魔法とデコチュー
ちょっと長いです
そんなこんなでメクラの町が見えて来た。
そんなこんなの間にユウダが落馬したりデュメリルが自分を讃えるポエムを披露したり色々あったのだがくだらないことなので割愛する。
「あー……!やっと着きますね……」
ウォマは軽く伸びをした。
何度か休憩したとはいえずっと同じ体勢はキツイ。
「そうですねえ。町に近づいたということは……」
ハララカが不意に馬を止めた。
見ると他の馬も止まっており、ヒバカリは既に馬から降りて剣に手をかけていた。
「え?」
「魔物が近くにいるみたいです」
ウォマは驚いた。
どこにも魔物の気配なんて感じないのに。
「ヒバカリ、どうなんだ」
「……7体……が、1キロ先に。
恐らく群を作る類の……狼みたいなやつでしょうね。
こちらにはまだ気付いてないわ」
ヒバカリは緑色の目を前方に向け警戒していた。
—1キロ先の魔物の気配を感じ取るだなんて……。
「慎重に行こう。馬はここに繋いでおく。
ウォマ、君も剣が使えるんだよな?頼んだぞ」
「は、はい」
いよいよか。
ウォマは身を固くしながら馬から降りる。
大丈夫、大丈夫。
ギルドランキング1位のパーティだもの。
一行はヒバカリの言葉を頼りに慎重に魔物のいる場所へと向かう。
無言の時が続いたが、やがてヒバカリが静かな声で「いたわ」と指をさした。
草陰から覗く。
確かに、狼のような魔物が7体いた。
彼らはまだこちらに気がついてないのか、寝そべってくつろいでいる。
「油断している今がチャンスだ。
ヒバカリと僕とウォマが先陣を切る。ユウダ先生とハララカは後方を頼んだ。
ウォマ、君の実力はわからないが……アレは倒せそうか?」
「……1人では」
「わかった。僕と来い。
ヒバカリは右から、僕たちは左から行くぞ」
魔物に気が付かれないよう移動する。
ウォマの手が震えた。
ここで失敗したらパーティに置いてもらえない。
「3、2、1……行くぞ!!」
デュメリルの掛け声と共に3人は突撃した。
ウォマは1番近くにいた、耳に傷のある魔物に斬りかかった。
油断していたのか魔物が戦闘体勢に入るよりも早く喉に剣を深く突き刺せた。
よし。
そう思った瞬間。
魔物の首からもう一つ頭が生えて来た。
「えっ」
慌てて飛びのいて距離を取る。
なんだこいつら。こんなの、今まで見たことがない。
「クソ、こいつら!
頭はダメだ!他を狙え!」
デュメリルの方を見ると、既に頭が3個生えていた。
他って……。
ウォマは一瞬悩んだが腹を狙うことにした。
「やあ!」
魔物の頭を蹴り、怯んだところで腹に刃を突き立てる。
が、またしても頭が生えて来た。
「傷つければ傷つけるほど頭が……!」
再び飛びのいて距離を取る。
どうしたら……
その時ドンッとすごい衝撃音がした。
ヒバカリだ。
彼女は魔物を押し倒すと腹を切り裂き、頭が生えるよりも早く内臓を引き抜く。
そして黒くヌラヌラとした内臓を掲げ叫んだ。
「これが弱点よ!潰してちょうだい!」
そう言うとヒバカリは内臓を踏み潰した。
この魔物を倒すには頭が生えるよりも早くに弱点を突かなくてはならない。
ウォマは剣を握り直した。
一撃必殺だ。
魔物と向き直り距離を図る。
魔物の赤い瞳とウォマの灰色の瞳がぶつかる。
そして魔物が襲いかかった瞬間。
彼女は身を低くしてその腹に潜り込んだ。
先程生えて来た頭がウォマの腕に噛み付いて来たが、(下に鎖帷子を着ているので問題はない)それにひるまずその頭ごと切り裂いた。
全身から魔物の黒い血を浴びる。
もうこれじゃあ弱点の内臓がどれかわからない。
とにかく殺してやろうと腹に突き立てた剣を無茶苦茶にかき回した。
そんなんでも内臓が潰せたのかグアアア!という鳴き声がして魔物の体が大きく倒れた。
ウォマは魔物に押し潰される形になったが、なんとか這い出る。
「うう……気持ち悪い」
彼女のプラチナブロンドの髪は黒く染まっていた。
「こいつの足を!」
デュメリルの叫びにウォマは血を拭いながら駆け寄った。
いつの間にか魔物は残り3体になっていた。
ウォマが魔物の足に剣を突き刺し動きを弱めるとデュメリルの剣が魔物の胴を一刀両断した。
「よし、次!」
と振り返ると、魔物は既に全て殺されていた。
あれ?
