If I am your…-始間大悟と9人の学部長達-
ハッチを抜けると、そこには外観からは想像もつかない様な最新鋭の設備が広がっていた。東京踏破大学第一講義堂の最上階、そこには学長執務室の他に日本が世界に誇る二十一人の大魔術師にも名を連ねる九人の学部長の研究室があるというのは踏破大学の学生ならば誰もが知っている事実である。彼等には世界を救っただの、滅ぼしただの、もう一度創り直しただのといった壮大な噂がまことうるさかに囁かれている。
「蒼志、何をしている。生憎だが学部長の研究室に立ち入る許可は与えられていないぞ?」
「わ、分かってるよ。でも部屋の前に立つ位いいだろ? こんなところ滅多に来られるもんじゃないし」
「部屋の前で待っていれば出てくるというわけでもあるまいに……。意外とミーハーなんだな、蒼志は」
「う、うるせー! 憧れるくらいいいだろ! てか魔術師たるもの誰もが一度は憧れるもんなんじゃねーのか!?」
その時、
研究室の扉の一つが勢い良く開き、中から悪魔、否、全身に漆黒の羽を纏い、白く塗った顔に派手な魔術陣を描いた異形の男、縛条刈也がギター状の物質を片手に飛び出してきた。
「Mayveeveeaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaz!」
刈也は天を仰ぎ、狂った様な奇声を上げる。
その声に呼応したかの様に他の研究室の扉がどんどん開かれていく。
「うるせえぞ縛条! オツムの回りが悪いからってロックに逃げてんじゃねえ! ぶっ潰すぞ!」
全身を覆う白い羽、トサカの如くそそり立つ三本の紅いリーゼント、鳥類の脚部の様な質感の三本指の両手、二メートルを超える巨躯をさらに超える大きさの特大フォーク。鶏のようにけたたましい声。学園一の大食漢として名を馳せる名物学部長鶏鶏大納言三世昴が喚き散らしながら飛び上がり、そのフォークを刈也に容赦なく振り下ろす。
フォークの先端は刈也のギター状物質と激突し、眩い火花を上げた。
「逃げちゃいねえさ! 俺はロックに命を懸けてる! 俺は闘ってるのさ! Yeahhhhhh! Mayveeveeaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaazaz!」
刈也と昴の拳がぶつかり合い、爆弾の様な衝撃を巻き散らした。
「どわああっ!?」
吹っ飛ばされた蒼志の身体を何かやわらかいものが受け止める。
「ん……?」
恐る恐る振り返ると、そこには同じく二メートルを超えるであろう巨女の豊満な身体があった。否、豊満という表現は不適切か。引き締まり筋肉質な細い身体、そしてそれに不釣り会いな巨大な胸。まるで漫画のキャラクターの様に理想化された肉体。その顔は眼帯と包帯、そしてそばかすで覆われていた。
「お前……かわいいな。うちの研究室に来ないか……? ワタシの臓物を舐めさせてやるぞ?」
毒々しい水色のツインテールを撫でながら学部長の一人、葛原キリコは嬉しそうに笑う。キリコは殆ど全裸だった。身体のあちこちに巻かれた包帯が辛うじて局部を隠してはいるものの、抱き締められている蒼志にはその感触は耐えられるものではない。マントの様に羽織っている白衣で包み込む様にしてキリコは蒼志をがっちりと捕らえていた。
「た、助けてくれー!」
だが、蒼志の願いも空しく追い打ちをかけるように学園最狂の男がその姿を現した。
三メートルを超えるヒトとしてのサイズを超えた巨躯、頭部から生えた竜の如き一対の角、禍禍しい紫色の体表、そして頭に取り付けられた脳拡張用の半生体デバイス。その叡智を得るために禁忌を犯したとさえ噂される男、朝倉ハウルは学園一の頭脳を誇る超天才である。
