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魔法使いが魔法使いになりたくて異世界転生をする(英雄の生まれ変わり)  作者: オレオ


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テンプレを回避したつもりが結果的に戻って来た。


「じゃあこうしよう、アイナの家の者は俺が面倒みるよ。だから一緒に冒険しよう」


 そう、うちの村に来てもらえば人も増えるし一石二鳥。


「え? い、いきなりそう申されましても……それにまだお互いに何も知りませんし」


 まあ、それはそうなんだが。取り合えず強引に体験して貰おうかな。それから判断して貰うという事で。


「待て、エルバート。お前は屋敷に良い仲の者が居るんじゃ無かったのか? さっきまでハニートラップをあんなに怖がっていたのに、面倒見れるのか?」


 ふっ、恋人と冒険仲間は別物なのだよ。あまり冒険遊びに浸からなければ問題無いはずだ。


「大丈夫に決まってるだろ。俺は、嫁を探してるんじゃない。冒険者仲間だ!」


「そもそも、断られているでは無いか、アイナにも今までの生活と言うものがある。何でも金で解決しようとしてると、魂が汚れるぞ」


 むっ、確かに、金ちらつかせてアラステアと寝ろとか……良く考えたらこれじゃ悪代官みたいじゃ無いか。アラステアをからかう為だったけど、彼女にはとんでもない迷惑行為だったな。


「うっ、そうだな、アイナごめん」


「い、いえ、お気持ちは嬉しかったですよ。ではこれはお返ししますね」


 アイナは金貨を差し出して、困ったように苦笑した。


「いや、それだけは受け取って欲しい、俺よく考えたら失礼な事しちゃってたし、迷惑を掛けちゃったから……」


「お二人ともお金持ちなんですね。何度も突き返すのも失礼と聞きますし、ありがたく使わせて頂きます」


 アイナは金貨を握り胸に手を当てて深くお辞儀をした。


「うむ、では、取り合えずアイナよ、ギルド登録に行こうでは無いか」


 は? おい、お前今さっき止めろって言ったよな? えっ、何? 事情を無視して冒険に連れ出すつもりなの? それじゃ俺より厄介じゃね?


「お前、さっきそれは出来ないって言われただろうが。だからお前は俺を止めたんだろ?」


「何を言って居る。金で解決するのではなく、アイナ自身が稼げる様にしてやれば良いのだ」


「だから、それを元の生活を壊す行為だろ、って言ってんだ!」


「フンッ、そこからは自分で選べば良い、俺は強制してる訳では無い!」


 と、俺達の言い合いがヒートアップしそうになった頃にアイナが口を開いた。


「あのう……ああ、もう分かったわよ。安全なの選べば付き合ってあげるから。喧嘩はダメよ!」


 俺達は、アイナの口調がいきなり豹変した事に驚いて、思わず顔を見合い、硬直した。


「え? 喧嘩してたんじゃ無いの? まさか演技?」


「「いや、それはない」」


 俺達の声がハモった事に余計疑念を抱いた様な顔をしたが、アイナは『まあいいわ』と一言、言うとギルドの扉を開けて、『ほら、行くんでしょ?』と俺達を先導した。そして、アイナが登録を終えて、俺たちは依頼掲示板の前に並んでいた。


「おい、エルバート。どれにするんだ?」


「これなんかどう? 薬草採取。お小遣い稼ぎ位にはなるわよ?」


 アイナは少し離れた場所の低レベルの依頼書を見てそう告げるが、俺達が高レベルの依頼書の前に居るのをみてジト目を送っていた。


「あ~、じゃあこれにするか?」


 俺は、160レベルの魔物の変異種が混ざった群れの討伐依頼を剥がして手に取った。この依頼書によると、この群れは、森の中だけでなく、森周辺10キロ位までを行動範囲としていて、街道の多くが魔物の行動範囲にかぶっているらしい。群れの数は30にも満たない程度みたいだし、冒険するならアラステアには丁度良さそうだ。


「えっと、エルバート君で良いのかな?迷惑だし、受けられないのは取らない方が良いと思うよ」


 アイナは、ちょっと呆れた様に、悪戯しちゃダメだよ、とでも言いたそうに注意して来た。


「あ~そうか、じゃあどうするか決めよう。アラステアが厳しいと言うのなら止めて置こう」


 俺は、アラステアに依頼書を渡して、どうだ?と聞いて見た。


「……ほう、いや、悪く無いな」


 アラステアはじっくりと確認した後、乗り気の姿勢を見せた。


「よっし、じゃあこれ行くか。まあ、その前にアイナのレベル上げないとな。アイナが200レベルになったら行こう」


「……それは結果的に行かないって事よね?」


 と、俺達がそう言う言っている間に、オッサン一歩手前位の男が近寄って来た。


「おい、ガキ共、ここは遊び場じゃねーんだ。勝手に依頼書剥がしてんじゃねー。ぶっ飛ばすぞ」


 まあ……オッサンから見ればそうだよな、生活掛かってる仕事場で、見た感じまず関係無いものが仕事の書類を弄ってたらキレるだろう。俺は、穏便に事を運ぼうと謝罪から入った。


「すみません、出来そうな依頼と間違って取ってしまった様です。今すぐ戻しますね」


 どうせアイナのレベル上げしてからだし、その頃にはこいつは欲しい依頼とってどっかいくだろ。と、思って俺がそう言うと、アラステアも把握した様子で、頭は下げなかったが持っていた依頼書を掲示板に戻した。それを見たアイナもほっとした様子だ。