見ると彼らは半分が灰になっていたり、弓矢が全身を貫いていたりしている。
ユウダとハララカの仕事のようだ。
戦いに夢中で気がつかなかったらしい。
ウォマは剣を振って血を払った。
「ふう。終わったな。
ヒバカリ、もういないか?」
「いないわ……って!キャア!?」
ヒバカリが悲鳴をあげたので皆再び武器に手をかける。
魔物か!?
「ウ、ウ、ウォマさん!?なに、それは!?あなた、タールでも被ったの!?」
ヒバカリの指摘にウォマは自分の姿を見る。
全身魔物の血で真っ黒く濡れている。
ウォマは真っ黒の血をジッと見た。魔王の支配地域よって魔物の血の色が違うという。
隣国の魔物は青い血だというが……どちらにしても気持ち悪い。
「ちょっと返り血を浴びちゃいまして。ベタベタしてて気持ち悪い……」
ウォマは自分の上着を脱いでそれで適当に体を拭く。
それにしても、ヒバカリは全く返り血を浴びていないというのはどういうことだろうか。リーダーのデュメリルですら若干血に汚れているのに。
「ちょちょちょちょっとウォマさんんん!!!破廉恥な!!」
「え?古手川唯?」
「誰が巨乳委員長よ!
そうじゃなくて、あなた!人の目があるのになぜそれを脱いでタオル代わりにするの!」
何故かヒバカリは顔を真っ赤にして手で顔を覆っている。
上着を脱いで、インナーになったことがヒバカリとしては恥ずかしかったようだ。
ウォマからしたら裸を見られたわけでもないのでなんとも思わない。
「そんなの気にしてたらこの仕事できませんよ?」
「魔物の血は穢れてるから脱いだ方がいいのは確かだね」
「もっといい体してたら僕としても楽しめたんだが……まあそんなものは鏡の向こうにしかないか」
「それって冗談ですかあ?」
男性面子は全く動じていなかった。
その反応を見てウォマはハッとなる。
私、厄介な女になるんだった。
「や、やだなー。見ないでよ。スケベ」
「お前から脱いだんだろ」
「それはそうなんだけど」
ウォマは自分の体を見た。
胸はあると思うのだが……色気が無い。
悩殺出来ない。
「ななななな!なに!当たり前に!見てるんですか!向こう向いてなさい!」
顔を真っ赤にしたヒバカリがウォマの前にすっ飛んでいき、手を大きく広げてウォマを隠そうとする。
「ウォマさんも!着替えはあるの!?」
「馬に……」
「もう!いつまでもそんな格好でいるつもりなの!?」
そうは言うが、ウォマは別に半裸なわけでもない。
所謂ババシャツみたいなものを着て更に上に鎖帷子を着ている。
この国の感覚としてはこの格好に羞恥心を覚える人もいるだろうが、ウォマはそういうものはあまり無い。
「ハララカ!そのマントを貸しなさい」
「いいですよお。でもなんで俺なんですか?」
「デュメリルのは高いじゃない」
「ユウダ先生のローブは?」
「白いじゃない」
ユウダは全体的に白っぽい格好をしている。
カレーうどんは食べられない。
「いえ、そんな。ハララカさんにご迷惑おかけするわけには」
「見苦しいもの見せないでよ」
「デュメリルさんのマントを借りますから」
「僕に迷惑かけていいのか?」
デュメリルは呆れながらもマントを渡そうとする。
ああ、これ高かったんだよなあ……。頑張って仕事をした自分へのご褒美に買ったやつ……。とOLのようなことを思いながら。
が、ハララカがそれより早くマントを脱いで渡していた。
「はい」
「エッ。大丈夫ですよ、デュメリルさんから借りますから」
「どうぞ?」
「いえ、ですから……」
「どうぞ?」
「……あの……」
「どうぞ?」
怖い。この人圧力で自分の思い通りにしようとする。
ウォマは涙目だった。
「……ありがとうございます……。汚しちゃいますけど……」