「喧しいぞ貴様等! この私のイシュタリフォンの定理-Theorem of Eshtelliphone-、口伝の近隣工事-Nearby construction of Oral tradition-、仏滅と抹茶のテーゼ-Thesis of Bad day and Green tea-、阿頼耶識のフォルフォニア-Forfonia of Human origin-が飲料水を祝福したとて私の研究を邪魔することは赦さん!」
意味不明過ぎて寧ろ神聖ささえ感じさせる怒号を発し、ハウルは詠唱もせずに致死性の魔術をぶっ放した。否、もしかしたら今の言葉のどれかが呪文だったのかもしれないが。
「もう滅茶苦茶だああ!」
「大丈夫、ワタシがお前を守ってやる」
囁くと同時にキリコの両腕がその形を大きく崩し、ぐちゅぐちゅと混ざり合って壁となる。理不尽な破壊の奔流は肉の壁を削り取っていったが、蒼志にその牙が届くことはなかった。
「ギリギリだな、まだ少し強度が足りなかった様だ」
芋虫のようにグネグネと動く、腕からはみ出した自分の筋組織を眺めながら、キリコは冷静に分析する。
「落ち着いてください、皆さん。生徒さんが巻き込まれて死んじゃいますよ?」
すざまじい破壊の跡にいつの間にか現れていた男が一人。
学園最強の拒絶術式【セントアルカの鍵-Gate of St. Olca-】を張った張本人、学園最強の結界師、結城春美がそこに立っていた。
春美の周囲には結界が展開されており、建物にも地面に伏せていた凪沙にも傷一つ付いていなかった。
異形揃いの学部長達の中で珍しく普通の人間の格好をした春美が蒼志と凪沙を優しく助け起こす。
「大丈夫かい?」
「はい、ありがとうございます。助かりました……」
「君は……確か蒼志君だったか。大悟さんのお子さんだよね?」
「そ、そうです。俺のこと知ってるんですか!?」
「君の話はよく大悟さんから聞いていたからね。その蒼い目。そんな美しいものは見間違いようがないよ」
惚けてしまう様な台詞に蒼志は言葉を失う。
始間蒼志の目は蒼い。何でも曾祖父からの隔世遺伝だそうだが、その辺りは蒼志にはよく分からない。始間蒼志はこの目が好きだった。これだけは誰かに与えられたものではなかったから。生まれた時から持っていた、紛れもない自分のもの。蒼志にとってはこれだけが父親に関係のないアイデンティティだった。
「けっ、そんなひょろっちいガキが大悟の息子だと? 白ける冗談だな。ロックじゃねえぜ」
「カッ! 本物のクズだな、アイツは。ガキんちょ! あんな脳筋の言うことなんざ気にするなよ!」
「ワタシはお前が気に入ったぞ。今度ワタシの部屋に来るといい。激しく臓物を繰りあおうじゃないか♡」
「デバイス冷却システムを作動……これだから零月ウサギの臨界点は……全く腹立たしい」
頭の冷えた学部長達は次々と研究室に戻っていく。
「じゃあね、蒼志君。機会があれば授業でまた会おう」
蒼志と握手をし、春美も自分の研究室へと戻っていってしまった。
「まったく………ろくでもない目にあったな」
凪沙は既に学長執務室の前へと移動していた。
「噂には聞いてたけど、本当に変な人たちばっかりだな。……でも、何だか楽しかった」
「そうか? 案外蒼志も変人なのかもしれないな」
「な、何言ってるんだよ!」
「さ、早く入るぞ。学長が待っている」
そうか。この先に父さんがいるのか。
蒼志の胸に再び小さな不安がよぎる。
これ程の騒ぎを前にしても沈黙を守り続けていた父。この扉の向こうで、果たして今、何を考えているのだろうか。蒼志は不安だった。自分には本当に父の前に立つ資格があるのだろうか、と。
「始間学長、白夜姫凪沙です。入ります」
ノックをし、凪沙が重い執務室の扉を開ける。
そこには、
いびきをかいて眠りこける始間大悟の姿があった。
