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アロニア公爵家の晩餐。


夕食の席では、私はロイさまのお隣に座ることになった。その逆隣りにはリコちゃんがおり、それからリタくん、アルくんと続く。正面にはお義父さまとお義母さま。


兄弟の並びが、年齢順ではないのがちょっと不思議だったが、これはもしかしてかわいいリコちゃんを私の隣に座らせてくれるという、サービスっ!?


ならば甘んじて受け入れよう。


そしてやはりと言うか、何と言うか。お義父さまのきつね面もロイさまのと同じように口元だけオープンになっている。てか、本当に何でお面つけてるんだろう。やっぱりツッコむべきか、ツッコまざるべきか。う~む。ちらり。横をちらりと見れば。


はっ!!


ロイさまの後ろのくまちゃんしっぽが、ぴくぴくと動いている。何あれかわいい!


「おねーたん、おねーたん」

不意に袖を引っ張られてリコちゃんを見やれば。


「おねーたん、あ~んっ!」

ぎゃふぅっ!なんとリコちゃんが私にあ~んをっ!?うんうん、いただきまぁ~す。


ぱくっ


「ん~、おいしぃっ♡おねーたんもお返ししてあげるね~。はいあ~ん♡」

リコちゃんにあ~んしてあげれば。


ぱく


「おいちぃ♡」

ぎゃっふううぅぅ―――っ!!かわいすぎるううぅぅぅっっ!!!


リコちゃんのかわいさに内心悶絶していれば、視界の端に何かが映る。何だろうと思い、ロイさまの方を見てみれば。


え??


何故かロイさまがお肉をよそったフォークを差し出してきていた。


え???


じっと見つめていれば、何だかビクンと肩を震わせながらフォークを持った手を引っ込めてしまった。えっと、これ、何だか悪いことをした気分なのだけど―――っ!?


その時、救世主の声が響いた。


「は、母上!フォローを!」

アルくんだ。アルくんはやはり、気の利くめっちゃいい弟タイプ!


「そうね、アル!」

そう、お義母さまが頷けば、すっとお義父さまの口元にお肉をよそったフォークを持っていく。


「はい、ガイさま♡あ~んっ♡」


「―――っ!」

いきなりのお義母さまからのあ~んに、お義父さはビクッと固まったままだが、やがてーー


「あ~んっ♡」

何かの無言の圧力を感じたのか、やがてゆっくりと口を開き、ぱくりと食べた。


「ほら、ガイさまも、あ~んしてっ♡」

ぐほああぁぁぁっっ!お義母さま―――っっ!?まさかのおねだりだとおぉぉっっ!?


そしてお義母さまのおねだりに、お義父さまが恐る恐る、お義母さまにあ~んを返す。


「はむっ、んん、おいし~ぃっ♡」

そして何の躊躇いもなく食べるお義母さま。パネェ。


「ほ~らっ!ビアンカちゃんもふぁ~いとっ♡」

ええええぇぇぇぇっっ!?まさか私もアレをやれと!?いや、確かにさっきは何だか悪いことをしてしまったようだしーーお義母さまもやっているなら、むしろ推奨してくれているし、OKよね。さっきのお詫びにーー


「はい、ロイさまあ~ん」

と、ロイさまにお肉をよそってフォークを差し出してみる。


「―――っ!」

ロイさまは突然のことで驚いたようにビクッと肩を震わせたが、恐る恐るそのフォークに口をつけた。


た、食べたぁっ!何だかかわいい。


そして再び、ロイさまがフォークを差し出してきた。こ、今度こそ、食べなきゃっ!


はむっ


「んん、おいひぃれす」

と、答えれば。


「―――っ!!」

何だかロイさまのバックにバラの花が満開になっている幻覚が見えた気がする。


「よかったわねぇ、ロ~イっ!」

お義母さまがクスッとロイさまに笑みを向ければ。


何だか気恥しかったのか、お面の上から顔を両手で覆って暫く悶えていた。これって、いい関係を築けていると思って、いいのかな?






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