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勇者ご令嬢 アンヌの物語
アンヌという女性は、勇者の仲間だった。
世界を救い、平和を成す、そんな勇者の。
彼女は、心の中のもう一人の自分と力を合わせて、未来を見通す事ができる占い師だ。
未来を見ながら、勇者の行動をアシストしていくのが、彼女の役割だった。
しかし、彼女はだからこそ、人の運命をかき乱してしまう。
未来が分かる事は喜ばしい事ではない。
誰かを不幸に陥れたり、誰かを悲劇に突き落とす事でもあった。
アンヌは、
勇者が死ぬ時、何もできなかった。
大罪人の犯罪で、多くの人が死ぬ時も何もできなかった。
勇者の遺物がある場所が分かっても、魔物が大量に発生している森へ向かっていく力もなかった。
だからアンヌは、ひっそりと生きることを選択した。
悪戯に人を気づ付けたくないから。
抗いようのない未来もあると知ってしまったから。
アンヌはずっと。
誰にも関わらず、誰とも言葉を交わす事なく。
死ぬまで一人きりで。




