外伝α 第二話『覚醒』
「……やっぱりここにいやがったのか、亜獣!」
息を呑む間もなく、空気が震えた。
闇の奥から現れたのは、禍々しい影──毛皮は濡れたように黒光りし、裂けた口の奥で涎が糸を引いていた。
俺は反射的に灯火の前に立ち、腕を広げて庇う。
足がすくむ音が、すぐ後ろから聞こえた。
亜獣は獲物を見定めるように、低く、重く、一歩ずつ地面を踏みしめてくる。大地が、わずかに揺れた。
その足音は、死を連れてくる足音だった。
「───亜獣だ。はじめてみた…亜獣…、亜獣」
灯火の声が掠れている。
恐怖ではない。どこか夢を見ているような、陶酔にも似た響きだった。
「灯火?お、おい!!灯火!危ねぇぞ!!」
制止も虚しく、灯火は亜獣の方へ歩き出した。
その小さな足が、ためらいもなく前へ進む。
掌を開き、まるで愛しいものを抱きしめるように腕を広げ──。
「亜獣ちゃん…!抱かせて…!抱いてみたかったの…!」
「ッ!!」
亜獣が吠え、地面を蹴った。
反射的に俺は灯火を抱きかかえ、地面へ身を投げ出す。土の匂いと風圧、世界が裏返るような衝撃が背中を打った。
「──ッ、いてて…。おい、馬鹿な真似するな灯火!死にたいのか…!!亜獣は犬や猫じゃねえんだよ!通称『人喰いの亜獣』──人間をただの肉と認識し、捕まったら最後、地獄の底まで喰らい尽くされる。それだけ危険な動物なんだよ!中には食うことだけじゃねえ、麻酔や毒を持ってるやつもいる!とにかく危険なんだ、無茶な真似はすんな!!」
腕の中で、彼女の体が小刻みに震えている。
俺はその肩を強く掴み、息を吐き出す。怒鳴った声は、自分でも驚くほど掠れていた。
ゆっくりと立ち上がると、亜獣が再びこちらを見据えていた。黒曜石のような瞳が月光を反射し、口角から滴る涎が、土を焼くように泡立っている。
「……俺がやるしかねえのか。俺は戦闘経験ねえし、戦闘とは無縁の世界で生きてきたってのによ。」
「───勝てるわけない。あなたじゃ絶対に勝てない。」
背後で囁く灯火の声。その言葉が、ほんの一瞬、胸を刺した。だが、事実だった。
理屈では分かっている──それでも、逃げるという選択肢は浮かばなかった。理由もなく、ただ「立たなきゃ」と本能が叫んでいた。
「…おりゃぁぁぁ!!!」
地面を蹴り、全身の力を込めて走り出す。
握りしめた拳を振り抜く。だが、亜獣の突進は速かった。風圧と同時にぶつかり、世界が回転する。視界が白く弾け、地面が遠のく。
「ぐふっ…!ゲホッ……ゲホ……。」
土を噛み、血を吐いた。肺が焼けるように痛い。視界の端で、亜獣がゆっくりと灯火へ向き直るのが見えた。
「あ…あっ…。わ、私、逃げないと…。っ。なんで、足が動かないっ…。」
灯火が震えている。逃げたいのに、体が拒む。
恐怖が心を縛り、筋肉から命令を奪っていく。
亜獣が低く唸り、首を下げた。
次の瞬間、地を蹴る。
「うぉぉぉぉぉぁぁぁぁぁ!!!!」
俺は叫びながら立ち上がり、横からタックルをかました。体がぶつかる鈍い音。互いに弾き飛ばされる。
土煙の中、俺は立ち上がり、妹を再び庇う位置に身を置いた。
「はぁ…はぁ…。灯火、足が動くようになった、全速力で走って家まで帰るんだ。」
「……えっ?でも…」
「正直、この亜獣に勝てる気がしねえってのが本心だ。だから、少しでも犠牲者を減らすために。灯火は家に避難しておいて欲しい。母さんにも絶対外に出るなって伝えてくれ。」
「……犠牲者って…、なんであなたが犠牲者になる必要が…?そんなの、ずるいよ。……どうして、そこまで私に…。私は、あなた達を突き放してたのよ。私を見殺しにしたって…きっと何も言われない。なのに、なのになんで。」
