白いツバサ 希歳なあの物語
あるところに、希歳なあという少女がいた。
なあに、できることは少ない。
同年代の者達と比べると体は小さく、力も弱い。
そして、知恵もなく、知識もなかったからだ。
そのため、ずっと困っている友人の少女、未利を助けてあげる事ができなかった。
そんななあは、ある日小学校のクラスメイト達とともに、異世界に召喚されてしまう。
その世界の名前はマギクス。
魔法や不思議な動物が存在する世界だった。
色々な環境が変化してしまったが、なあはめげない。
なあは、その世界でも様々な人の役に立とうとした。
マギクスで暴れている、人を困らせている害獣や、憑魔という暴れる生き物と戦おうとしたり、エンドラインという世界終焉の危機をなんとかする手伝いをしようとした。
その世界では、100年に一度の危ない期間がやってくるので、皆不安でいっぱいだった。
だから、なあは人々の心の支えにもなろうとしたが、うまくいかなかった。
それだけでなく、町や村の人たちが困っている生活の手助けや、困りごとの解決などにも積極的に動こうとした。
けれど、なあの力は小さく、大した事はできなかった。
それどころか、誰かに迷惑をかけたり、守られたりする事の方が多かった。
なあは自分の力のなさを悔しく思うしかなかった。
そんな日常の中、なあにもできる事があると判明した。
それは、なあが「多くの事ができない子供である」という事に関係していた。
なあには、「世界が滅びた後に、次の世界になる」という役目があった。
そのためなあには、人間として成長する機能が備わっていなかった。
成長して人間らしい生活を送るということは、なあの役割ではなかったからだ。
なあはその事実に胸を痛め、悲しく思った。
しかし、自分がその役割であることで、保険が生まれ、人々の心の余裕になる事を、なあは嬉しく思うようになった。
世界が滅んでも人々さえ無事なら、次の世界に住める。
その希望がなあにとって、良い事に思えた。
それに、多くの人がその役割を望んでいたから、なあはこれで良いと思ったのだ。
なあはこれからも、誰かに守られ、誰かに迷惑をかけ続ける。
けれど、なあの役割が世界終焉後の保険と言う安心を人々の心にもたらし、多くの人の役に立つ事になるのなら、それでいいのだと思うようになったのだ。