「洗って返してください」
ハララカはニッコリと沼の底のような目で笑った。
無理矢理押し付けておいて洗って返せって言うんだ……。ウォマはそう思ったが黙ってマントを纏う。
「……なんかこれ臭うんですけど……」
体臭の類のものではない。そうだったら脱ぎ捨ててる。
もっと……腐った何かのような……
「先ほどの戦闘の時、キッツイ臭いのする木の実を潰してしまいまして。」
「……まさか、洗わせるために私にマントを押し付けました?」
「押し付けてませんよお。貸したんです」
この男……。ウォマは憎々しげにハララカを睨んだが、ハララカはどこ吹く風だ。
「……それはそれはフローラルな香りの柔軟剤使ってやりますよ……香害レベルのね!」
「お願いしますねえ?」
「まあまあ!いいじゃないか!僕のマントも汚れずに済んだ!先生のローブもピッカピカ!何も文句はない!」
「それが私のローブだいぶ汚れてるんだよね。
洗濯しなきゃなー」
「あ!私に任せてくださいませ!
先生がやったら縮みますから!」
かつてユウダが洗濯したものは6割が縮んで3割が伸びた。残りの1割は成功したのかと言うとそうではなく、変な色の液体に変わった。
「さて、じゃあ出発するか」
「その前に、魔物の死骸燃やさなくちゃ」
ユウダが手をかざし呪文を唱える。
魔物の死骸に火の手が上がった。
「変な病気が流行ったりするからね」
ウォマはぼんやりその火を見ていた。
ステーキが食べたい。
✳︎
色々あったけど、やっとここまで来れた。
メクラの町だ。
他の面々は町の散策をすると言っていたが、ウォマは早々に宿に向かって体を洗った。
髪にこびりついた血は中々取れず、随分時間がかかってしまった。
ついでにマントも洗う。
人にマントを洗わせるのはさぞ気分がいいだろう。
彼女は部屋に戻りマントを干し、ベッドに潜り込んだ。
状況を整理しよう。
ウォマのやるべきことはこのパーティ、ナジャシュの解散だ。
その為に男と関係を持ちまくって壊せ、とサヴは言っていた。
しかしそれが本当に得策なのだろうか。
ウォマは美人ではない。そして、彼らは特別女に飢えていないようだ。
ヒバカリがいることもそうだが、あの顔じゃ不自由はしないだろう。
サヴの言い方からてっきりモッサリ草食系かと思ったのに。
となると、どうするべきだろう。
嫌な女を演じたらウォマを敵とみなし一致団結してウォマを追い出すだろうからこれはナシだ。
やはりパーティに溶け込む必要がある。
あの面々と仲良くするうちに解散に追い込む手が見つかるかもしれない。
相手の懐に入り引っ掻き回す。
とりあえずの目標は、パーティと打ち解けること。
そうと決まれば……寝よう。
今日は色々あって疲れた……。
彼女は寝ると決めてからものの数秒で寝息を立て始めた。
泥のような眠りから覚めた時、辺りはもう暗くなっていた。昼寝にしては長すぎた。
マントはすっかり乾いている。
返す為にウォマはハララカの部屋へ向かった。
「ハララカさん、これ。ありがとうございました。
しっかり洗いましたよ」
ウォマがマントを突き出すとハララカは仄暗い水の底のような目のまま笑顔を作った。
「どうもありがとうございます。
臭いしませんね」
「丁寧に洗いましたからね!」
「どうも。
おや、髪が濡れてますね」
ハララカが不意にウォマの頭を指差す。
この世界に魔法はあってもドライヤーはない。基本的に庶民以下はタオルドライするしかないのだ。
「ああ、さっき体を洗ったんで」
「風邪ひきますよお?」
「大丈夫ですよ、今まで引いたことないから」
「そうですか。
慣れないことをすると免疫力が下がると言いますけど、もしそれで風邪を引かれてパーティに迷惑がかかっても大丈夫なんですねえ?」
