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そして君は明日を生きる  作者: 佐野零斗
序章『未来へ』
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第一話 『未来へのタイムスリップ』

 ───俺には幼馴染がいた。俗に言う小学生からの腐れ縁というやつだ。


 俺は小柳深海、みんなからは『シンちゃん』と呼ばれている。某クレヨン少年と同じ呼ばれ方だが、俺は悪い気はしていない。


「────あ、いた!ねえシンくん、今日何しようか!!何して遊ぼうか!!ねえねえ!!」


 この小うるさい奴が幼馴染の海宮愛菜、その五月蝿さからは想像できないが、びっくりするほどの優等生で、成績優秀、親は金持ち、生徒会長というハイスペックぶり。完璧超人故に、正直あんまり関わってほしくないのだが。


「ええ…?んまぁなんでもいいけど。俺今日秋葉原で推しメイドのあずさちゃんに会いに行かなきゃいけないから。それは絶対外せない。」


「ちぇ、つまんないの~。あ、じゃあ私も着いていく!そのあずさちゃん?って子見てみたいしさ!!」


「馬鹿かお前。お前が来たら、あずさちゃんからしっかりとしたサービス受けれねえじゃねえか。」


「しっかりとしたサービス?ってなに?」


「…うるせえ。お前には関係ない。取り敢えず今日は帰る。また後日遊んでやるから。」


「あ、うん。分かったよ。……というか、いい加減名前で呼んでよ。そのメイドさんは名前で呼ぶのに、私は呼んでくれない。…昔は呼んでくれたじゃん。」


 確かに昔は馴れ馴れしく、『愛菜ちゃん』なんて呼んでいたが、今思い返すとなんか恥ずかしい。言いたくない。

 思春期男子というのは、こういうものだ。


「……考えとく。」


「もう、それ考えとくって言っといて結局言わないやつでしょー、まったくさ。」


 なんて他愛もない話を続けていると、あっという間に彼女の家。何を隠そう俺達はお隣さん同士。切っても切れない縁というやつなのだ。


「ほら、じゃあな。もう一人で帰れるだろ?目の前家だし。ここから車に轢かれたりとかしねえよな。」


「私をなんだと思ってるのよ…、大丈夫だから。じゃあ、またね。シンくん。」


 彼女が振り返り家の方へ歩くのを見届ける。

 その時、彼女に少し違和感がある気がした。

 寂しそうな、悲しそうな。そんな顔が横から見えた。



 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



「じゃあみんなー!今日は私達のメイドカフェに来てくれてありがとう〜!みんなの為に全力で歌っちゃうからねー!!では早速最初の曲!恋はトキメキ☆メモリアル!!」


「あずさちゃぁぁぁんん!!こっち向いてー!!」


 周りを見渡すと、俺の他にも沢山の同士達がサイリウムを振っている。このお店では一日に二回、時間によってメイドさんたちがライブをしてくれる。

 ライブの演者はしっかりと決められていて日ごとにライブする人が違うので、推しがでる日にちは毎日チェックするしていた。


「可愛いよぉぉぉ!!!あずさ!あずさ!!」


「ぁぁぁ!!ウィンク可愛い!!」


 梓ちゃんは、このメイドカフェの最高売上を叩き出すほど人気が高い。

 あまりの人気の高さに、ライブには凄い数の人が押し寄せ、限定グッズはすぐに完売してしまう。


 俺はその日を精一杯楽しんだ。

 金を使いに使い果たしたが、全然満足していた。

 俺は梓ちゃんとのツーショットチェキを眺めながら、電車へと乗り最寄り駅へと向かう。



 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



「はあ、楽しかった!!」


 電車で最寄り駅に着き、電車を降りて一言。完全に堪能しきって気分が上がっていた。


「いやあ、このチェキは一生の宝ものだな。まあ全部で35枚くらいあって結構な金額取られたけど、でも全然いい。ツーショットチェキも撮れたし、梓ちゃん単体のチェキも撮れた。それに、オタクは貢いでからがオタクだ。うんうん。いやぁ、でも一回一回顔が違うのがいいよな。ここの角度とかマジで優勝だろ、たまんねぇなこれ。あそうだ、家帰ったらSNSであずさちゃんにリプ送らねえと。」


