敵は待ってくれない
現在、書き方が色々可笑しかった部分を修正中です。
内容自体は変わっていません。
三点リーダー、句読点などを必死に修正作業しています。
『』の使い方や行間などは、読みやすさに問題が無さそうなら
取り合えずこのままで行こうと思っています。
あれから、アシュリー殿の御屋敷を出て、王宮に在るアイリ達三人が寝泊まりしている部屋に転移した。この場所に転移する事について王宮からの許可も貰ってあり、俺はその足で国王陛下と面会してた。
最近は、緊急時である事もあり、謁見の間では無く豪華な応接室の様な場所で対談をしている。
そんな場所で俺はカディネット子爵の名前は出さずに、不満を告げていた。
「陛下、秘境の地に飛行した人影が飛び去り調査をしていたと言う話は本当ですか?」
俺は、少し苛立つ思いを抑え、先に事実確認をしようと問いかけた。
「うむ。だが、魔族かどうかの確信がない。それと、人影では無く、飛行した黒い鳥の様な人の様な物体の群れじゃな。過去にも飛行可能な魔物が領域をかすめる事はあった。ゆえに確認が必要でな」
「……そうですか。ですかこちらに何も言わずに調査を打ち切るのは流石に困るのですが」
「分かっておる。分かってはおるが、流石に兵に秘境の地の森を調べよとは言えぬ。一昨日報告が来てお主と会い次第伝える手はずだったのじゃ、そう怒るでない。今は国境の壁に見張りを立たせてある。何かあれば伝わる手はずにもなっておる」
確かに兵に、間違いかも知れないしどの森かも分からないけど全部調べて来いって訳には行かないだろう。それは全員死んで来いと言っているに等しい。
話を聞いて見れば怒る事では無いか。ガセ情報がどれだけ出てるかも分からないし……それを全部言われても困る。
「そうでしたか。俺の早とちりでしたね。失礼しました」
「よい。主の言いたい事も分かる。して、どうするのじゃ? 兵が必要なら用意するが……」
国王陛下は真剣な表情で問う。そうだよな、確かに深刻な状況だ、目撃情報が本当ならば群れと言う位だから結構な数が居るのが確定したと言う事になる。
「そうですね……調査なら単独で出来ますが、問題は逆に見つかってしまった場合ですよね」
そう、魔王と言う位だし、魔力感知でこっちの居場所を捉えられてもおかしくない。何故今攻めてこないのかは分からないが、相手を大きく刺激する事には変わらないだろう。
「じゃが、滅ぼされた町の件もある。奴らはどちらにせよ攻めてくると考えられる。ただ待つのも愚策じゃろう。戦力を集結させてから調査をするのはどうかの? と言っても、お主のパーティに頼るしかない訳じゃが」
「そうなるとここの守りが薄くなりますが、宜しいのですか?」
そう、ルディはもうミルフォードに戻っている。アイリ達を連れて行くとここを責められた時対応できるのはアラステアパーティーだけになる。レベルは400付近まで上げたが彼女達は戦闘経験がかなり少ない。まあ前回と同レベルなら圧勝出来るだろうけど。
「そこは覚悟を決めねばなるまいよ。それを言い出したらここ以外を犠牲にして待つか、お主たちを不利な状況で送り出すしか無くなるでの」
「はぁ、やるしか無いか。相手が転移を使えない事を願うのみですね」
「それはおそらく大丈夫じゃろう。転移魔法をイメージで行うのは至難の業なのだといわれておってな。魂に刻まれた大賢者の御業が無ければまず出来ないらしいのじゃ。旧魔族は文献では使えなかったと書かれている。魔王は分からんが他の者が出来る可能性は低いと見える」
それは良い話だな。放置してていい問題でもないし、居場所が分かったなら一刻も早い方が良いだろう。
「なら、早急に迎え撃った方がよさそうですね。はぁ、せっかくアシュリー殿に同行を頼んだのに」
「む、何の話じゃ?」
俺は、社交界に参加して挨拶周りをしようと思っていた事やその件でアシュリー殿に同行を頼んで居た事を話した。
「なんじゃ、そんな事か。国の危機を救おうと言う時に」
