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魔法使いが魔法使いになりたくて異世界転生をする(英雄の生まれ変わり)  作者: オレオ


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俺の友達は気苦労が多い、主に俺のせいで。


今日もいつもの様に屋敷の自室で目が覚めた。いや、いつもと違うか、隣にチェルシーが寝てるのだから。そして、横になったまま俺は思考する。


 昨日も密度の高い一日だったな、目的はほぼ達成出来た。まあ、鍛冶屋の娘のハーティだけしか勧誘出来ていないが、これからは発展と共に商人を送り込んで貰える事になった。


 ジェニ達に頼んで居た衣服関係と、緊急用の薬も手に入った。ミラも頑張ってくれて、畑の区画が4倍にまで広がった。やり残した事と言えば、ヘストンさんと後何度か話し合いをしながら条件を詰めて行く事位か。ああ、国王陛下に関税の事。主に、この屋敷の事も聞いておかないといけないな。


 ああ、そうそう、それと元奴隷達も、やっと回復が終わった。まあ、大変そうな者から治療していたから欠損が酷い奴等が終わったら割とサクサク終わったのだ。今度は違う場所でまた買いに行くのも良いだろう。まあ、アイリを遠ざけなきゃいけなくなるし、都合が合えばで良いか。


 それと、何と言っても一番はチェルシーが前世の事を思い出した事が一番だな。エティの時の事は正直忘れたいが、今回は素直に嬉しい。


 そんな風に昨日を振り返りまとめが一段落して、俺は何となくチェルシーの髪を弄っていると、不意に抱き着かれた。


「お、積極的だな。お返しだ」


「うぅぅん……お姉ちゃん、苦しい」


 チェルシーは寝ぼけている様だ。目も開けていないし夢の中なのかもしれないな。そんな風に考えて居ると彼女はいつの間にか覚醒していた。


「……」


 目をパチッと開けたがすぐ閉じて俺の脇の辺りに潜り込んだ。


「おはよ、チェルシー」


「……おはようございます。主様」


 彼女はそうは言いつつも潜り込んだまま出て来ない。まあ、まだ朝食には少し早いか、と笑みを浮かべてそのまま彼女と何気ない会話を楽しんだ。そうしているとすぐに朝食の時間になり、俺達はいつものテーブルに集まり、席についていた。


「今日からチェルシーがまたこの屋敷で生活する事になる。皆よろしくな」


 俺がそう言うとチェルシーが立ち上がり深く頭を下げた。もちろんアイリ達以外は知ってる間柄なので、気軽にお帰りと言われていた。ジェニも昨日の事は気にしていない様だ。


「あ~、その子がキャロルって子の姉妹のなのね?」


「は、はい、キャロルは私のお姉ちゃんです」


「私等も居候だし、かしこまんなよ。よろしくな」


「はい、よろしくお願いします」


「私アイリ、仲良くしてね?」


「ありがとうございます。よろしくお願いします」


 ケイ、エティ、アイリに声を掛けられチェルシーは全員に言葉を返した。そして紹介が終わったと思われるあたりでジェニがこっちを訝し気な表情で見ていた。多分前世の記憶の話を出していないからだろう。


「あ~、チェルシーは昨日前世の記憶を取り戻した。一応前世では俺の奴隷兼、妹だな。それで今はお前達と同じかな」


 俺は、恐る恐る言った。お前達と一緒かな。とは、彼女だと言う意味で言ったからだ。


「「「「ええっ?」」」」


「あ、じゃあルディ様と同じ?」


 アイリは首を傾げながらこっちをみた。


「はい、ルディは元気にしてますか?」


「……やっぱり違和感が凄いわね。呼び捨てだし」


 そうだろうな、ケイ達にとっては親代わり、同年代のチェルシーがいきなりそう呼んで居たら違和感はあるだろう。


「あ……ごめんなさい。えっと今は私もルディ様と呼んだ方が良いのでしょうか?」


 チェルシーは言われて気が付いた様で、焦り気味に問いかけた。まあ、でもなぁ……


「いや、止めてやれ。ケイもそんな意味で言った訳じゃ無い。ルディはお前たちを守れなかった事を心底悔やんでいるからな、様なんてつけられたら辛いだろう。多分青い顔して泣きそうになるんじゃ無いか?」


 そう、もう立場が無い感じになっちゃうだろう。あいつはホントに真面目だから。


「ルディ様がそんなエルみたいな感じになる訳無いだろ!」


 ……ん? 俺がなんだって?