 チェキを見てにやにやしながら帰り道を歩くと、彼女の家の前で、彼女が俺を呼ぶ声が聞こえた。


「──あ!シンくん!…って、なにニヤニヤしてんの?もしかして可愛い女の子と写真でも撮ってきた?その、あずさちゃん?とかいう女の子と。」


 あながち間違いではない指摘を受けたが、恥ずかしくなった俺は隠し通すことにした。


「…そ、そうだよ。べ、別にいいだろ。俺はあずさちゃん一筋なんだから、撮っても別に……」


 ボソボソと俺が呟くのを彼女が不思議がる。当然だ。


「ええ、なに?よく聞こえない〜!」


「べ、別にいいだろ……!2度は言わない!…つかそういうお前は、今何してんだよ。こんな寒い時にこんな格好で外出てるなんて、風邪ひくぞ?」


「……お母さんがね、今お父さんが帰ってくるって言うから、外で待ってたの。」


「あ、そうか。悪い、じゃあ俺邪魔だよな…」


 それよりも普段制服しか見ていないので普段見れない服を着ている彼女を見るのが恥ずかしくなった。いち早くこの場から去りたいと思っていたところだった。


 俺が少し帰り道を歩くと、彼女が俺の腕を掴み呼び止めた。


「────邪魔じゃない。…ねえ、あの…さ。少し、付き合ってくれない…?少し、寂しくて。」


 彼女の眼は、いつもより真剣で、寂しそうな目だった。

 そんな彼女を見ると。やっぱりいつもと違う違和感があった。


「………お前。なんかあったのか?明らかに変だぞ。」


 咄嗟にその言葉が漏れた。彼女は、はっとした顔でこっちを見つめ。頬が赤く染まっていた。


 ─────────私ね、


 とその瞬間。遠くの方から男性が走ってきた。二人はその男性に視線を向け驚きその場で立ち尽くした。


「な、なんなんだあの人、なんか全速力で走ってくるぞ!?しかもなんか持ってるし、危なくねぇか?」


「───お父さん?でも、なんか様子が変…」


 彼女の父親と思われる人物が、走って近づき大声で怒鳴ったようだ。明らかに人間の形相では無い。不安と恐怖でいっぱいな顔で走ってくる。



 そして俺達の近くまで来た瞬間、彼が言葉を発した。



「はぁ、はぁ、お前ぇぇ!!お前らが!!お前らがああああああ、犠牲になっちまえぇェェェェェェェ!!!!」





 ─────次の瞬間。脳に衝撃が走った。一瞬にして俺たちは意識を失い、その場に倒れた。





 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※





 意識が朦朧としている、頭が痛い。何かで殴られた?いや、鈍器のようなものを持っていた?先に彼女が殴られ。自分も殴られた?いや、それだとしたら?