「は?」
蒼志と凪沙の声がシンクロする。
机の上には乱雑に駒の置かれたチェス盤とトランプ、そしてプルトップの開いた缶ビールが散乱していた。
「んがっ……んにゃ、蒼志か……?」
「こんの……クソ親父ィィィィィィィィィ!」
蒼志の怒りの鉄拳が寝ぼけ眼の大悟の顔面を捉え、学園を一望できる窓を突き破ってその体を場外へと運んだ。
ああああああああ………という情けない悲鳴を上げながら大悟は階下へと姿を消す。
不思議と【セントアルカの鍵-Gate of St.Olca-】は働かなかった。
しばらくして、鼻のあたりを押さえた大悟が魔術で浮かび上がってくる。
「そ、蒼志! 父さんに向かって何てことするんだ!」
「うるせー! 俺の描いてた威厳ある父親像とか、遠慮とか、葛藤とか色々返せ!」
「別にいいだろ! 五年越しの息子との再開を楽しみにするくらい! そりゃちょっと酒とか飲んじゃったし蒼志と一緒に遊ぶこと妄想して深夜まで独りチェスしたりはしちゃったけどさ!」
「いい要素が何処にも見当たらねえよ!」
「うぬぬ……俺が居ないうちにドライに育っちゃって……」
「……学長、そろそろ本題に入ってもらえますか。見たところこの後の予定も押している様ですし」
「う、うん。そうだな。さて、蒼志。先ずは東京踏破大学への合格おめでとう! 言っておくが父さんは何の手引きもしていないぞ。寧ろちょっと厳しく採点する様に指示したくらいだからな」
「それはそれでどうなんだよ」
「さて、そんな蒼志の力を見込んで一つ頼みたいことがあるんだ。……聞いてくれるか?」
「頼みたいこと……?」
始間蒼志は動揺する。
思えばこれまでの人生で父親から頼みごとをされるなんて初めてのことだった。
……父親に、認められるかもしれない。
そんな思いが蒼志の口を動かす。
「ああ、いいぜ。どんな頼みでも聞いてやるよ」
「おっ、威勢がいいな。頼みって言うのは他でもない、俺の仕事に手を貸してほしいってことなんだ」
「父さんの仕事?学長の秘書でもすればいいのか?」
「否、学長としての仕事じゃない。魔術師としての仕事さ」
「ま、魔術師!?」
「俺は今魔術師としてのドでかい案件を任されていてな。実際今の忙しさも八割方それが原因なんだが」
「嘘つけ! 絶対てめー自身の問題が殆どだろ!」
「うぬぬ……何だかお前母さんに似てきたな……。と、ともかく、この案件は非常に重要な任務だ。蒼志、第四存在の研究の最たる目的は何だか知ってるか?」
「えっと、第四存在との交信によって獲得、制御できる永久資源オリハルコンから得られる利潤の最大化、だろ?」
「教科書通りの答えだな。百点満点だ。だがそれは人類社会に公開可能な建前に過ぎない。我々が第四存在を研究するのにはもっと大事な目的があるんだ。……それは世界を滅ぼさんとする者達との闘い、この世界の救済だ」
「せ、世界を滅ぼす!? 救う!? いきなりスケールがデカすぎないか?そもそも何で世界を滅ぼすなんてことするんだよ!?」
「勿論敵も世界を滅ぼすこと自体を目的として動いているわけじゃない。敵組織の名は全国博士協会。第四存在と交信し世界の真理を知ることを目的とする魔術師の集団だ。世界の滅亡は奴等にとって真理を得る為の代償に過ぎない」
「せ、世界の真理ぃ? そんなものどうやって手に入れるんだよ?」
「上位の第四存在と交信するための忌まわしい儀式があってな。奴等はこの世羅島を舞台にしてそれを行うつもりらしい。既に多数の魔術師がこの島に集結して儀式を阻止するために動き始めているところだ」
「……それで、手伝うって俺は何をすればいいんだよ?」
「決まってる。この学園で大いに学べ!」
「へ?」
