出会い
ぶさおが森でマタタビを取ろうとしてたらトラブルが起きて困ってて、そのときはづちゃんという女の子が声をかけてくれた。
無事マタタビをとることはできるのか
とある森の奥、ぶさおという喋る猫がマタタビを取ろうと猫パンチしている。しかしぶさおは喋るだけあって普通の猫じゃないのでマタタビの香りで魔力が暴走してマタタビが燃えて消え去っている。
うーん・・・とれない。おいらの魔力が強すぎるんだ・・・いつもはこんなはずじゃないのに。
「どうしてもマタタビを持って帰りたい・・どうしようかな」
「猫ちゃん、マタタビが欲しいの?」
誰だろう、上から女の子の声がする。見上げると、両目が赤い黒髪の女の子がおいらに話しかけてた。
おいらは気づいた。この子の魔力はとんでもない。マタタビが消えてしまう。
「な、なんでもないよ!マタタビが欲しいなんて思ってないよ!」
「そうなの?さっきからみてたけど魔力が暴走してとれないんだね。私が強化してあげるよ」
女の子はマタタビを手に取ると一瞬目を閉じておいらの顔の前に差し出してきた。
マタタビが燃えない。試しに触れてみたけど燃えない。この子は凄い子なんだ!
「ありがとう!どうしても欲しかったんだ」
「どういたしまして、マタタビくらいなら私が集められるから一緒にくる?」
「いいの?じゃあ一緒に行くよ」
「うん、私の名前は、はづ。猫ちゃんの名前は?」
「おいらはぶさお。カッコいい名前でしょ!」
「うん、カッコいい名前だね」
やっぱりおいらの名前はいい名前なんだ。頑張って考えた甲斐がある。
はづちゃんはおいらに「ついてきて」って言って森を歩きだした。後ろからついていくと、大きな家があった。庭には二人の女の子がいて、お喋りをしてる。
一人のセーラー服の幼い女の子がおいらをみて駆け足で見にきた。
「わぁ!猫ちゃん!太った猫ちゃん!草を口に咥えててかわいいねぇ!」
おいらって太ってたんだ・・・。筋肉質なのかと思ってたよ。
おいらはまたたびを地面に置いて魔法を唱えた。何もない空間から熊のぬいぐるみを召喚すると女の子のに差し出した。
「ねこちゃん喋れるんだ!凄いねぇ!」
「こかげちゃん、それ以外にも驚くところがあると思うよ」
この子はこかげちゃんって言うんだ、可愛いなぁ。いい子だなぁ。
「こかげちゃん、そのぬいぐるみあげるよ!」
「いいの?ありがと~」
こかげちゃんはおいらが召喚した熊のぬいぐるみを手に取ってマタタビも手に取ってから話しかけてくれた。
「お庭で遊ぼっか♪あっちにいる子は柚葉ちゃんって言う名前だよ。いい子だよ」
遊んでくれるんだ。嬉しいなぁ。今までおいらだけで森で生活してたから嬉しいよ。
こかげちゃんとはづちゃんについていくと柚葉ちゃんが話しかけてきた。
「ずいぶん大きな猫だねぇ」
「おいらは太ってるんだって」
「鍛えたらカッコいい体になるよ~」
「ほんとかい!こかげちゃんと結婚できるくらいかっこよくなれるのかい!」
「えー?あー?できると思うよ~」
なんか変わった喋り方の子だ。だけど優しそうだ。おいらのことも鍛えてくれそうで楽しみだよ」
「じゃあ鍛えてほしいな!」
「いいよ~。まずはこかげちゃんと遊んでおいで~。あとで鍛えてあげるから~」
「わかった!こかげちゃん!遊ぼう!」
「いいよ♪マタタビで遊ぶ?ぬいぐるみで遊ぶ?」
「どっちも使いたいな」
こかげちゃんはおいらの言葉を聞くとマタタビを熊のぬいぐるみの両手に挟んで近づけて遊び始めた。
「マタタビを抱いた熊さんだよ!」
「どっちも魅力的だね、おいら楽しい気持ちになってきたよ」
おいらとこかげちゃんはしばらく遊んでからみんなで家の中に入った。
「楽しかったね、私は疲れたから寝てくるね」
「こかげちゃん。おいらも一緒に寝ていいかな」
「いいよ、お部屋においで♪」
おいらはこかげちゃんに案内されて部屋についていった。白い壁で部屋の中央に丸いテーブルがあって椅子が三つ、テーブルを囲むように置いてあって大きなベッドが入口から見て右側に置いてある。みんなここにいるときがあるみたいだ。
こかげちゃんはベッドに入ってから布団を持ち上げて空洞を作っておいらを呼んでくれた。
おいらは布団の中に入ってこかげちゃんに片手を乗せて眠りについた。眠りにつくまでこかげちゃんはおいらを撫でてくれた。
起きたらみんなでマタタビを取りに行くのが楽しみだな。森の様子がおかしいから何も起きないといいな。
『第一話、おわり』
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