ビッグバン、なぜなら闇鍋の準びが一番楽しい
「はあ…これで3軒目だよ…」私は友人達と最高の闇鍋を作るべくスーパーを奔走していた。「あと欲しい材料は、麻酔だけなんだけどなあ」私は麻酔を闇鍋に入れて、全員気絶するドッキリを仕掛けようとしていたのだ!
どのスーパーでも麻酔薬は売っていなかった。仕方ないので、裏路地にある闇医者に向かった。
「マスイ?あるヨ。5チョウ円ネ!」
ふざけるな。5兆円なんて持っていない。
「デモ、コレなら50円ヨ!」
50円の麻酔なんぞ毒以上の何かでしかないのは明白である。
しかし闇鍋を、ビッグバンするために闇鍋を作らねばならない。
仕方なく麻酔を購入した。振り返ると闇医者は目を細めてニヤついていて、大変キモかった
そのまま友達の家で闇鍋をしたが、やはり私のライバルは思ったより強力だ。にんにくにユンケル、スカンクにカッターナイフ、しまいには悟空の如意棒が入っていた。「ふん、なかなかやるじゃねえか」
「ビッグバンだぁぁ!」突然山口が叫んだ。
慌てて鍋の方を見ると、鍋の中でビッグバンが発動していた。
「成功だ!これで…おい」
ビッグバンは成長し、鍋を飲み込み、こたつをも飲み込む。
「逃げろ!」
一目散に家を離れ振り返ると、ビックバンは家を飲み込み、ふわりと空に浮かんだ。
その姿はまるで、鍋に浮かぶはんぺんのようであった。「なるほど、宇宙自体が惑星たちの"闇鍋"ってわけか…」そう言ったときには、大地は荒れ果てていた。「俺が求めた楽しみってのは、この瞬間だったのか」~終~