大賢者の祝福
それから数日後、俺に変化が訪れた。
いや、この言い方はおかしいか、転機が訪れた。神の祝福だろうか?
この忌まわしい称号大賢者が、オンオフを付けられるようになったのだ。今日、朝起きると感覚的に理解した。そして、ステータスを見て変化を調べようとしたが、称号自体は何の変化も無かった。
おそらく、今日15歳になり、成人を迎えたからであると考えられる。まったく、ふざけた事をしてくれる。せめてそれも感覚で分かる様にしとけって。
だが、そんな事はもう良いのだ。朝から精一杯歓喜して今はもうお昼。早く夜にならないかな。と、今日は誰のベットにお邪魔しようかな。と、俺は真剣に悩んでいた。もちろん複数人は無理だ。いや、肯定的なキャロルとチェルシーならあるいは……
そして俺は思考の坩堝にハマる。誰が一番かで揉めないか? いや、だが、早いか遅いかの違いしかない。大丈夫だ……本当か? ジェニは多分一番じゃ無いと怒るだろう。いや、だが、やっぱり前世からずっと待たせ続けたアイリを。
ちょっと待てよ、ケイもそう言う所気にするよな。そう言えば一番前世で関係が薄いと言って居たし。そんな事関係無いと言う意味も込めて。ミラは……いいや、あいつ絶対怖がってるし。あいつは怒った時に慰めて望むならだな。エティ……の事は深く考えるのは止そう。精神がやられる。
「何そんなに真剣に悩んでいるの? 何か不味い事でもあった?」
「いや、誰を一番最初にしようかと思って……」
俺は高揚し過ぎていたのか、思わず口を滑らせたが、相手がアカネだった事に安堵した。
「ふーん、何かするの? ヒール頼みに来たんだけど」
アカネはあれから毎日リーアを連れてくる。もう日課になりつつある。
「なんであの時助けたのよ。死んだ方が楽だったじゃない!」
とリーアが怒る始末だ。
「ハイヒール。なあ、アカネ。お前さ、口硬かったりする?」
「何それ、言わないでって言われた事は基本的に言わないわよ」
基本的にか。まあ、アカネなら大丈夫だろ。家庭を作った事もあるみたいだし言ってはいけない事は分かるはずだ。
そう思った俺はアカネに今の状況を説明した。
「エルバートって正妻とか決めて無いんだよね?」
アカネは顎に手を当てて真面目に考えてくれている様だ。やっぱり俺の人選は間違っていなかった。
だが……
「全員一番だ」
これは譲れない。一人に絞らないと決めた時からこれは絶対だ。
「そっか。じゃあ全員と一気にする位の甲斐性みせたら?」
は? いやいやいや、は?
「ばっ! お前そんな事出来る訳無いだろ。皆嫌がるに決まってる」
俺には未来が見えるね。皆して冷たい目を向けて、あ~この人やだやだって感じに部屋から去っていくんだ。
「だから、俺は順番を付けたくないから嫌な奴は来なくていい位に言えばいいの」
む、その発言ならばあるいは。ちょっと待て。
「そ、それで複数人来たらどうするんだよ! 俺は60年間童貞なんだぞ!」
だからもうちょっと労わった発言してくれよ。
「……あ~、うん。チャラいと思ってたエルバートが誠実に見えて来た」
いや、誠実だよ? いや、今はそんな事よりアドバイスを。
「他に打開策は無いだろうか?」
俺は真剣にアカネを見つめた。
「取り合えず、さっきの言葉言ってみて。夕食の時に」
俺の真剣な瞳は彼女に届かなかった様だ。
「何で皆の前で言わなきゃいけないんだよ。お前らは関係無いだろ」
エミールやローズに後ハーティとお前も関係無いんだぞ! 羞恥プレイ過ぎるだろうがっ。
「私は関係あるわよ」
なん……だと……なんてな、俺もそこら辺は学習したんだよ。きっと俺の思った事とは違うんだ。知ってた。
「じゃあ俺がその言葉言ったらどうすんの?」
ふっふっふ、冗談だと分かってれば怖く無いのだよアカネ君。
「言えたら私が呟いてあげる。これで逃げた子は二番目以降ねって」
あ、冗談ですらなかった。直接的に返さなくて良かったぁ。
「だから、複数人来たらどうすんだよ!」
「そこは甲斐性見せなよ。と言うか男の夢なんじゃ無いの?」
「それで幸せになれるのは夢の中だからだ! 想像すれば分かるだろ?」
「分かるけど、エルバートが望んだ結果だよね。そこで甘えちゃダメじゃない?」
「ぐぬぅ」
そうして俺は、数時間言うか言わないかで悩み続ける事になった。その間、リーアが避難するかのように俺を背もたれにして座り、俺は、落ち着かない気持ちをリーアの髪を弄りまわして紛らわせた。
そんな来て欲しくない時間は一瞬で過ぎ去り、夕食の時間が来てしまった。気持ちが決まらず自室に居ると、とうとうラティーシャさんが声を掛けに来た。
「エルバート様、夕食のお時間になりました。皆さまはもうすでにお待ちしております」
「はい……今行きます」
俺は、まだ、言うか決めて無いんだし。良いじゃ無いか、言わなければと考え始め気楽に食卓へと足を運んだ。
あれ? なんか皆落ち着かない感じでソワソワしてる。ああ、待たせちゃったからお腹すいてるのかな。
「悪い悪い、考え事してたら遅くなってしまってな。こういう時は先に食べてていいぞ?」
……何故誰も返事しない。何かが可笑しい。と俺はアカネに視線を向けた。そして彼女は目をそらした。
「アーカーネー! 貴様、裏切ったな。許せん。決闘だ! お前は素手で」
すべてを把握した俺は大激怒した。ミラとかリーアなら吹き飛ぶくらいには。
「ご、ごめん。でも必要なんだよ。女の子には心の準備がね。……怒っててもちゃんと素手でって言うんだね」
彼女は両手を合わせ謝りつつも、ちっとも気にした様子が無かった。
「どうやら反省の色が足りない様だな。許さない。絶対にだ」
そう、許さない、今すぐにでも……
「お兄、皆お兄を待ってたの。ご飯よ」
「あ、はい」
あれ? 何でジェニは普通なの? お兄ちゃんすっごく怖いんだけど。そうして夕食を食べ終わり、エミール、ローズ、ハーティがそそくさと部屋から退出した。え? 何? この状態で言えっての?