「踏破大学に合格したとはいえ、お前は魔術師としてはまだまだひよっこだ。だからしっかり学べ! そして一流の魔術師になれ! ……学生生活を存分に楽しみながらな。ビビらせる様なことを言ったが、なにも今日明日で世界が終わるってわけじゃない。焦らずゆっくりやればいいんだ。それがきっと、いつか世界を救う力になる!」
「ちぇっ、要は結局普通の激励ってことだな?まあいいや。せいぜい期待に応えられるように頑張ってやるよ」
「おう! また近いうちに改めて飯でも食いに行こう。本当なら今すぐにでも行きたいところなんだが、如何せん仕事が溜まっていてな」
「自業自得だろーが! ……ったく。また連絡でもくれよ」
「ああ、母さんの話もまた聞かせてくれ」
蒼志と凪沙は学生執務室を出る。
いつの間にか辺りを夜の闇が覆い、ハッチからは冷たい風が吹き込んでいた。
「な、なんかすっごい寒くねえか?」
「そうか? 普通の春先ならこんなものだろう」
「むむ……早くも第三区画都市に染まっちまったみたいだな」
「さ、早く帰るぞ。授業はもう明日から始まるからな。初日から遅刻なんて事になったら御父上に会わす顔がない」
「わーかってるよ」
蒼志と凪沙は【リントヴルムの羽-Drive of Lindworm-】を起動させ、静かに夜の闇の中へと滑り出す。
今日は本当に色々なことがあった。新しい街、厄介な同居人、噂の百倍人外じみた学部長達、相変わらずの大悟、そんな大悟が蒼志を頼ってくれたこと。
高鳴る胸の鼓動を押さえ込むように身体に力を込めて身を震わせ、蒼志は笑顔を噛み殺す。
遂に始まるのだ、蒼志の魔術師としての学園生活が。
「凪沙、晩飯は何が食いたい? 今日は俺がとっておきのやつを御馳走してやるよ!」
高ぶる蒼志とは裏腹に、凪沙からの返事はなかった。
「……? 何黙ってんだよ凪沙。心配すんなって。こう見えても俺料理は得意なんだぜ?」
凪沙からの返事はない。
「おい、いい加減にしろよ! 何が気に食わないのか知らないけどさあ!」
蒼志は後ろを振り返る。
そこに凪沙の姿は無かった。
「凪沙?」
瞬間、蒼志の頸を岩の様な物体が圧し折り、その身体を地面に叩き落とす。
意識を断ち切られた蒼志の肉体は受け身をとることもなく水っぽい破裂音を立てて地表に激突した。
数秒前に襲撃を受けていた凪沙は自らを襲った何かを迎撃すべく写本を開く。
「五光の端、天臨の屍。おねえちゃん、なんでいきてるの?」
星の光で弱った闇の中から小さな少年が姿を現す。白い詰襟シャツ、胸元の紅いリボン、サスペンダー付きの半ズボン。いいところの御坊ちゃんのような風貌だが、その身体は返り血と肉片にまみれていた。そして、その背後には犬面の真っ黒な大男が両手に死体を持って立っていた。犬面は死体の頭蓋を噛み砕き、露出させた脳味噌を少年に差し出す。少年は細い人差し指で脳味噌をすくい、それを口に入れた。
「うん、やっぱりわかいおんなのひとののうみそがいちばんおいしいね」
「くっ……化け物め」
凪沙は写本のページを開ける。
「詠唱、写本グーリンガム第三十三小節【カルナマゴスの分針-Big hand of Carnamagos-】!」
あらゆる物体を朽ち果てさせる巨大なエントロピーの刃が凪沙の左手を覆い、大気を吸い込んで雄叫びを上げる。
「へえ、おねえちゃん、ぼくとたたかうきなんだ?」
少年が楽しそうに目を細める。
「じゃあ、あそぼっか。ピックマン」
ピックマンと呼ばれた犬面が咆哮し、死体を振り回して襲いかかる。
その一撃はただの打撃などではなかった。
巨大な力の奔流を纏った凶器は人を殺すに足る魔術を掻き消し、術者の肉体ごと視界の果てに吹き飛ばす。街路に叩きつけられた凪沙は血と共に砕けた臓腑の欠片を吐き出した。
「えへへ、いただきます」
少年が凪沙の吐き出したものを指で掬い取り、口に含む。
