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魔法使いが魔法使いになりたくて異世界転生をする(英雄の生まれ変わり)  作者: オレオ


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人間から勇者そして魔王へ


 俺は、念のため、アラステアにうちの村につながる魔法陣を渡した。緊急事態があれば使ってくれと。


 それから魔王とパーティーメンバー4人を連れて、村へと転移して、警戒態勢はもう必要ない事を伝え、屋敷に居る者達で主要なメンツに魔王を含め、家族会議を開始した。


「あ~ジェニ達は分からないだろうから言って置くが、この子が魔王だ。あっ、名前聞いてなかったな」


 相手が魔王と伝えた。と、言う事もあり、俺と魔王を除いた全員が緊張の面持ちで様子を伺っている。


 そう言って彼女に目を向ける。彼女は『ははは、お互いにね』と言いながら立ち上がり自己紹介を始めた。


「私は元々は普通の人間で勇者と呼ばれたり、魔王と呼ばれたりしてた者。名前はアカネ・ヨシノだよ。外見は16歳で止まったけど、年齢はもっと高い。大まかには想像できるだろけど言わないでね。むかつくから。」


 魔王は言ってやったぜと、ちょっとだけドヤ顔を見せて座った。だが、その事に突っ込みを入れる事は出来そうになく、思わず呟いていた。


「あかね……日本人の名前なんて久々に聞いた」


「……えっと、キミも日本人だったって事が分かったけど。その前に私、キミの名前聞いて無いんだけど」


「す、すみません。エルバートですよ。ヨシノさん」


「こっちの名前なんだね。まあそれはいいけど普通に話しなよ。何で話し方変えて喜んでるの」


 うん、アルテミシアもそうなんだけど、名前変えてたし日本人ぽい顔じゃ無かったし。あ~でもこの子もちょっと綺麗すぎてなんか違うかな? いや、黒髪ロングの前髪ぱっつんで日本人ぽい顔立ちはしてるし大和なでしこって事でいいだろう。


「いや、だってこんなにしっかりと同郷を感じられた相手は初めてで。俺にとっては30年振り位なんだ」


 そんな風に話し合っていると、ケイが口を開いた。


「エル、どうして皆集めたの? これからどうしたら良いの? まずは聞かせて。時間はあるんでしょ」


 そうケイに言われて気が付いた。もう警戒態勢を解いて大丈夫としか伝えて無かった。


 俺は、今までの事を、自分の過去も含めて、いつものメンバーにも隠さずにすべて伝えた。


 この中でジェニ、エミール、ローズ、ハーティの4人以外は前世の記憶を持っていて思い出しているので多少女神の事も知っている。


「意味わかんないんだけど、ひどい事されたって女神様よね? 皆を見守り、時に手助けすらしてくれるって言う……」


「いや、それ自作自演だって……もう面倒だ。思い出せ。メルディナ」


 俺は結局何だかんだ言って、怖いからいいやと逃げていた、ジェニの前世の名前を呼んだ。そして、他の者と同様呻き声を上げた後、顔を上げて俺を睨んだ。


「あんた、女の子が待ってって言ってんだから待ちなさいよね。この馬鹿」


「あんたか。お前にそう言われると懐かしくなるな。外見が違くても」


「え? あ、うん。まああれよね。女神の件は分かったわさっきの発言は忘れて。あの残念な馬鹿をさま付けとか……」


 ジェニは俺が少し悲しそうに目を細めて言った為、話を変えようとしたがとの途中で額に手を当てため息を付いて口を閉じた。


「何でキミらはそんなに女神と面識があるの? 魔王やって数百年生きてきた私ですら会ったのは最初だけ。後は呼び出す為に無理やり神託の場を使って話掛けた位なんだけど」


「死んだからだな」


 エティがあっけらかんとした顔で魔王に伝える。


「……そうか。そりゃ会えない訳だ。あはは、そんな簡単に……なんかもう疲れたな」


 魔王は死ぬ事を簡単と言って苦い顔を浮かべる。死ねずに数百年探し続け、会う方法が死ぬ事だと言われたのだ。そんな顔もするだろう。暴走してキレ出さないだけ常識人とも言える。


「まああれだ、今俺と会ったのは運が良かったよ。あいつも転生してるはずだ。死ななくても会う事が出来る。と言うか普通に死んだだけじゃ会えないしな」


 そう、あの時全員で死後に会話出来たのは女神の力を使って貰ったからなのだ。


「そうか、そうだね。封印はまだ数百年は続いたはず。そう考えると確かに運が良かった。解いて貰えたのは僥倖だったと思うよ」


 そう言って魔王が顔を上げると、無理やり笑って笑顔を見せた。


「えっと、どうして魔王なんて呼ばれてたの? エルがこんなに信じる位だし、悪い人じゃないんでしょ?」


 アイリは魔王が辛くても無理やり笑みを作った事で、緊張した面持ちを少し解き問いかけた。


「うん……最初の30年位は良かったんだ。人族の王様に言われてパーティー組んで魔物とかと戦って、最終的に、国外から入って来た生息地を抜けて好き勝手出来る変異種の竜を苦労して倒した。」