「ほぉ? エティ、言うじゃ無いか……」


 俺は眉毛をピクピクさせながらエティに問いかけた。


「あ……いや、だ、だってよ。ルディ様はいつでも優しい笑顔なんだ。戦闘中に真剣な表情になるくらいで……」


「それと、俺を引き合いに出した事は関係ないだろっ!」


 俺はエティに手加減をしながらデコピンをした。すると彼女は『あいたっ』と言って、頭を仰け反らせておでこを抑えて涙目になっている。最近ようやく加減が分かって来たな、などと思いながらも一応彼女達に問いかけた。


「今回の件で記憶を戻す方法がはっきりした。俺がお前たちの前世の名前を呼べば良いだけみたいだ。まあどうするかはお前たちの判断に任せる。希望するなら言ってくれ」


 エミール、ローズ、エティとチェルシーはきょとんとした表情で周りを伺っている。ジェニ、ミラ、ケイ、アイリは固まったかの様に考え事をしている様だ。しばらく待ってみると、ケイが口を開いた。


「それって、前にも聞いたと思うけど、過去が増える感じなのよね?いきなり考え方を変えられたりしない?」


「それはどうだろうな。知ってる事が増えれば考えが変わる事もあるんじゃ無いか?まあ結局自分で考えて自分で決められるんだから俺は知識の多い今の方が良いと思ってるけど。そこらへんは人それぞれだろうから良く考えて決めると良いよ。どっちでも俺の気持ちは変わらない」


 ケイはその言葉を聞いて『そっか』と、呟いた後再び黙り、考え事を始めた様だ。


「ねぇ、エル。昔の私ってどんなだった? 記憶が戻れば人の感情に左右されたりしなくなるかな?」


 アイリは真剣な表情で問う。


「ああ、そうだな。真っすぐな人かな?俺の事を一番に考えてくれて、良く叱られた気がする。人の感情に引っ張られるって方はどうだろうな、緩和する可能性はありそうだけど、正直分からない」


 まあ、融通が利かなくて困らされた時もあったし、王子だったせいか崇められ過ぎて引いた事も多々あったが。そう、英雄教の第一人者は間違いなく彼女だろう。


「じゃ、じゃあ私、お願いしようかな。ちょっと気になるし」


 え? マジで? まあ、アイリが望むならいいか。きっとアイリはこの前の事を気にして緩和させたいんだろうけど。別に否定する理由も無いしな。


「ちょ、アイリ、本気なの?」


 ジェニが目を見開いて、アイリに問う。


「わ、私も! エル、私もやるぅ!」


 ミラも乗って来た様だ。


「そうね、エティを見る限り変わった様子が無いし、余り怖がること無いかもね」


 ケイもエティの結果を見て、悪い事では無いと判断した様子。


「はぁ。それじゃ私だけやらなかったら置いてかれちゃうじゃない」


 何だかんだで、ジェニも折れた。結局全員か。これはこれで困ったな。用事が無いならそれでも良かったんだけど、アラステアの所にも行かなきゃ行けないしな。あ、キャロルにも聞かないと。


「まあ、何にせよ一度に全員って訳には行かないかな。アラステアの所に行くのに仲違いとかされても困るし」


「え? 誰と誰が仲悪いのぉ?」


 ミラは首を傾げ、問いかけた。俺は、その問いに答えるか少し迷ったが、結局分かる事だし、と思い話す事にした。


「あ~、まあ、前世では、だけど。ジェニとアイリかな……」


 まあ、原因は主に俺だったし、喧嘩が始まるって事は無い、と思いたい。そしてそう告げられた二人はきょとんとした表情で見つめ合っている。まあ、そうだよな。アイリは割と皆と仲がいい、アイリを雑に扱うのはエティとケイ位だ。