その問いに、答える暇はない。亜獣が再び突っ込み、牙を剥く。俺は腕を交差して受け止め、土を滑りながら後退する。爪が肌を掠め、血が飛ぶ。
「俺は、たとえ親父が違くても、お前の兄貴だからだ!さっきは、色々…言っちまったけど、なんやかんや俺は、灯火が、たった一人の妹が大事なんだ!!そんな可愛らしい妹に、生きてて欲しいって願うのは!普通だろ!」
喉が裂けるほど叫んだ。
腕が軋む。膝が砕けそうになる。それでも、踏ん張る。その声に灯火が目を見開いた。
それは、初めて彼女の心に刺さった言葉だった。
「…っ、俺は…灯火の孤独な気持ちを理解してるつもりだ。だからもう、灯火を一人にはしたくねえ、灯火の孤独心を解いてあげたい。母さんも、俺も。そう思って灯火に接してるつもりだった。でも、それが逆に、灯火の心を傷付けてしまっていたんだな。そこは、俺達の落ち度だ。だからこれからは!俺達はお前に寄り添いたいんだよ!!」
拳が、肉に当たる音。 視界の端で自分の血が跳ねた。
何度倒れても立ち上がる。
それが、兄としての意地だった。
「ぐはっ…!」
亜獣の爪が胸を裂いた。地面に叩きつけられ、視界が霞む。 痛みが全身を貫き、息をするだけで喉が焼ける。
それでも立ち上がろうとした瞬間、骨が砕ける音が響いた。
「ッ、ぁぁぁぁぁああああ!!」
足を踏まれ、地獄のような痛みが走る。
血と涙が混ざり、地面に染み込んでいく。
亜獣が、俺にゆっくりと近付いた。
嗅ぐ。獲物の匂いを、確かめるように。
──そのとき。
コツン。
乾いた音が、夜気を裂いた。
視界の先で、灯火が石を投げていた。
彼女の手が震え、唇が噛み締められている。
亜獣の視線が、ゆっくりと灯火に移る。
「とう…か?……なにを…してんだ。逃げろって……。」
「……私は、孤独に生きてきたし、これから色々な感情を知っていきたいから、生きていたいよ。でも、ここであなたを…いや、“お兄ちゃん”を、見殺しにするほど優しさを捨てたわけじゃない。……犠牲になるなら、私がいい。お兄ちゃんの言葉、素直に嬉しかったよ。」
月光の下、彼女の頬を一筋の涙が伝った。
その顔は、幼さを残したまま、それでも凛としていた。立ち上がり、俺の前に立つ。
小さな背中が、夜風に揺れる。
「…灯火……ッ。」
「─────お兄ちゃん。ありが」
その言葉の途中で、世界が砕けた。
横から突進してきた亜獣の巨体が、灯火を吹き飛ばす。彼女の体が宙を舞い、大木に叩きつけられた。
嫌な音が響いた。
「──灯火…?おい、おいおい。嘘だよな…おい。おいって……灯火……」
声が震える。膝が崩れた。
灯火は血に染まり、目を閉じている。
息をしているかどうかも分からない。
その瞬間、胸の奥で何かが─────ぷつりと切れた。
痛みが消える。
心臓の鼓動だけが、異様に大きく響く。
頭の中が真っ白になり、意識が遠のいた。
暗闇の奥から、何かが囁く。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「ここは…?俺は確か…亜獣と戦ってて…足を……」
目を開けると、そこは白い霧の中だった。
音も、目から得れる確かな情報もない。ただ、どこまでも静かで、どこまでも澄んだ場所。
霧の奥から、声が響く。
『ここは現世とは程遠い、神の領域。ここで我らが口にした言葉は、現世に戻った際に脳の記憶媒体から抹消される。時間も無いから手短に終わらせる。…お前は今この時、力を授かる権利を得た。問おう。貴様はこの力を欲するか?』