 彼女は、膝の上に手を置いて少しうつむきがちに話しだした。怒っているようにも悲しんでいるようにももう諦めた様にも見える。


「それからパーティー組んでいたあいつと結ばれて、貰った領地を開拓してって子供も出来た。少しづつ人も増えて子供たちも成長して私の外見が変わらない事にも綺麗だからいいじゃんって言ってくれてた。だから不死な事も伝えた……」


 彼女は言葉を止めて、目を潤ませる。深呼吸をして再度言葉を紡ぐ。


「けど……王が変わってその新しい王は言ったらしいんだ。いずれその魔女は国を滅ぼすだろうって。多分私が死なない事で、いつか恨みを持って戦いになれば、勝つ事は出来ないと思ったんだろうね。その時村に居た私達はそんな事知らなかった」


 少し声が震えている。だが、目に涙は消えていて闇の潜んでいるようにも見える。俺達は息をのみ、言葉を待つ。


「いつもの様に狩りをして、晴れていたその日は皆でお疲れ様を言って食事をした。だけど、食事が終る頃皆が一斉に泡を吹いて倒れたんだ。私を含めてね。あいつらは私等の村の食糧庫にある食材すべてに猛毒を混ぜたんだ。けど私は次の日、普通に目が覚めた。死んでいる皆に囲まれて。そうして私はリベンジャーになった」


 彼女はここで言葉を止めた。そして頭を振り、深く考える事を止め『これが私が魔王になった理由』と苦笑いを浮かべて言った。


 反対に理由を聞いたアイリはボロボロと泣いていた。酷い酷過ぎる。と呟き堪えようとしてもこらえきれない大粒の涙を流しながら魔王と呼ばれた少女を見つめ『嫌な話させてごめん、ごめん』と告げた。


「うん、事が終ってから初めて言ったかも。我慢して言ったんだからあれを探すの手伝ってね。あれを見つけて気が済んだら不死、解いて貰うんだ。今度こそ。あの子達の所に行きたいし」


 彼女は取り繕うように表情を笑顔に変えて、アイリに言う。だが、最後の一言を言うとまた表情が曇った。


「あ~……凄く言い辛い事なんだが……もうその子達はとっくに何度も生まれ変わって幸せを掴んだりしていると思うぞ。だからヨシノさんも不死を解いて貰ったらもう一度幸せを望んで生きてみたらどうだ?」


 俺は、もう一度彼女に心底同情した。だから、伝えられることは伝えたい。そう思い、辛い事と分かった上で伝えた。悲しい想いをさせてしまうだろうと視線を向けるとやはり、彼女は泣いていた。


「あ、あぁ……グスッ……もう、そんな事も叶わないの。一杯、我慢したんだけどなぁ……」


 そして、女性陣が彼女を必死に慰め続け、俺は泣かせた代償だろうか、その間永遠となじられ続けた。





 それから数日、彼女はすっかり立ち直った。外見と違う年齢なのは分かっているがそれでいてなお、強いと思う。そんな風に彼女を認めた俺達は、すっかり仲良くなっていた。


 じゃあそろそろ探し始めるか。と朝食を取りながら話している時だった。珍しくロルさんが入って来て『エルバート様を訊ねて、お国の兵士が屋敷の外に来ています。』と告げた。


 そのまま屋敷の戸を開けてみると、前回陛下からの手紙を持ってきた彼が立っていた。


 ああ、そうか、通信魔道具を持ってきて貰う様に伝えたんだったな。そう思っていると案の定彼は箱に入った魔道具を渡して自分の仕事はここまでなのでとそのまま去っていった。


 手紙には空いてる時間が書いてあり、今の時間帯も空いてる時間に入っていた。なので早速アカネや他の皆にも説明して魔道具で話し合いをする事にした。


「アカネ、準備は良いか?」


「ああ、いいよエルバート」


 と、言われた俺、食卓兼会議室にてこれからの事を知って貰う為にうちの主要メンバー勢ぞろいの状況でテーブルに置いた魔道具を起動させた。


 魔道具はアカネと俺を中心に映る様に置いているので、多分その両隣に座るジェニとアイリ位しか映って居ないだろう。そう考えて居ると、聞きなれた声が聞こえて来た。


「おい、エルバート無事か?」


 目の前の映像にはアラステアと国王が映っており、アラステアが心配そうに問いかけた。


「ああ、問題無い。魔王の恨みの対象も人族だったし一安心だ」


「エル! 魔王じゃないでしょ、アカネさんだよ!」


 そう伝えた俺にアイリからダメ出しを貰う。そしてアカネ自身も喋る様だ。


「言って置くけど、今の時代の人間には恨みは無いよ。私が仕返ししたいのはあいつだけ」


 と、アカネは女神をあいつと呼称した。これは打ち合わせ通りである。流石に女神を殺す、ハイそうですかと言う事にはならないからだ。曲がりなりにも女神である。そしてオルセンは三国で一番信仰の厚い国。