「「……」」


「意外な組み合わせね。気になるし逆に早く記憶戻して欲しくなってきたかも。エティは分かるんでしょ?」


「あ~、私はちょっとしか一緒に居なかったしな……まあそれでも分かる」


「まあなんにせよ、さっきも言ったけど一度に全員は念のため止めて置く。今日一緒に行動するメンツだけにして置こう。他の者は明日な」


 そうすれば、俺が一緒に居る以上何かあってもどうにかしてやれるだろう。


「あ、じゃあ皆、お願い。今日の冒険は私行きたい」


 アイリは両手を合わせてつぶらな瞳をキラキラさせながらお願いした。思わず俺が許可を出そうとしてしまいそうになったが。その前にケイが発言していた。


「そうね、エティはもう済んでいるんだし、ミラちゃん行って来たら?」


「あ! うんうん、ケイちゃんありがとぉ。行きたーい」


 ケイにそう言って貰えたミラはガタッと立ち上がり、ケイにお礼を言いながら飛び跳ねた。


「また我慢かよぉ、じゃあ明日は私一人で行って良いんだよな?」


「あ~どうだろうな。冒険事態もうやらないかもしれないしなぁ。無くなっちゃったら埋め合わせに今日一緒に寝ようか? 久々にブラッシングしてやるぞ?」


 一人しょぼくれていたエティに俺は埋め合わせするからと言って言葉を掛けると。「分かった。や、約束なっ!」と、元気よく返事が返って来たので俺は安心して出かける準備を始めた。


「凄い食いつきね。私も今度お願いしてみようかしら」


 と、ケイが呟いているのが聞こえて来たので『ああ、もちろんいいぞ。今度な?』と声を掛けるとジェニが『性欲が無い方が積極的ってどういう事?』と、呟いていたが無視して、俺はアイリとミラを連れてアラステア達のいる町に転移していた。


「よし、先に記憶戻しちゃうか。アデル、アルファ」


 俺は町の人気の少ない場所に転移していた事もあり、彼女の言葉も待たずに記憶の引き金を引いた。やはり、名前を呼ぶことで発動したようで、彼女達は頭を抱え呻いた後、何も無かったかのように口を開いた。


「あはは、そっか、私お嫁さんにして貰う約束してたんだったね。うん、これからどう呼ぼうかなぁ、フェル様?は目立っちゃうか。エル様!どうしようかなぁ」


 アイリは照れくさそうに笑い、呼び方を考えて居た。


「うーん、予想してたのと違うかったぁ。でもいっかぁ。エルは私をちゃんと想ってくれるんだし」


「二人とも大丈夫そうだな。じゃあ、行くか」


 二人が頷いたのを確認して、俺は何でも屋の中に入り、声を掛けた。


「おーい、来たぞー」


 俺が声を掛けると、奥から話声が聞こえてすぐにアイナが出て来た。


「あれ?遊びに来たの?アラステア様からこれからは三人でって言われたけど」


 ああ、そう言えば王宮への送り迎えする時に念のため言って置いたっけ、でも確定ぽく話して無いんだけどなぁ。


「ああ、エルバート。今日は一緒に冒険するのか?」


 店の奥から平然と出て来たアラステアはもうここに住んでいる様だ。衣服も平民らしい物に変わっている。


「いや、アラステア次第だな、手伝って欲しい事があれば手伝うぞ?」


 そう告げると、彼は後ろ頭に手を当てて、少し気まずそうに言った。


「いや、三年も時間を貰えたのだ。正直に言うと自分の力でやってみたい」


 やっぱりな、前回の時もそれっぽい事言ってたしな。まあ、それはそれとして。


「だろうな、ああ、そうだ。紹介するよ。俺の彼女達だ」


「あっアイリです!よろしくお願いします」「ミラだよぉ、よろしくねぇ」


 二人は紹介のされ方に少し驚いたのか、佇まいを気にしながら口を開いた。アイナがあれ?と困惑しているなか。いつの間にか輪に入って立っていたエレクトラが口を開く。


「エルバートお前彼女何人いんだよ。騙してるんじゃねーだろうな?」


「7人だ、もちろん騙すような真似はしてない。まあ、事情もあるしあまり突っ込むなよ」


 と、俺がため息を付きながらエレクトラに答えると、それを見ていたアイリとミラが苦笑していてた。


「まあ、本人が納得してんなら私の口出す事じゃねーか。あっ、じゃあ、アラステア!私とアイナ、二人同時なら釣り合うんじゃねーか?」


 エレクトラは俺達がそう言われてなお、仲がいい所を見て、気が付いた様にアラステアに問いかけた。だが、それを聞いていたアイナは焦った様にエレクトラの肩を掴み揺らしながら言う。