「力を…授かる権利…?なんだよ、その力って。」
『この"神の力"は有耶無耶に振るべきものでは無い。選ばれし者だけが使うことを許された力だ。そして今この時を持って、お前はこの力に選ばれたという訳だ。』
「なんで俺がそんな力を…?」
『我はそんなことを聞いている訳では無い。貴様はこの力を欲するかと聞いている。三度目は無いぞ。』
静寂が張り詰める。俺は、迷わず言った。
「……なんだか分かんねえけど、俺は妹を助けられるならなんだっていい。その力に選ばれたなら、使ってやるよ。」
『いい威勢だ。貴様はこの力を使いこなし、弱き者を助ける義務がある。これからの健闘を祈っているぞ。』
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
次の瞬間、現実が戻る。
全身を包む淡い青の光──水のような、優しい感覚。
破壊された骨が、肉が、血が、再び形を成していく。
『……なんだ、この感覚。…分からないけど、凄く、心地いい。まるで水に揺られて揺られて旅をしているような、水の流れに身を任せ、水の中で浄化されているような。そんな、感覚────』
目を開けると、足も腕も元通り。痛みはない。
ただ、力が全身に満ちていた。
「─────治った?…嘘だろ。俺どうしちまったんだ…。足もしっかり動くし…。……よく分かんねえけど。なんだか凄く、強くなった気がする。」
試しに拳を握り、地を蹴る。風が裂けた。
体が、軽い。
生まれ変わったような感覚だった。
「……灯火、今お兄ちゃんが治してやるからな。」
彼女の身体に手を当てる。
言葉が、自然と口から漏れた。
「────傷を、浄化せよ。」
青い光が、彼女の身体を包む。
破れた服の下、血の跡が消え、肌が再生していく。
「これでひとまずは大丈夫だな。……さて、大人しく“待て”が出来るなんて意外と言う事聞けるんだな。亜獣。」
『グルルルルル……グガァァァァ!!!』
「もうそれ一度喰らってんだよ。それしかねえのかお前。」
俺は片手をかざし、川の水面に指を触れる。
瞬間、水が浮かび上がり、巨大な球体を形成する。
そのまま圧縮し、亜獣を包み込んだ。
水の監獄が完成する。
中で、亜獣が暴れる音が響く。
「────この技に名前を付けるなら…水の監獄。って所だな。どうだ、この脱出不可能な水の監獄に入れられて何も出来ない気分は。」
『グブブブ……グルルル……』
「少し可哀想だけど、そのまま溺れてもらう。」
暴れ、咆哮し、泡が弾ける。だが逃れられない。
静かに沈んでいくその姿を、俺はずっと見ていた。
「……しぶといなぁ。まだくたばらねえのか。」
「んん……おにい…ちゃん?」
小さな声。灯火が目を開け、ゆっくりと起き上がった。 その瞳が、俺を見つめる。驚きと、安堵と、わずかな尊敬の色を宿して。
「起きたか。灯火。大丈夫か?」
「大丈夫…なんとか…。お兄ちゃん…何があったの…?目も若干青色っぽくなってるし…その水は……」
「…この力に関しては、俺も正直よく分からねえ。お前が吹き飛ばされた時、亜獣に対して大きな殺意を持った。その時に何かが弾けて、何かが切れたような。そんな感覚になったんだ。それで気付いたら、この力が使えるようになってた。」
「……凄い…綺麗。綺麗だね…お兄ちゃんの力…。」
灯火の声が震えていた。
だが、それは恐怖ではなかった。
初めて、俺を「お兄ちゃん」と呼んだ──その優しい震えだった。
そして、亜獣は静かに息絶えた。
