別れの日
午後8時。彼は目覚めた。
彼は約50日前、学校に行かなくった。それからは昼夜逆転生活を送って、晴れて不登校となった。原因はここでは語れないような行いをしてしまい、学校の皆んなから口を聞いてもらえなくなったことにより傷心したのだ。そうしたストレスから夜な夜な1人娯楽に浸る毎日となってしまったのだ。
そんな奇矯な毎日を送っている彼だが、それ以外の身体的特徴や名前等は極めて平凡である。背丈は173.5cmで体格も極めて凡である。名前は高橋大空と言う。
「腹減ったしコンビニでもいくかな」
そう呟きながらソラは玄関の方に歩いて行いった。
途中、仏壇に置いてあったどら焼きが目に入った。
――ちょっとくらい、良いよね。
ソラはどら焼きを食べながら
「母さん、行ってくる」
と言い放った。
靴を履くと靴の冷たさが足の指先まで直に伝わった。
ドアを開けると冬の風が目を覚ますような寒さでソラに吹きつける。
「さっむ」
そう言い咄嗟にドアを閉めた。
その行動も無理はない。なぜなら上下うすっぺい学校指定のジャージと下着しか着ていないからだ。ソラの家からコンビニは徒歩5分もかからない。完全に油断していたのだ。
――今日雪降ってんじゃん……仕方ない…行くか。
気が進まない様子でコンビニへと歩き出した。
――家に帰ったら何のゲームしようか。
寒さを意識しないようにをぼんやり色々考えながら数分歩いた。
「こんなにコンビニ遠かったっけ」そう呟きながら周囲を確認する。
――いつもならこの辺は人や車で周囲一帯溢れかえっているのに、やけに静かだな。
時間を確認すると時刻は午後8時16分を指していた。「この時間に誰もいないなんて有り得ない。おかしい」
第6感がソラ自身に訴えかける。
彼が戸惑っている間に雪はどんどん強くなる。
―― 一旦家に戻ろう
そう思った時には帰路がわからないくらいに雪が降り積もっていた。
――反対方面に走ればいつか家に着くはずだ。
そう考えたソラは一生懸命に走った。
しかしそんな試みも虚しくいくら引き返してもソラが家に辿り着くことはなかった。