「さて、夕食も終わったし、アカネちょっと外へ行こうか。OHANASIがある」
「良いの? この状態で逃げるなら、私本気出すよ」
何この子、裏切って置いて……
「良いだろう、俺も本気だ。精力全開の俺を舐めるなよ」
「もうっ、それなら早く言いなよ!」
そうして俺とアカネがにらみ合っていると、見かねたのか全員が立ち上がり、俺の背中を押して部屋から出そうと押した。
ああ、そうか、秘密を明かしたアカネは皆を味方につけた訳だとふてくれていると。アイリが口を開いた。
「あの、アラステア君だっけ。彼が邪魔しないうちにね?」
「そうね。あの王子、私達が行ってる間も王族の女見繕ってたし、今のうちに私達で固めないと」
「個別には後からでも出来るしな。喧嘩するよりはいいだろ」
アイリの言葉の後にケイとエティが言う。え? いやいや。マジですか?
「私は順番なんてどうでも良いです。けど、一杯可愛がって欲しいです」
「わ、私も。エルバート様が居れば何でも。あ、他の男性はダメです。」
チェルシーとキャロルも……
「わ、私は見てるだけで良いよぅ。」
「お兄、私が最初よ?」
えっと、うん。ミラは平常運転で何よりだが、見られても困る。ジェニよ、お前もぶれないが……可笑しいな、称号をオフに出来た瞬間は最高の幸せを感じたんだが。いや、思い切って楽しんでみるか。
そ、そうだよ。同意してくれたんだ。悪い事じゃ無い。悪い事じゃ無い。
そうして俺達は、今まで使った事が無かった一番大きなベットがある部屋に行き、いつまでも何もせずに会話していると、俺は縛り付けられた。そこからは記憶が無い。事にしたかった。
そうか、これは60年分のモテキみたいなのが来たんだな、きっと。うん。取り合えず今日の事はこの縛られてる状態だけを忘れる事にしよう。……そんな器用な真似は出来ないが。
この日、エルバートと言う少年は60年の童貞を経て酒池肉林を経験した。酒は無いが。
次の日俺は、外にアカネを呼び出して、決闘をした。もちろん剣を渡して何てやらない。だが、予定通り俺が圧勝すると言う所でジェニが寄りにもよって俺が作った頑丈な剣を投げ渡しやがった。
それでも10分ほどは何とか打ち合い。引き分けと言う事にしてやった。
「剣持った私と普通に打ち合えるとか化け物だね」
「自分を化け物みたいに言うんじゃねーよ。泣き虫の癖に」
「はいはい、キミの意趣返し頂きました。もう許してよ。最高だったでしょ。」
「ああ、縛られて何も出来なかったけどね。ああ、腹立ってきた。アラステアで遊んでくる。」
俺は、せっかく落ち着いて来たのに蒸し返されてこのデリカシーの無い女と離れる為に王宮に転移しようとした。
「もうダメよ。今日もずっと一緒に居て貰うんだから」
「そうだよ。夜もね。皆で一緒に寝るんだからねっ」
と、ジェニとアイリに両腕をロックされ、俺は引きずられるように屋敷へと戻されるのだった。
大賢者さんは今まで俺の尊厳を守ってくれていたのだろうか? と、ステータスの称号欄を見て驚いた。大魔法使いの称号が消えていた。え? 大魔法使いってそう言う事? 転生して色々な魔法を使える様になった俺は、地球時代から守り続けた? 魔法使いという称号を捨てたのだった。
ここまでお付き合い頂き本当にありがとうございました。
行き当たりばったりで書いて途中で続きが書けなくなり深く考えない様に書いて来てこうなりました。
プロットって大切ですね。逸れるなら逸れるで計画が必要だと感じました。
色々拙過ぎたお話ですが、評価を下さった方ありがとうございます。
打ち切り感丸出しですみません。
後、句読点、三点リーダー、誤字、見苦しい所満載な所もご勘弁を。
冷や汗を流しつつ76話の修正して、余りの多さに自分に突っ込みを入れたくなりました。
次回作を作る時はもっとしっかりお話を組んで書こうと思います。