「ちょっとクトラ、何言ってるのよ。私達二人で釣り合うなんて言って、失礼じゃない」


「エルバートお前のせいで二人が可笑しくなった……何とかしろ」


「何で俺のせいなんだよ……仕方ねぇなぁ、エレクトラ」


 自分で何とかしろと言いたかったが、アラステアの視線が二人に向いていて、自分に好意を向けてくれているのにあまりに寂しそうな目をしていたので俺は仕方なく引き受けた。


「あん? どした?」


「そう言うのはな、相手をまず本気にさせなきゃならない。だからな、耳を貸せ」


 俺がそう言いエレクトラを引き寄せると、ミラが楽しそうに混ざり、それをみたアイリも気になったみたいでこっそり聞いていた。俺は構わず小声で内緒話を続ける。


「それでな、男と女の何たるかはな、こうなってああなって、それを既成事実と言ってだな」


 俺は要点をしっかりまとめ素早く説明を終えると、三人は顔を真っ赤にして視線を泳がせていた。


「おい、エルバート貴様何をした!」


「アラステアの要望に沿うように俺なりにやってみた。まあ、俺に任せたんだ。しょうがないよな?」


 アラステアにとても良い笑みを浮かべて返した。


「はぁ、エルバートに任せた俺の落ち度か。勉強になった」


「良かったな。うんうん」


「貴様が言うな!」


 俺とアラステアがじゃれ合う様に言い合いをしていると、こちらをじっと見て少し驚いた表情をした後、こちらにまぶしい笑顔を向けた。


「ふふっ、仲いいんだね?」


「まあ、世間知らずで世話ばかり掛けるんだけどな」


 と、俺は呆れる様にアラステアに視線を向けると。彼はエレクトラに耳打ちをされていて、何故かガチギレしていた。


「はははは、そうかそうか、良いだろう。エルバートよ。それは俺に対する挑戦だな?受けて立とうじゃ無いか」


「え、いや、そんなに怒るなよ。アラステア、俺だってちゃんと考えてだな」


 やばっ、これは結構本気で怒ってるっぽい。


「お前が私の事を考えてくれてる事も分かっている」


 お、何だ。ビックリしたぁ本気かと思ったよ。


「だが、同時に本気で舐めて居る事もなぁ!!」


 と、彼はテーブルをガツンと殴り丸い木のテーブルがアラステアの腕の分欠けた。これはちょっと不味いな、と俺は彼と話し合おうと声を掛けた。


「あ~、アラステア、ちょっと話し合おう。テレポート」


 俺は、アラステアを店の横にそして彼女達をその壁のすぐ隣に転移させた。この店はかなり古いからいくらでも穴から見えるし聞こえるだろう。間違いなくアラステアは彼女達を思ってだろうから逆に聞いて貰おうとしたのだ。アイリとミラはあのままじゃ気まずいだろうからついでである。


「なっ、了承などしていないぞ! 貴様っ!」


 アラステアがそう言った瞬間壁の向こうの彼女達は壁に吸い込まれるように身を寄せた。だよね、まあ、場所をここにした時点でこうなるのは当然と言えるだろう。


「待てよ、どうしてそこまで切れてんだ? 事情話さねぇと分からないだろ」


「お前、本気で分かっていないのか? アイナとクトラを国の荒事に巻き込もうとしたのだぞ! 噂が立つだけで巻き込まれるのだ」


 ああ、やっぱりか、優しい奴だなぁ。


「ああ、そう言う事か。でも、そこはお前の気持ち次第だろう? まあ、確かに吹き込んだけどさ。行動するかはエレクトラ次第、受け入れるかはアラステア次第。お前が異性として見れないからもう止めろと言うならもちろん止める。ちゃんと謝罪もする」


 そう告げると、アラステアは歯を食いしばりこちらを睨みつけた。


「ぐっ、お前は本当に痛い所を平気で突いて来るな……俺が自由に嫁を選べると思っているのか?」


 はぁ、まあ、俺の勘違いじゃ無くて安心した。やっぱり少なからず想ってたんだな。あ~ちゃんは分かって無いんだろうな、痛いと思っちゃう事と、嫁を自由に選べないって言ってる事と、その表情をしている時点で好きだと言ってるようなものだと。


「ああ、選べるよ? まあ、多少苦労はするかもだから、まだ出会ってから時間の経っていない今の段階では覚悟も何も無いだろうけど、お前がそうしたいって言うのなら俺も全力で手を回す」


 そう、焦る必要は無い。けど、無理だと決めつけているよりは、やろうと思えば出来る。と思っていた方がいいだろう。


「何故……何も知らないエルバートがそう言い切れるのだ?」


「はっ、忘れたか? 俺の前世は王子だぞ? お前こそ、何故出来ないと思うんだ?」


「ああ、そんなのは決まりきった事だ。国を盤石にする為、血のつながりを大きな勢力と作らねばならぬ。そんな事はお前も知っているだろう? そして、周りもそれを狙っている。横から奪われればどうなる?」


 まあ、そうだな。でもこいつ忘れて無いかな?