「──シン… くん … シン … く 、ん 。」


 頭の中で聞き覚えのある声が掠れて聞こえる。俺はその声に答えようとも答えられない。

 頭が痛い、脳が揺れている、気持ち悪い、吐き気がする、気持ち悪い、汚い、最悪、無理、きつい、どうしよう、やばい、眠い、起き上がれない、無理、死ぬ─────


「シンくん!起きて!!」


 バチン!音が聞こえると一気に意識が戻った。と同時に痛みと頬の暑さを感じた。目を開けると彼女の顔が見え。少し泣いているようにも見える。


「………いてて、」


 俺は仰向けの状態から起き上がり、周りを見渡した。

 その瞬間、頭の中で理解した。


 この世界は─────────現世では無いことに。


「…は?なんだ…ここは。…いかにもって感じの未来的テクノロジー感。SF映画で出てきそうな物ばっかりだな。車は宙に浮いてるし、やりたい放題だな。」


「というかお前、今俺の事ビンタした?なんかすげぇ痛ぇんだけど?頭殴られた後にビンタするか普通。脳揺れて死んだらどうするんだよ!」


「し、仕方ないじゃない!全然起きないし、うなされてたし。怖かったから。仕方なく、えいっ!って…」


「えいっ!って、じゃねえよ。起こし方ってもんがあるだろうが。…ったく。んでお前、ここの場所に見覚えは?」


「ある訳ないでしょ。私だっていきなりお父さんに殴られて…というか、あれは本当にお父さんだったの?」


 確証がある訳でもないが、あれが父なのか父じゃないのかどちらかにせよ。明らかに尋常では無かった。


 ガサガサと何かを物色する彼が一言真剣な声で呟いた。


「わからない。だが、俺は一個気になる点がある。」


「なに?気になる点って。」


「──無くなってんだ。…… 俺とあずさちゃんの大切なチェキがぁぁぁぁ!!!無くなってる!!!!!」


 そう、ポケットの中に入れて置いた大事なチェキが無くなっていた。盗られたのかもしれないと。警察に電話しようとした時、携帯の画面を見た瞬間────


「……スマホが、進化してる。俺の見た事ない感じに進化してる、なにこれ、カメラ画質良すぎだろ…。」


「確かにそうね、……待って、宙を走る車、AIテクノロジーにより進化した世界、見慣れない雰囲気……もしかして、私たち、未来の世界にきちゃったとか…ないよね?」


「……確信は持てないけど、俺も恐らくそうじゃないかと思ってる。…待てよ、今警察に電話したらどうなるんだ。もしかしたら助けてくれるかもしれねえ。」


 何もすることがない、取り敢えず警察の番号110に電話をしてみることにした。


「あ、もしもし。警察ですか?」


「はい、何か用っすか?」


 態度が明らかにやる気がない感じだった。いつもなら『事件ですか?事故ですか?』と聞いてくるはずなのに。


「あの、この番号って、本当に警察ですよね…?」


「そうですよ。そんな当たり前のこと聞かないでください。というか、もし何かして欲しい事があるなら。私どもじゃなく、『討伐士』に依頼してください。まあ盗賊が何を言ったところで相手にされないでしょうけどねえ!!ハッハッハ。じゃあ切りますね、時間ないんで。」


 随分と不気味な笑い方をしながら電話を切られた。一方的に電話を切られ、2人は呆気に取られていた。


「この雰囲気、警察が機能してないって事ね。その討伐士っていう人達が警察代わりになってる可能性が高い。」


「ここにきてお前の頭の良さが生きるとは思わなかったよ。正直パートナーにしては上出来すぎる。」


 辺りを見渡すと、今2人がいる場所は公園のようだ。とは言っても自分たちの知ってる公園とは違い、遊具は無く、平坦な草むらが広がっている。トイレは完全個室な上に、立ちションする男子特有のスペースが無くなっていた。


「公園まで近未来化してんのかよ。子供が機械いじって自分お望みの遊具が出てくるとか、最高じゃねえかよ。」


 周りの状況に少し興奮気味になっていると、隣で不安そうにしてる彼女が。


「私たち、これからどうなるの?」


 彼に声をかけた。彼は男として、何とか彼女の不安を取り払おうと立ち上がり。


「大丈夫大丈夫、なんとかなるって。とりあえず今日泊まる宿を探そう。話はそこからだ。」


「でも、私たちお金もってないよ?」


「…あ、確かに。…どうしよう。これから先…どうやって。」


 完全に先を絶たれた二人、窮地に追いやられたと言ってもいい。2人とも知らない環境で不安になってしまっていたところに思わぬ出会いが───



 ────『ん?なにかお困りかな?そこのお二人さん』



 俺達と同じくらいの青年が声をかけてきた。

 その羽織っている上着を見る限り、ただの青年って訳ではなさそうな雰囲気だった。

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