第1章 赤雷との邂逅
続けての投稿になります。にしても区切りの見極めが難しいです。
宜しくお願い致します。
※一部改稿しています。大筋には影響、差異はありません。
【CCC】。コントラクターカードコロシアムとは何か。これを話す前にこの世界の話をしなければならない。
今から約一世紀前。世界滅亡の予言は通り越していたが、それは遅れてやってきた。世界の一部主要都市に突如として天まで伸びる巨大な塔が現れた。
通称塔。それが現れたのは【東京】【ワシントン】【ロンドン】【アテネ】【カイロ】【北京】【モスクワ】。 この七つを【中心塔】と呼び、その他の国や地域に出現した小さな塔を【番外塔】と呼ぶ。これらの出現がすべての始まりで、世界は変革を余儀なくされた。
しかし、塔の登場からすぐに各国が変わったわけではない。まず【ワシントン】の塔にアメリカは軍隊を派遣した。地元警察ではなく軍隊をまず投入する辺りはさすが軍事大国と言える。だが結果は最悪だった。派遣した一個小隊合計9名は無残な死を遂げた。そのうちの一人、瀕死の重傷を負いながらも帰還した兵士が持ち帰ったのは塔の中で産出された鉱石と装備したカメラが撮影した内部の様子だった。
塔の中にいたのはおとぎ話やSF世界に登場する化け物だった。加えてその化け物には近代兵器の申し子である銃弾は多少なりとも傷を追わせることはできても殺傷までには至らず、化け物の牙や無骨な棍棒はいともたやすく兵士の命を奪った。
だがそれ以上に世界を驚かせたのは持ち帰られた鉱石の方だ。拳ほどの大きさの武骨なその石はしかしそこに秘められたエネルギーは完全に未知のものだった。生き残った兵士曰く、奇跡的に倒すことができた緑の小さな鬼(後にゴブリンと名付けられる)が塵のように消えた後にこの石が現れたのだと言う。もしこれを大量に手に入れることができれば、世界が抱える大半の問題を解決できる、そう結論づける学者もいた。
驚愕とともに伝えられたこの事実をもって、しかし世界が出した結論は『静観』だった。アメリカやロシア、中国あたりは躍起になって塔に挑んではいたずらに犠牲を増やしていたと思うが、大局的には触らぬ神に祟りなしという意見で一致した。
そして十年後。世界を再び混乱が襲う。
突如、それまで何もなかった塔が震動し胎動し脈動し、塔に住まう化け物たちが外の世界に溢れ出たのだ。
そこから先は地獄だった。銃撃も小鬼など体格の小さな化け物には一定の効果を見せたが、熊のようなモノや巨大な肉食獣にはロケット弾も弾かれ、戦車や戦闘機もあらゆる兵器が導入された。それでも化け物を殲滅することは叶わなかった。
このまま未知なる化け物に蹂躙されてしまうのか。人類は絶望に沈む中、それは突然現れた。
塔の上、はるか上空。見上げた先には光を身に纏った人。しかしその顔はフードに隠されていて判別できない。
『運命に抗う星の子らよ。まだ希望を捨てぬと言うのなら、汝らに力を、この運命に抗う力を授けよう。そのためにはまず、この惨劇に幕を降ろそうか』
声も男か女かわからない。確かなことはこの人物は全世界同時に観測されており、それぞれの言語によって語られたこと。そしてこの言葉の直後、世界に星が降り注いだ。
流星群によるピンポイント絨毯爆撃。この無慈悲な攻撃により塔から溢れ出てきた化け物たちは文字通り灰も残さず跡形もなく消滅した。そこに残されたのは鉱石だけでなくその化け物が描かれたカードだった。
『私からの特別サービスだ。そこに落ちているカード達は汝らの希望となるだろう。見事使いこなしてみせよ。そしていつの日か、全ての塔を踏破してみせよ。期待しているぞ、我が星の子らよ』
終焉の絶望と生存の奇跡が起きたこの日は【ビギンズデイ】と名付けられた。そして世界は一斉に動き出した。この未知と奇跡と恐怖を内包した塔の攻略に向けて。
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