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第9話 一室でのダイアログ♯2

「さきほど言いかけたことですが・・・・・・」

続く沈黙を最初に打破したのはニコであった。

そうだ、このままでは話が進まない内に日が暮れてしまう。

「この世界では、人を四つに分けております。

まず、“人間スタンダード”とは、文字通り普通の人間。魔術も召喚も出来ない人のことです。

次に、“半人間ハーフテッド”は、人間でありながら魔術又は召喚術の能力アビリティーを使える・・・・・・能力者と人間の子です。しかし、能力が使えると言っても、大半の“半人間”の力はそこまでございません。

そして、ルカ様のような召喚師や魔術師たちを“能力者ネオアビリティー”と呼びます。まぁ、ここの説明は以前させてもらいましたので割愛します」


「へ、へぇー」

(や、ややこしい!!)

若干、頭が混乱してきたのでここで整理、と。

(えーと、簡単に言っちゃえば、普通の人間が“人間スタンダード”で、ちょっぴし能力使えるよーな人が“半人間ハーフテッド”、そんで能力バリバリ使えますが“能力者ネオアビリティー”・・・・・・って、一つ足りなくない?)

ルカはそこで気付く。

確か、ニコははじめに「四つに分類される」と言っていたはずだ。


だけれど、その残りの一つを言わなかったのは、ニコのあえての選択だった。

「最後に・・・・・・最後に、この世界といっても過言ではない大陸を支配している、“魔族イニシェーター”と呼ばれるお方達がいらっしゃいます」

「“魔族イニシェーター”?」

(おいおい、ますますゲームっぽくなってきたぞ)

心なしかニコの言い方がいつもより丁寧なように感じられる。

多分、いや、かなり“魔族”ってのは上のお方たちなのであろう。



「ねぇ、人の説明、終わった?」

一通りニコの説明が終わり、ルカの理解も深まったころ。

先ほどの少しシリアスな雰囲気はどこにやら、ドカッと座るソフィーがそう訪ねてきた。

「終わったんだったら、アタシんところの他のメンバーの紹介の続きするけど・・・・・・もう、イイよね?

今、アタシの隣にいる、紅髪のこの娘、魔術師のリース。主にここの事務の仕事したりしてくれてるから」

そうソフィーに紹介され、リースがぺこりとお辞儀した。

(あぁ、この人。まだまともそうだ)

最初に合ったのが化け猫で、次にマッチョに化けたソフィーで・・・・・・。

ルカはまだリースのことをよく知らないが、何故かすでにルカの中で高感度ナンバー1な人物になっている。


「あとね、もう一人実はいるんだけど・・・・・・リース、“ヨーク”の奴は今、任務中?」

「はい。

現在、『ルルアさん宅の犬の世話』の任務に就いており、不在ですね。

明日の朝には戻ってくる予定ですけど」

(何だよ、その任務内容・・・・・・)

リースが言う、そのもう一人のメンバーさんの任務内容を聞き、本当にこのレチア組合が経営破綻へと向かっているのがよくわかった。

そして改めて思う。

(僕、こんなところに本気で就職していいのかな?)

まぁ、本気も何も・・・・・・これは、どうせ“夢”だから―――



「ヨークがいないなら、アイツの紹介も含めてテストは明日にするか」

「そうですね。

もう、こんな時間ですし」

そう言いながらリースの見たこの部屋の窓の外は、もうすっかり漆黒へと包まれていた。

「テストって・・・・・・僕が入るかどうかのやつ?」

「そうよ。

っていっても、そんな大層なやつじゃあなくて、召喚師として使えるかどうかのテストだけどねー」

(あー、僕、まだ召喚術とやらを使ったこともないんですけどねぇー)

あぁ、先が思いやられる。

チラッと、ニコを見てみた。

「きっと、この化け猫もそれなりに不安なんじゃあ?」と見てみたが・・・・・・そんな表情はなく、今夜泊めてもらえるかとさっそく、ソフィー達に頼んでいる。

「はぁー」


早く、

早く覚めればいいのに・・・・・・こんな心地悪い夢なんて。






「どうぞ。こちらをお使いください」

ルカとニコは結局、レチア組合の二階の空き部屋へと泊めてもらえることになった。

リースに案内されたその部屋も、結構綺麗な部屋で。

ベッドが二つと小さなテーブルに椅子、タンスなど日常に必要なものは全てそろっている。

まるで、つい最近まで誰かが生活していたような・・・・・・?

「まぁ、いいか」

そのことを考えるほど、今のルカに体力は残っていない。

今日は疲れた・・・・・・というか、夢で疲れた。


ボスっ


ベッドに大きくダイブ。

眠たいルカの瞼はすぐに閉じようとする。

まどろむ意識の中、聞こえてくるのは誰かの寝息。

きっと、ニコはルカより一足さきに夢の中へと旅立ったのだろう。


「・・・・・・あっ、そう言えば・・・・・・夢って・・・・・・」


ふと、一つの疑問が上がった。


「夢って・・・・・・夢の中で眠っても続くものなの?」


というか、まず夢の中で眠るというのは?

というか、この夢、そもそも長すぎやしないか?


ガバッ


ルカは突然、眠る体制に入ってしまっている体を無理矢理起こし、ある物を探した。

いや、探すまでもなかった。

ペンと紙は都合よく、ルカのベッドの横の棚の上に置いてある。

ルカはペンを手に取り、勢いよく紙へ文字を書き連ねた。

走り書きの数行。

それを書き終えると、ルカは満足し、再びベッドへ横たわる。

今度こそは、ちゃんと寝るために。






『おはよう、僕。

僕の目の前に、二尾の猫が見えるか?

別に寝てるとか、起きてるとかはどうでもいい。

もし、ちょっとでも可笑しな猫が見えたら、即刻、自分の頬でもつねって起きろ!

―――これは、まだ夢だっ』







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