その時、静寂を破るように──背後から軽やかな拍手が響いた。 パチン、パチン、と木霊する音。森の奥から一人の男が姿を現す。月光を背に受けたその影は、どこか優雅で、不気味なほど落ち着き払っていた。
「───いやぁ見事だった見事だった。お前の力、興味深かったんで見物させて貰ったが、やっぱりすげぇな。」
場違いなほど軽い口調。だが、その目は獣のように研ぎ澄まされ、底が知れない。俺は自然と警戒の色を浮かべ、体の前に灯火を庇うように立った。
「誰だお前。」
「あの人……どっかで見た事あるような…。」
灯火が小さく呟く。男はわずかに笑みを深め、片手を胸に当てて名乗った。
「────俺は、ストレイド・ヴェルリル。ヴェルリル家現当主にして、シクリータ宮殿を継ぐ男だ。」
「…知らないな。お前の事なんか。」
「まぁ、お前は俺も知らねえから知らねえだろうがよ。──けど、俺は灯火のことを知ってる。久しぶりだな、灯火。」
「…………ゴメン、誰、だっけ?」
「おい!!忘れたのかよ!!保護施設で滅茶苦茶お前に話しかけただろうが!!それが俺だ俺!!」
「あー…あの凄くうるさかった子かぁ…今思い出した。」
「うるさかった子ってなぁ…俺はお前が心配で話しかけてたんだぞ? 俺あの中でも歳上な方だったから、ずーっとひとりで本読んでイベントにも参加しねえ。そんなお前が見てらんなくて話しかけてたのに。…まぁいいや、元気にしてたか?」
「まぁ、ぼちぼちかな。」
「そうか、それでそこの男の人は誰? もしかして彼氏?」
「違う。私に彼氏なんて出来ないって。この人は私のお兄ちゃん。異父兄妹だけど、しっかり血の繋がったお兄ちゃんだよ。」
その瞬間、胸の奥が熱くなった。
彼女のその言葉には、一切の偽りがなかった。
──俺は初めて、灯火の“家族”として認められた気がした。
「俺は清水蓮。よろしく。」
「おう、よろしく。つかお前、討伐士の上着を羽織ってないってことは……もしかして討伐士じゃねえの?」
「嗚呼、討伐士じゃないな。今まで戦いとは無縁だったから。」
「ええ!?お前一回も戦った事ねえのか!? もったいねえ、せっかくそんな力を持ち合わせてんのによ。」
「この力を持ったのはさっきだからな。亜獣に勝てたのも奇跡みたいなもんだ。」
「へえ、そうなのか。それなのにあの技の練度……天の導きって恐ろしいな、やっぱり。」
「……天の導き? なんだそれ。」
「お前が使った不思議な力の事だ。“天の導き”は、選ばれし者が人外を超えた不思議な能力を得ることが出来る、その不思議な力を使うのを許された、選ばれた人間が使うことが出来る力の総称が、天の導きってワケ。」
「なるほどな…俺はじゃあ、あの瞬間に運が良く力を授かれたってことか…。」
「そういう事になるな。」
──だが、胸の奥に違和感があった。
さっき感じた“水”の力とは別に、何かが体の奥で蠢いている。まるで別の力が、いくつも潜んでいるような──そんな奇妙な感覚。
「…あ、そうだ。蓮。」
「…?───イッ…、え?」
反射的に顔を上げた瞬間、ストレイドの手から放たれたナイフが閃光のように走った。次の瞬間、肩に激しい衝撃。鋭い音とともに刃が肉を貫いた。
「!!お兄ちゃん…!大丈夫!?」
「あぁ…、全然大丈夫だ。…それに、傷が…無い…?」
刺さったはずの傷口は、まるで最初から存在しなかったかのように滑らかに閉じていた。
血も流れていない。痛みも、熱も、無い。
「やっぱりな。お前の天の導きで授かった力はあまりにも強大らしい。体の中で治癒が常時発動してやがるのか。」
「どういう事だ…?」