「いや、だからちゃんとこっちを優先してるじゃ無いですか」
「そうでは無い。この件、いや、この戦争を勝って収められればお主が主役で大々的な戦勝パーティーは確定じゃぞ? そんな中不興を買う様な行いをする者など居れば他からすぐ叩かれる。じゃからその事を気にする必要は無い。と言っておるのだ」
ああ、そうか。でもそれはそれで嫌だなぁ……やっぱり面倒事だらけだな。そんな事を考えて居ると、宰相である老人が血相を変えて部屋に入って来た。
「陛下、火急の要件にて失礼致します。魔族が進攻を開始しました」
「な、なんじゃと、規模と現在位置は把握しておるか?」
「王都に向かってものすごい勢いで飛行していったと、数は30前後との報告が入っております。如何なさいましょう」
「エルバートよ済まぬが時間が無くなった様じゃ、すぐに出て貰えるか?」
「分かりました、その位の数なら問題無いでしょう。ですが高速で飛ばれるのは厄介ですね、東門の方角から来ると見て良いですか?」
国王陛下の問いに答えた後。宰相に直接話しかけて配置の相談をした。
「ええ、国境の見張りの者が遠見の魔具を使い方向を確認した所、群れはばらけず真っすぐこちらに向かったと。その者が言うには後数時間で到着するだろうと」
「早いな……では、こちらも迎え討ちに行きますね。30分程時間を貰います。では一度失礼します。」
俺は状況を説明する為にアイリ達四人を連れて、屋敷に転移した。全員を集めている時間は無いのですぐに捕まったロルさんとパーティーメンバーのみで会議室に集まり状況を説明した。
「てな訳で、王都が数時間もしないうちに襲われるだろう。その防衛には元々予定していたアイリ達4人と俺が当たる。残りのメンツはこの村の防衛。来るとしたら王都の方角の可能性が高いから城壁の上で待機かな。村人は全員避難所に詰めてくれ。ここまでで質問あるか?」
「避難させるなら全員で行けばいいじゃない! それじゃダメなの?」
「いや、せっかくここまで作ったのに壊されたらどうするんだよ!軽く潰してすぐ戻ってくるから待っててくれよ」
ジェニはふくれっ面になったがそれ以上いう気は無い様だ。
「チェルシーこの光る球の予備のセットはあるか?」
「あ、はい。少々お待ち下さい」
相手にアイズを送る為の魔具を取りにチェルシーは会議室を出る、俺は他の者達にも支持を出していった。
「キャロル、予定通り頼むな。きつくなればジェニ達を呼ぶかこの村に避難しろ。状況を見て臨機応変にな。死ぬ可能性が出てきたら迷わず非難の方を選んで良い」
「はい、でも、私の転移だとまだ二人しか移動できないです」
「ああ、魔法陣の方で代用してくれ。お前の転移は不測の事態の為に使ってくれればいい」
戦闘で魔法陣破られたから逃げられないとか洒落にならないからな。
「ロルさんはもうこのまま避難誘導お願いします」
「はい、仰る通りに」
「ローズ、お前は避難所の中を見てやってくれ」
「畏まりました、ご主人様」
ロルさんとローズは顔を見合わせて誘導の為会議室を後にした。
「ミラ、敵は空を飛べる。撃ち落とすのはお前の役目だ。頼むぞ」
「うん、任せて!」
「まあ、前回と同じ強さなら雑魚だ。油断は禁物だが緊張し過ぎるなよ」
そう伝えて全員が頷くのを確認し、俺はチェルシーから魔具を受け取り王宮へと戻った。
俺は、陛下にアイズを送れる魔具を片方を渡して王都の東門外壁上部に来ていた。とても厚い作りになって居る。中に登り口があり、階段を使って上部に上がれるようになっていた。
「いやーうちの外壁と比べると天と地だな」
「馬鹿ね、王都と村が一緒だったらこっちがビックリよ」
俺の呟きにケイが反応して突っ込みを入れて来た。まあ、そうなんだけどね。でも羨ましい訳ですよ。
「じゃあキャロル転移魔法陣皆に配ってくれ。ああ、俺はいらないからな。」
「はい!」とキャロルは元気よく返事をしてアイリ達に魔法陣の付いた布を渡していく、そんな中外壁の中を登って来たものが居た。