「言って居る事は分かる。でも抜け道、あるだろ? アイナとエレクトラが例えば350レベルまで上がるとする。そうなれば一人一人が今居る大勢力よりも強いだろ? それを周知させるだけである程度認められるぞ。是非国に居て欲しいってな。てか、その上でお前が望めば誰も逆らえない」


 今は戦争が起きてまだ15年も経って無いからな、直接狙われなかったとはいえ最初はこっちに仕掛けようとしてたんだ。未だにこの国は、人族の国アルテミシアを恐れているはず。そこに来て350レベルを引き込めるとなればそれはとても大きなカードとなる。


 まあ王妃になるんだし、それはそれでどうなの?って話だけど。ごり押し出来る材料にはなるはず。陛下はルディを引き込むはずだったろうに、姉さんはミルフォード行っちゃいそうだしなぁ。


「……お前、いやそれは……だが、良いのだろうか? 父さまにも迷惑を掛ける事にはなる」


 流石アラステアだ、問題は起こるけど、行ける可能性もある事を把握したっぽい。


「良いに決まってる。俺の知る陛下ならそれを望むよ? あの人は状況が許す限り子供の幸せを望む人だろ。結構無理やりだけど状況は作れるんだ。陛下の望みを叶えて何が悪い。逆に望んでるんだから多少好きに生きてやれよ!」


 まあ、本当は国王の事そこまで知らないんだけどね。姉さんの時の反応を見る限りそうだろう。女の子限定! とかじゃ無ければ。


「……そう言う考え方も……あるのか。」


「ああ、どうするかはこれからの関係次第だろうが、選択も出来ないなんて見てるこっちが萎えるからな」


「す、済まない。ではもし、もしもその時が来たら、よろしく頼む」


 ほっとした。アラステアが道理の分かる奴で助かったよ。一度の話し合いで解決するとは思って無かったんだけどな。


「ああ、任せろっ!じゃあ、戻るか。テレポート」


「店の横なのだ、転移で戻らなくてもい…………何故お前たちは壁に張り付いてるのだ?」


 アラステアは、文句を言いながらも視線を回し、彼女達が壁に耳を当てている所を目撃した様だ。


「わぁぁぁ、エル、どうして転移で入って来るのよぅ!」


「えっと、ご、ごめんなさーい」


 ミラとアイリはそそくさと俺の横に移動して、アイリは必死に頭を下げていた。


「あ~、私達の事考えてああいう態度取ってたんだな。けど、余計な心配すんなよ。いや、違うな。これからは、ちゃんと言ってくれよ。もう私はお前から離れないからな」


「わ、私は嬉しかった。心配してくれてありがとう。わっ、私もそばに置いてくれますか?」


 エレクトラとアイナは二人とも真っ赤な顔をしているが、気持ちをちゃんと伝えられた様だ。さて、考える時間が吹っ飛んだあーちゃん、どうする?ああ、困惑しているな。助け船出して保留にさせるか。俺のせいだし。俺はそう思って口を開いた。


「まあ、出会ったばかりで時間も貰えたんだし、お互いゆっくり行けばいいじゃん。と言う事で俺は帰るけど、次はいつ頃遊ぼうか?」


「貴様、このタイミングでそれを聞くのか。はぁ、当分時間を空けろ。二人とちゃんと話し合って間柄が決まってからでないと貴様と会わせるのは不安過ぎる」


「あらら、随分な言われ様だなぁ……仕方が無いか。じゃあそのうちな」


「ああ、俺にはハニートラップの準備もあるしな」


 アラステアは真剣な表情で当たり前の様に言う。


「いや、マジ勘弁してください。てかお前俺の嫁に殺されるよ?」


「ふん、脅しを掛けようとしたって無駄だ。今まで会った四人は気立てが良さそうじゃ無いか。それに人を苦しめたんだ。お前も苦しんどけ」


「…………マジで止めてね? 言ったからな?テレポート。」


 俺は、アイリやミラがしっかりと俺が断るのを聞いてくれてるのを確認しつつ、血迷ってくれるなよと考えながら屋敷に転移した。


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