「この世界には治癒術士が居るだろ? その治癒術士が使う“治癒術”は、この『水の導き』を派生させて生み出され、人間に習得出来るようにした。いわば、治癒術は、水の導きという神の力の劣化技。劣化とは言ったが、しっかりと治癒術は傷を癒す力があり、人間はその力に救われた。……お前は、その水の導きよりも更に強力な力を授かっているってわけだ。…水の導きを授かった人間は、勝手に体が再生したりしないらしいからな。お前の場合、頭の中で治癒術を使おうと思わなくても、勝手に体が治しちまうって事。」
「じゃあ……俺は…もう傷を負うことがない?」
「お前の中に眠る力が無くならない限り、な。ただ傷を負うことが無いだけで、病気や寿命には抗えない。つまり、蓮の死ぬ手段がこの2パターンだけになったって事だな。力が消えない限りは。」
「それは……いい事なのか…?」
「当然だ。その力は強き者の証明だからな。俺も出来るなら、天の導きを授かりたい。……そこで、お前に提案があるんだが。」
「なんだよ。真剣な顔して。」
「─────討伐士に入らないか?」
「……えっ。」
息を呑んだ。
まさか、その言葉をここで聞くとは思わなかった。
“討伐士”──それはかつて父が目指し、挫折した道。俺には無縁だと思っていた。けれど今は、なぜか心がざわめいていた。
俺が答えを出せずにいると、そっと肩を叩く小さな手。灯火だった。
「お兄ちゃん、なった方がいい。お兄ちゃんが授かったその力を、弱く守るべき人のために使おうよ。」
「灯火…」
「私も、応援…してるから。」
顔を赤らめながら、それでもまっすぐに俺を見る妹。その姿に、胸の奥が熱くなる。 かつて心を閉ざしていた灯火が、今はこうして背中を押してくれている。
「それで?どうする?もしやるなら明日の朝、俺と一緒に本部へ向かうぞ。」
「分かった。」
「討伐士の本部の場所は分かるよな? 本部で8時に待ち合わせしよう。じゃあ、もう遅いから気をつけて帰れよ。」
ストレイドが軽く手を上げ、森の奥へと消えていく。
俺たちはゆっくりと家への道を歩いた。
森を抜ける風が、妙に澄んで感じられた。
──そして翌朝。
「なるほどね、それで討伐士にって事か。いいんじゃない、行ってきなさい。」
「…意外。母さんは…嫌がると思った。」
「何言ってんの、息子がこんなに立派になってお母さん嬉しくなっちゃってえええ。」
母さんは泣きながら笑い、そして急に真剣な目になる。その瞳の奥に、深い覚悟が宿っていた。
「────ただ、これだけは忘れないこと。やると決めたなら最後までやりなさい。守ると決めたなら最後まで守り抜きなさい。勝つと決めたなら、勝つまで諦めないでやり抜きなさい。あなたならきっと出来るって信じてる。それに灯火と私も精一杯サポートする。ね?灯火。」
「う、うん。…もちろん、だよ。」
「ふふっ…灯火、なんかあったの?家を出ていく前より優しい顔になった。」
「べ、別に…その、少し、大人になっただけ。…今まで、ごめん。お母さん。」
「いいのよ、謝らなくて。……蓮。私はずっとここであなたの帰りを待ってる。だから、さっき私が言ったことを忘れないで、行ってらっしゃいな。」
「ありがとう。母さん。灯火。じゃあ行ってくる。」
俺は玄関の扉を開け、朝の空気を胸いっぱいに吸い込む。
風は清く、陽射しは温かい。
その瞬間、昨日までの世界がまるで別物に見えた。
──俺の人生は、この朝から確実に変わった。
討伐士への道が、静かに幕を開けたのだ。
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