 そんな事情もあってこの国の人間には真実を伝えない方向で行こうと思っている。


「ふむ、話は分かったが、本当にその美しい娘が魔王なのか?」


「魔王じゃ無いですよ、前世の俺みたく復讐者になってそう呼ばれたそうです」


「なるほどのう。では、あと一人復讐相手がいると聞いて居るが、その後はどうする。む、わしとした事が……わしはオルセンで国王をやっておる、ジュリウス・グレゴリー・オルセンじゃ。よろしく頼む。」


「あ、はい。私の名はアカネ・ヨシノ。先日は私の所から抜けた者が大変な事を仕出かしたそうで。」


 アカネは国王陛下に向かって深く頭を下げた。


「ああ、それをまず説明しないとだな。あの町を滅ぼしたのはグラディスだった様です。結局は、奇しくも俺がとどめを刺したみたいですね。俺が先制攻撃をした後でも話に応じてくれましたし。組織から抜けたと言ってもアカネが力を与えた相手だから、攻撃されて当然だと言って貰えました。」


「エルバート、貴様! こっちは既に攻撃を受けているのだ、攻撃して当然なのは当たり前だろう!」


 うん、あーちゃん。確かにそうだよ。だけどさ、もう少し考えような? 一人で国を滅ぼせる力を持っている相手だぞ? 知らないかも知れないが不死なんだぞ? まあ、喧嘩になりそうなら俺が止めるけどさ。


「アラステアよ、少し黙って居ろ。これは国の大事である。エルバートが言いたい事はよう分かる。お主はこう言いたいのであろう? あの件はグラディスの独断で交戦意志は無く、話し合いの出来る相手であると。」


 国王陛下はアーちゃんを苛立たし気に黙らせて。話を進める。俺の伝えたい事も分かってくれていた様だ。


「ええ、流石は国王陛下、話が早くて助かります。」


「では、結論から伝えよう。その話を聞いた以上こちらも交戦の意志は無い。今後もこの通信で是非とも話をして友好を計りたい。」


 だよね。ぶっちゃけ、俺が仲良くなっちゃった的な事を言い出したらそれしか出来ない。俺がいなければ一人でもアカネは国を滅ぼせる力があるんだし。まあ、大規模魔法とか使えるのか分からないから体力的な意味で一人で出来るのかと言うのは疑問も残るが。


「よろしいのですか? 私は魔王と呼ばれた嫌われ者ですよ?」


 アカネは陛下に問う。真剣な表情で首を傾げた。


「うむ、エルバートの事だから三国と敵対しない様に言われているのであろう?」


 エスパーか! まあ、でも、普通は言うよね。


「え、ええ。探し人を見つけて貰えるならと、その条件は誓いました」


「ならば、構わん。確かめるすべは無いが、グラディスがやったのであればこちらとしても都合が良い。非道ではあるが、わしは今生きている民を何より優先するでな。じゃが、その誓いを破った時は。エルバート、分かっておるな?」


「ええ、忍びないですが、誓いましょう。ただ一つ。彼女やその周りに危害を加えた場合はやり返して良いと伝えてあることも了承してください」


「……それは仕方が無い事じゃの。しかと心得た」


 そうして、国王陛下との対談は終わった、はずだった。このまま通信を切るのかと思いきや俺を見てニヤリと笑みを浮かべ口を開く。


「お主……もう一杯いるから嫁は取らぬと言っていたはずじゃが……流石にその位美しい少女だと話は変わってくるのかの?」


 陛下のその一言にこの場の全員が陛下に向けていた視線を俺に向ける。ジェニ達は俺の心を揺さぶる視線を向けている。怒って居たり悲しそうだったり、訝しげな表情であったり。無表情であったり。


「現状ではそんな風には想っておりません。おそらくお互いに。」


 正直、今の所俺にはそのつもりは無いし、おそらく彼女もそのつもりは無いだろう。見ればわかると思う。だからこれは陛下の俺に対するあてつけと言うか虐めであろう。


 確かに無理を言った。少し位は我慢しよう。だが、他にもニヤニヤと二人笑っている者が居る。エミールとアラステアだ。俺はその二人に向かって物申す。


「エミール、アラステア。お前ら後で覚えてろよ。」


 国の王様に仕返しするのは大変なので、俺はこの二人に復讐する事に決めた。そうして俺は、陛下に断りを入れ通信魔道具を切り、急遽家で行われた国王陛下との対談は終了した。




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