「うん、おねえちゃん、おいしい!」
少年は血の付いた歯を見せて無邪気に笑った。
かすみゆく意識の中で凪沙は思う。
始間蒼志を守らなくては、と。
それが白夜姫凪沙の生まれた理由なのだから。
凪沙は写本に手を伸ばす。
だが、彼女の写本はこれ以上何も応えなかった。
「もうおわり? じゃあ、おねえちゃんののうみそ、たべさせてね」
少年の声に呼応したかの様にピックマンの手が動く。まるで我が子の為に胡桃を割る母親の様にピックマンは易々とその手を振り下ろした。
筈だった。
獲物を叩き潰すために放った岩石の如き右手はこの世から消えていた。
「……おにいさん、だれ?」
それは星の降るような夜だった。
星々の明かりに照らされた街路に男は立つ。
その両手に武器は無く、その肉体は豪傑のそれとは程遠い。
ただ、その身体から立ち昇る力の奔流だけが見るものに恐ろしさを確信させる。
身体に纏った力は銀色の炎へと形を変え、対峙するものを威嚇した。
先に動いたのは異形だった。
破壊を破壊する破壊を手に纏い、獲物に向かって風のような速さで突撃する。
だが、それが男に届くことはなかった。
男の手の中にいつの間にか現れていた刃がピックマンの肉体に突き刺さり、その進撃を止める。
「ふむ、思ったよりも硬いな。神話に出てくる岩の巨人か何かか? ならば打撃武器の方が効きそうだな」
まるで男の声に世界が答えたかのようにその手に戦槌が出現し、男がそれを軽々と振り回す。
「【バルカの鉄槌-Punishment of Barca-】!」
稲妻の如き一撃がよろめくピックマンの身体を捉え、その重さをぶつける。
が、これはあまり効いていないようだった。
「……そういうわけでもないのか。単純に肉が固いようだな。……さしずめ喰人鬼といったところか?であれば、大した対策など思い付かないが」
「おにいさん……いらいらする……。ぼくのピックマンになにするのさ……!」
「失礼した。そいつは君の友人か? ならば教えてやるといい。人間の世界では人を殺して喰ってはいけないんだとな」
「なんで? なんで? なんでたべちゃだめなの!? おいしいもん! いみわかんないいみわかんないいみわかんない! しんでよしんでよしんでよおおお!」
少年の意思を投影したかの様にピックマンが飛び掛かる。
男は、至って落ち着いていた。
「やれやれ、行儀の悪い子どもだな」
練り上げられた炎が渦を巻き、吸い込まれる様にして男の前で収束する。
「我等が主よ、我は僕、貴方に代わり最果てに立つ者。その世界に平穏あれ、その世界に安寧あれ、その世界よ主の望むままであれ。我は炎、虚実を正す銀の弾丸。世界よ、悪しき夢から覚醒せよ!-The world, I pray for you. I walk to you. Please be my heart, please be my blood, please be my world. If you want, I will be your divine bullet. The world should be our innocent new world-!」
詠唱を終え、男の眼前で収束した銀炎が銃を撃つような動作とともに放たれる。
「【創正する銀の弾丸-Silver bullet of the World-】!」
弾丸はピックマンに突き刺さり内部から巨大な銀炎を上げた。
「な……なにこれ……? ピックマン! あいつをころして!」
少年をも巻き込み、銀炎は全てを収束して消える。
まるで世界が始めからそうだったかのように。
男はゆっくりと蒼志に近付いた。
「始間大悟、今度はお前が私を呼んだのか……?」
その顔をじっくりと確認し、男は確認する様に呟く。
「始間蒼志、お前も覚醒めを望む者か?」