「ほう、また何か卑劣な作戦でも思いついたのか?」
と、言う声を聴いて誰かを察した俺は振り返らずに言葉を返した。
「そうだよ。危なくなったら王都は良いから逃げろと伝えてある。わりぃな」
「馬鹿を言うな、そもそも軍人で無い彼女等に強制する権利は無い。謝るのはこちらだ……ア、アイリだったか、腕が痛いんだが。」
俺は何故アイリと思って振り返ると、アイリに腕を取られてひねられているアラステアが居た。
「エルを卑劣みたいに言うの、止めて貰えませんか?」
アイリはいつもの様な優しい笑顔を向けながらぎちぎちと腕をひねっていた。後ろを付いて来ていたアイナとエレクトラも突然の事に絶句している。
「ちょ、アイリ? ストップストップ。こいつこれでも王子だからね?」
アイリは『エルがそう言うなら』と手を放した。ケイとエティも言葉が出ないのか引きつった顔でアイリを見ている。
「エルバート、お前の嫁は冗談が通じないのだな。ともかく、此処で迎え撃つのだな? 俺達も参戦する事になっているのだが」
「あ~、うん、ごめんな。お前達と言うか、俺以外はそうして欲してくれ、俺は打って出る。魔王って奴がいたら危険だからな。最悪は強制転移でもう一度国の外へポイするから。」
「……そうか。そんな事も出来るのか。本当に頼りになる男だよお前は」
「私等ももう400レベルまで上げて貰ったしな。ちゃんと稽古もしたし今回はちゃんとやれるからよ。頼むな!」
エレクトラが屈託のない子供っぽい笑顔で手を上げながらそう言うと、場の空気がなごみ女性陣が独自に会話をし始めた。俺は俺で、アラステアと会話を続けた。
「そう言えばあーちゃんて飛んでる敵に攻撃する手段はあるのか?」
「む、そう言われてみると無いな。エルバートはどうしようと思っているのだ?」
「魔法で叩き落す。けど、だからって飛べなくなるわけじゃ無いからなぁ」
「ふむ、羽を優先的に狙えば良いのか?」
「どうだろうなぁ、多分それでイケると思うけど魔力使って飛べる可能性もあるだろ」
「そうか、あの時は我らが劣勢だったから飛ぶ必要は無く、お前が魔法で瞬殺したから脅威を感じなかったが確かに攻撃が届かない場所から魔法を打たれては魔法以外で対抗できぬな」
「今回もやれそうなら魔法で瞬殺を狙うけど、相手の強さが分からないからな。ちょっと見てくるわ。テレポート」
アラステアにそう伝えて俺は転移で移動しながら感知を最大限に広げた。
「あ~やっぱりいるな……魔王。一つだけ反応めっちゃデカイし、でも変な魔法持ってなきゃやれるかな」
そう思ったが、同時に変な魔法持ってるだろうなぁとも思った。古くからいる魔王だしね……と。そのまま転移で戻り、アラステア達に告げる。
「魔力の推定だとレベル250から400位かな。予想の範囲内だけど魔王っぽいのも来てるからそれが問題かも。やり合える強さだと良いんだけど」
「魔王の推定はどのくらいなのだ?」
アラステアは問題だと言う言葉を聞いた瞬間顔を顰め、問いかけた。
「あ~うん。900レベル付近じゃ無いかな?」
そう告げると、全員が青い顔になり、アイリが抱き着いて必死な表情で口を開く。
「ま、待って! ダメだよ! 逃げよう?」
「大丈夫。リミットオーバーすればやり合える範囲だよ。取り合えずやり合って様子を見ようか」
まあ、同じ位のイメージ魔法持ってたら即座に劣勢なんだけどね。と心の中で思っていたが、顔に出さない様に迎え撃つと告げた。
「じゃ。さっき話した通り、俺の魔法で叩き落すからとどめを刺してくれ」
はぁ。何だこの作戦……めっちゃガバガバなんだが。だけど300レベルクラスに200レベル以下の魔法当てても焼け石に水だろうしな。前世で即効性の高い最上級範囲魔法取って置けば良かった。あの移動速度から見てメテオじゃ絶対避けられて終わりだし。
仕方ない、アイスランス効いたし、今回もそれでスピード重視で翼を狙っていくか。
「さあ、そろそろ来るぞ、全員戦闘準備」




