの質問を投げかけた。

「長旅になるって・・・・・・まず、ここどの大陸なの?」


「えっ、ここですか。

ここは“第八周円状アハト”ですが?」

今更のことでも、ちゃんと答えてくれるニコ。

しかし、ニコの言葉にルカは少し疲れを感じた。

「えーと、それは随分と遠いところで」

「はい。

ですから、この街で旅費を稼いでから出発することにしましょー」

「あぁ、そうだね」

実際、ルカは現在、無一文だ。

(しっかし、この夢。妙にリアル感満載だよなぁ)

こういうところは夢っぽいのにと、ルカはニコのフリフリとリズムよく揺れるしっぽ達を見た。

(あぁ、でも和むからいいかー)

もともと、可愛い動物に目がなかったルカだ。

この夢も少しはいいとこあるじゃないかと、一人和み、微笑む。




「じゃあ、ルカ様。

わたちとルカ様の分、しっかりと稼いでくださいね」



そう、ニコに笑顔で告げられるまでは―――







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