嫌味な言い方だ。
ウォマはちょっとカチンと来た。
彼女は気が長い方ではない。
「……ならハララカさんが私が風邪引かないようにしてくれればいいんじゃないですか?私の髪を貴族の召使いのように拭いてくれます?」
「そんなことせずとも魔法でチャチャッと解決できますが」
魔法でチャチャッと?
ウォマは苛立った表情から一変、目を輝かせながらハララカを見上げた。
「魔法、かけてくれるんですか?」
「いいですかあ?」
「ええ!」
ウォマはウキウキした。
魔法を使う瞬間をこんな目の前で見られるだなんて!
ハララカは目を伏せて呪文を唱え出した。
「長い牙、滴る雫、垂れた毒、二又の舌の奏でる祝福、閉じない瞳で彼女の熱を」
ウォマはこの恥ずかしい呪文は誰が考えているんだろうと思っていた。
自分ならもっとわかりやすく覚えやすいものにするとも。
そんなことを考えていたら不意にハララカの顔がウォマに近づく。
「えっ?」
そのまま、ウォマのおでこにハララカの唇が触れた。
急にウォマの体がポカポカと暖かくなっていく。
髪に触れるとしっかり乾いていた。
これが魔法……
「なんか地味だね」
「派手なのがいいですかあ?
体内から爆発させるものとかありますよお?」
「いえ、はは、冗談っすよ。
にしてもなんでデコチューを?」
「対象にキスしないと魔法が使えないんです。
だから魔術師の道は諦めました」
男にキスとか絶対したくないですから、とハララカは言う。
その顔は笑ってはいるが、いつものあの暗い森のような目のままだ。いや、いつもより暗い。
「……そんなエロ漫画みたいな……」
ウォマは可哀想に……と口元を抑える。
自分だったら絶対嫌だ。
「俺の専門は白魔法や守護魔法などなので今のところ戦闘に必須じゃないのが救いですね」
「し、白魔法!?」
嘘つけ、お前絶対黒魔術使うだろ。そうウォマは決めつけていた。
白魔法はかけられた対象にプラスになる魔法のことで、守護魔法はそのまま守りの魔法、黒魔術は悪魔召喚や破壊魔法のことを指す。
「何か不可解な点でも?」
「あなたのような濁った目の人間でも白魔法使えるんですね!?」
「何を言ってるんですかあ?」
ハララカの排水溝の奥のような目がウォマを捉えた。
殺される。ウォマはそう直感した。
「なにも言っておりません!」
「そうですよねえ。
そういえばデュメリルさんがあなたを探していましたよ。いきなり町に出発してしまったけれどどんなクエストを受けたか話していなかったと」
「あ、そういえば……」
流れでメクラの町に来ていたがクエスト内容までウォマは聞いていなかった。
どうせこの辺りの魔物狩りだろうと決めつけていたのだ。
「ありがとうございます。デュメリルさんはどちらに?」
「食堂だと思いますよ」
ハララカはそれだけ言うと踵を返して自室に入ってしまった。
ウォマの鼻先で扉がバタンと閉まる。
彼女はデュメリルを探し食堂へ向かう。
「僕が!世界で一番美しいのは!自明の理!さあ、君たちの目に思う存分、僕の姿を焼き付けな!」
なんてよく通る声だろう。ウォマは耳を塞ぎたくなった。
酔っ払っているのか、訳のわからない言葉を並べ立てている。迷惑だと宿から追い出されかねない。
「デュメリルさん!」
食堂に駆け込むとデュメリルの周りには若い女の子が群がっていた。
「ん?ああ、来たか」
酒の匂いはしない。シラフであんなことを言ったらしい。
「誰あの子ー。」
「パーティメンバーだ。
すまないが席を外すよ」
「えー、デュメリルさんのことまだ目に焼き付けてない」
「何言ってるんだ。この美しい僕の姿は1秒でも見れば充分目に焼きつくだろ?
