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第18話 森にとってはニューサンス

見るも無残なその光景。


木々はなぎ倒され、本来の森の生がその場にはなかった。

鬱蒼と生い茂っていた緑たちはどこへやら、今は変わりにブヨブヨになった狼頭の倒れた姿があちこちに。

しかし。

その全ての元凶である水は、一滴も見当たらず。

大量の水を統べたテフヌートの姿も見当たらず。

あの神々しい光でさえ、今は皆無。お日様もどうやら沈みそうな勢い。



先ほどまでのアレは一体、何だったのだろうか?

ニコは茫然としていた。

目を見張り、他のメンバーと同じ驚愕を顔に表し、何も言えない。

びっくりだ、本当にびっくりだ。

あのルカ様が。昨日までに限らず、終始ビクビクと弱弱しいヘタレだったルカ様が。あの上様の御子とはいえ、召喚術を例の出来事で「知らない」レベルまで完全に忘れていたルカ様がっ。

何のお力も借りずに


「自ら・・・・・・発動なさった!?」


驚きだ。驚愕だ。びっくりだ。

(あぁ、何とも嬉しいものです。

これでわたちの負担も大分軽減されたというもので・・・・・・)

何とも喜ばしいこと。

ニコは自分のことで喜び、ついで感覚であの女性ひとにも心の中で伝わりもしないことを伝えてみた。

(良かったですね、妃雫ひな様。

あなたが望んだ通り、ルカ様は着々とこちらの世界に適応しているようですよ。)




全てが終わった。

へっぴり腰ながらも果敢に狼頭へ挑んだルカ。

待ちに待ち望んだテスト結果は・・・・・・


「もちろん合格だわ!!」

感極まったソフィーの声。

彼女は急いで結界を解き、ルカへと駆け寄る。

そして思いっきり抱きついてやり、頭をガシガシと撫でくり回して褒める。

「よくやった、ルカ君。

というか、よくぞウチのギルドに来てくれた!!・・・・・・って、アレ?ルカ君?」

しかし、「わぁっ、ソ、ソフィーさん!!?ちょっ、ちょっと止めてくださいよ~(汗)」のような予想していた反応がルカから返ってこない。

それを疑問に思ったソフィーは、即座に手をルカの頭から離し、今度はルカの目の前で振ってみる。

「・・・・・・」

「あー、なるほどねぇ」

ルカの無反応にソフィーは納得。


「ん?

何が納得なんです?」

その独り言じみたソフィーの言葉に、後ろから駆けやって来たリースが首を傾げて聞く。


「この子、気を失っているのよ」

「えぇっ!?

ルカ君、大丈夫ですかっ」

「多分、大丈夫。

見てたでしょ、さっきのルカ君の勇士。

あんだけの高等な召喚術使うほどの精神力と体力のある子よ?」

「はい、見てました!!

すごかったですねー。私、ソフィーさんの魔術以外であんなに鳥肌立ったの初めてですよ!!

・・・・・・にしても、私が知ってる召喚術とちょっと変わっていたよう、な?」

「そうね、アタシも地面に紋様、又は呪文を唱えて召喚する方法しか見たことないわ。

あんな自身の血を契約に捧げるような方法・・・・・・見るのは初めて」

そうリースと会話しながら、ソフィーは意識を失っているルカを抱き上げた。

お姫様だっこで。

残念ながら、今のルカはソフィーが抱きかかえれるほどに軽い。

きっと本人が今、目を覚ましてしまったら相当落ち込んでしまいそうだが。


「よっと」

はい、抱き上げ完了。

「リース。

もうそろそろヨークの奴も起こしちゃって」

「わかりましたぁ。

ヨーク、起きてくださいよー!!もう戦いは終わりましたよー!!」

ゆさゆさ、り。

リースがさっきまで結界が貼られていたところで地面と仲良くやっているヨークを起こしにかかっている中。

ソフィーは大事にルカを抱きながら、何故か暗くなりかけている空を眺めているニコの前まで行き、聞いてみた。

「・・・・・・さっきのルカ君の召喚術。

アレ、アタシは実際に見たことはなかったけど、昔本で読んだことがあるわ。

―――なんで箱入り娘な、まだまだ子供なルカ君が“旧式召喚術ロイヤル・ダ・カーポ”なんて使えているのかな?

確か“旧式召喚術”は相当前からすでに伝承されなくなってるはずだし、第一あの召喚方法は“魔族イニシェーター”にしか伝わってなかったものだと書いてあったけど?」

「なぜかしら?」とソフィーはわざと小首を傾げて聞く。

(どうせ、大体のことは見当がついてるんでしょーに。

はぁー、意地の悪い方が上司とは辛いなぁー)

「・・・・・・」

ニコは心中で色々と思いながらも、ソフィーには一言も返さなかった。

ソフィーもそんなニコの無言に、さらに問い詰めようとはしない。

どうやら、もともと返事を期待していなかったようだ。

ニコが答えずしてすぐに、「まっ、どーでもいいけどね。ルカ君が正式にウチに入ってくれるならさ」と言ってリースとヨークがいる方向へと歩いて行ってしまった。

今のニコと違ってそんな余裕あるソフィーの後ろ姿を見ながら、

(もうこれ以上、第三者に悟られてはいけない!!)

ニコはそう思った。すごく思った。




「んー、ヨーク起きた?」

「・・・・・・(コクリ)」

「そう。

・・・・・・でも、久しぶりの戦闘で随分体力消耗してるみたいね?」

「・・・・・・どうやら」

ヨークとの短い会話から、ソフィーは「うーん」と何かを悩んで決断した。


「よしっ。

ルカ君もヨークもこんなんだし、日も暮れてきてからこの森戻って事務所に戻るのも大変そうだし、せっかくここまで来たことだし・・・・・・今から“第七周円状ズィーベン”に行っちゃいましょう、久しぶりに!」





リーダーの独断で、

次回は、どうやら“第七周円状ズィーベン”からお送りされるようです。。










こんにちは、春日まりもです。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます!!


実はここまでの中、間違いをいくつか発見いたしました。

間違い自体が物語に影響するようなものではございませんが・・・・・・

●ソフィーの一人称が「アタシ」から、「私」になっていた。

 正しくは「アタシ」です。

●リースがヨークを呼ぶ時、呼び捨てと「さん」付けがごっちゃになっていた。

 正しくは呼び捨てで。


すみませんでした。

今から訂正してきます。


今回、春日が自力で見つけれた間違いはこの二つでした。

もし今までの話の中で(これからの話の中でも)、「あれ?これ違うんじゃ・・・・・・」とか、誤字・脱字などに気付かれた方がいらっしゃいましたら、お手数ですが春日までご報告を下さいませ。

(自分じゃ気付けてないものがあるかも知れませんので(汗))


本当にすみませんでした。


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