第1章 赤雷との邂逅
未だ登場しないヒロイン。依然として続く説明回。迷走する区切り。
宜しくお願い致します。
※一部改稿しています。大筋に影響や差異はありません。
昼休み。相変わらずの光景だが教室の中心では君塚や石橋やその友人達が席を寄せ合って弁当をつついている。残念がら俺や宮西、羽場の三人はチャイムが鳴ると同時に大人しくカフェテリアに移動した。あのリア充空間で食事をするのはさすがに気まづいというか居場所がないと言うか。そんなわけで俺達は四人がけのテーブルに腰掛けて大して美味くないパスタやカレーをつついている。
「ところでよ、一海。お前そろそろどうなんだよ?一年近くバイトしてそろそろ金は用意できたんだろ?」
「あぁ。書類も準備できたし、あとは役所で手続きするだけだよ」
「それにしてもさ降谷君。本気で【探求者】になるの?確かにCCCとか観てるとすごいかっこいいし僕も憧れているけど、その分危険なんだよね?」
「みたいだな。CCCに出るにしても最低条件に『中央塔』を十階層まで登ることが義務付けられているしな」
そう、今頃教室では今朝の話の続きで盛り上がっているであろうが、みんな大好きCCCに出場登録するには最低条件として【中央塔】の十階層まで登っていることが定められている。その理由は二つ。一つは戦うのは己が契約したカードであるが主人である【マスター】とて同じ戦場に立つためだ。最低限自身の身は自分で守れるようでなければならない。二つ目は【探求者】登録自体が金さえ(・・・)積めば誰でもなれる職業だからだ。それ故にCCCの質を保つためにはそう言った者たちを間引く必要があった。
「君塚だって【探求者】だけど塔には週末にちょこっと登るか登らないかくらいだろう?それだけ危険なのによくご両親も許したな」
「その辺はまぁ・・・あれだ。うちの親は放任主義というか自由主義というか、やりたいならやってみればー?な考えだからな。その分登録に必要な金は自分で用意しなきゃいけなかったけど」
「なんか変わったご両親だね。僕の親なんて観るのは大好きだけど実際にやるとなると絶対に許してくれないよ」
「まぁそれが普通だわな。俺んとこも同じ。それよりさ、最初に買うカードはもう決めているのか?確か最初の登録にも条件があるんだよな?」
金さえ積めば誰でも【探求者】登録ができる。しかしそれにも条件がある。まず一つは年齢。十五歳以上であること。未成年の場合は親の許可を得ること。二つ目は所有カード。最低限でも【銅】級以上のカードを持っていること。塔を登るにしても最低級のカードでは序盤ですぐ太刀打ちできなくなる。これはいたずらに死人を増やしたくないというLEOの方針だ。
「その【銅】級カードの価格が安くてもいくらだけ?50万?そんな大金を君塚の親はよくポンと出したよな」
「あいつの家は親が省庁勤めの国家公務員じゃなかった?息子の頼みなら喜んで払ったんじゃないかな。あぁ羨ましい」
カードを買えるだけの金があるかないか。未成年なら親の財力がモノを言う。勿論【銅】の中でも金額には幅がある。それが人型に近づけば近づくほど、容姿が優れていればいるほど金額は天井知らずだ。
「あぁー俺も可愛いカードが欲しい!エルフとか猫耳メイド(ケット・シー)とか!命をかけるだけの夢がそこにはあるよな!」
宮西の言う所のエルフやケット・シーは【銀】もしくは【金】級のカードだ。所持、使役している【探求者】や【マスター】はそう数は多くない。と言うのもあるエルフなどはそもそも数が出回らない。仮に出回ったとしてもオークションにかけられ、その金額は数千万近くになるだろう。何故ならエルフは高い基礎能力と魔術が行使できるため高い戦闘力を持つ。さらに容姿が男であろうと女であろうと絶世である。だからこそ手にしたら手放さない者がほとんどだ。故の高騰である。
「そんなカード一生かかっても手に入らないよぉ。それよりも降谷君は何を買うのさ?まさかいきなり【銀】級とか言わないよね?」
「あぁ・・・俺が買うのはーーー」
俺の計画を聞いた二人は唖然としていた。それはそうだろう、なにせ俺が買おうと考えているのは色すらも着いてなく、何も描かれていない【無地】カードなのだから。
ご精読いただきありがとうございます。
評価・感想いただけたら幸いです。
宜しくお願い致します。