最も、僕の姿が目に入ったらずっと見ていたくなるのわかるけどな」
脳が沸いているのか。ウォマはこめかみを押さえた。
近づいてくるデュメリルに彼女は逃げ出したかった。呼んだのはこちらなのだが同類と思われたくない。
「ウォマ!……って、おい!どこに行く!」
「なんでだろう。急に具合が悪く」
「気持ちはわかりましてよ!」
この高らかな声は……。声のした方を見るとヒバカリとユウダが若い女の子の集団から離れるようにお茶を飲んでいた。
ウォマはデュメリルを避けるようにそちらに向かう。
「良かった。まともな人間に会えて」
「可哀想に。さあ、お茶でも飲んでゆっくりして」
ユウダはお茶を差し出す……がその手が滑りコップご宙を舞う。
ヒバカリが床に落ちる前にコップを掴んだがお茶は全て溢れていた。
「ああ、ごめん……こんなつもりじゃ」
「いえいえ、いいんですよ。自分でやりますから」
「おい!ウォマ!
何故僕の所に来ない!」
「なんでだろう。疲れてて……。
それで、クエストの内容教えてくれるんですよね?なに?」
「ああそうだった」
デュメリルはポンと手を打ち彼女の横に座る。そして自分だけの分のお茶を淹れた。
「クエストは、メクラの町にいる魔物を殺すことなんだが……この魔物が厄介でな。
夜にしか現れず姿を見せないで人を攫っていくらしい。
後で攫われた人間が皮だけになって見つかっているから魔物の仕業だとはわかっていふんだが……」
「こわ!
そんなの倒せるの?」
「ヒバカリがいるから、多少探知できるだろう」
ヒバカリを見ると彼女はドヤ顔で紅茶を飲んでいた。
「どうして魔物を探知できるんですか?」
「わたくし、気配に敏感なの」
「獣とおんなじだ。鼻と耳が良い」
その無礼な言葉にヒバカリはキッと目を釣り上げデュメリルを睨んだ。
「デュメリル!?今なんと言ったのかしら!?」
「本当のことだろ!?」
「落ち着いて」
ユウダの手がヒバカリの頭を撫でる。彼女は頬を染めながら俯いた。
イチャイチャをしゃっちゅう見せつけられなきゃいけないわけ?とウォマは内心ため息をついた。
「じゃあ、今魔物がどこにいるかわかる?」
「今は町にはいないと思うわ。
と言っても人混みじゃあまりわからないから町にいない、ということしかわからないわ」
ヒバカリはこの町全域にわたって探知が可能のようだ。
なんて鋭い感覚。魔物を殺すために生まれたと言ったら過言。
「今夜は休んで明日に備えよう。
魔物は昼間が暑いと出てくるらしい。明日は晴天だ。きっと出てくる」
「今日は涼しかったからね。
さあ、もう休む支度をしようか」
ユウダはそう言いながら立ち上がり……足を椅子にぶつけていた。
「いたた……」
「よくそんなんで魔術師になれましたね……」
「ユウダ先生は魔術師としては一流でしてよ!」
「人間としては三流以下だけどな」