「これに懲りたら、ふざけて依頼書剥がすんじゃねーぞ!」


 と、オッサンは、俺に蹴りを放った。面倒だったので、食らって終わりにしようと思っていたのだが、何故かその間に入って来た物がいた。細く小さく整った顔立ちで、アイナと同じ茶髪で同じく一つにまとめているのだが、ぎりぎり結べる短さのせいかまとめた髪が明後日の方向を向いていた。そんな少女が青筋を立てた不敵の笑みを浮かべ、オッサンの蹴りを足で受け止めていた。


「おいおい、オッサン、謝罪をして依頼書を戻したのに、そりゃねーんじゃねーか?」


 少女は、オッサンの蹴りを足で止めたままの姿勢で言い放った。


「なんだ、他にもまだ居やがったのか。良いだろう、やりあ……教育してやろうじゃねーか。ちっと裏こいや」


 彼は、きっと、俺とやり合おうと言うのか? と言おうと思ったのだろう。だが、あまりに幼い相手に恥ずかしくなって、罰が悪そうに言い直した。


「いいぜ、私はそう言うの好きじゃねーんだけど、むかつくから付き合ってやる」


 少女は不機嫌そうに彼の後をついて行こうとした時、アイナが口を開いた。


「あっ、クトラッ! 無事だったんだね、良かった。生きてた……」


 アイナは目を見開き、アイナより2歳位下に見える少女に問いかけた。


「ち、ちげーし。ひ、人違いじゃねーかなぁ、ああ、ここはいいから、私に構わずに行っちまいな」


 少女は、あからさまにバレた、と言う顔でそう言いながらもギルドの外に歩いて行くその後に俺達も続いた。


「ちょ、何でついてくんだよ! 行けって言ってるだろ」


「やだよ、クトラが心配だもん」


 そんな二人の会話に耳を傾けながら俺達はギルドの周りをまわって裏手に歩いていた。


「だから人違いだって、私に妹はいないし」


「え? 姉だったの? そんなちっちゃいのに……」


 俺が思わず口を挟むと、少女むきになって口を開いた。


「ばっ、どう見たって私の方が大人だろうが!」


 そうは言うが、アイナは身長155センチ程度だろうか? それに対してクトラは140センチちょっとと言う所だろう。


「クトラ、変わんないね。でも、元気で良かった」


 アイナが涙ぐみながら、再開を喜んでいると、クトラと言う少女はばつの悪そうな表情をした後、アイナに言葉を返した。


「……家には帰んねぇからな。あいつらにもそう言っとけ」


 そうか、家出中なのか、やんちゃそうだしな。喧嘩でもしたのかな?


「あの人たちは二年前に死んだよ。盗賊に襲われたって」


 ……思ったよりヘビーな話っぽいな。二年以上の家出に両親の死か。だが、もうギルドの裏手についているんだが、オッサンはこっちに振り返って準備万端だ。だけど今話に割って入るのもなぁ。


「なっ、なんでだよ! そんな金うちにはねーだろ?」


「乗り合いの馬車で移動中だったみたい、生き残りの商人さんが教えてくれた」


「そ、そうか。あれっ……二年前ってお前達どうやって暮らしてるんだよ」


 と、二人の話が止まらなくなりそうになっていると、裏手に着いてからも放置されていたオッサンがアイナに蹴りを放った。


「てめえ等、さっきから随分舐めてくれてんじゃねーか、よぉっ!」


 おっさんは、体の姿勢から見ても大分手加減をしている風だった。だけど、低レベルのアイナにはそれでも物凄く痛いだろうと、アイナを引っ張って蹴りの軌道から外した。アラステアとクトラも同様に助けに入ろうとしていて、アラステアは先ほどのクトラの様に彼の蹴りを足で止めて、クトラはアイナの前に立ち防御姿勢を取っていた。


「おお、そっか。アイナには守ってくれる奴が出来たんだな」


 クトラは、俺達をみて安堵した表情を浮かべ呟いた。その後オッサンを睨みつけながらゆっくりと前進して、回し蹴りを放った。その蹴りをガードしたオッサンは驚愕の表情を浮かべた。


「てめえ、ガキの癖しやがって。レベルはいくつだ?」 


「ああ? なんでそんな事教えてやらなきゃならねーんだよ。喧嘩売って来たのはそっちだ、情報を与えてやる義理はねーな」


「ちっ、そうかい。まぁそれじゃ……仕方が無いな」


 そうつぶやく様に口にした後、オッサンはさっきの倍速位の動きでクトラに近づき、流れる様にボディブローを放った。だが、その動きですらクトラには余裕があった様だ。クトラは体を回転させながらボディーブローを片手でいなし、その回転の勢いに任せて後ろ回し蹴りをオッサンの背中に決めた。ボディーブローをいなされた上に、回し蹴りが直撃したオッサンは地面に叩きつけられた。


「ぐはっ」


「これで分かったなら、次からは絡んで来ない事だな。次は容赦しない」


 クトラは腰に手を当てて、鋭い目を向けてそう言い放った。オッサンは不快ため息を付いた後、口を開いた。


「はぁ、悪かった。依頼をこなせるんなら文句はねぇ。もう絡んだりしねぇよ」


 そう言って肩を抑えながら歩いて行った彼に俺はさりげなくついて行き、声を掛けた。


「すみませんでしたね。好意でしてくれてたんでしょうけど、あいつらまだ子供ですから」


「ちっ、なんだ? 笑いに来たのか?」


 俺が言葉を掛けに来た事が心境的に気に入らないであろう彼は不機嫌そうに口を開いた。


「いえ、貴方がさっきの段階でも手加減してくれてたのは知ってますから」


 俺は、ギルドの中に戻ろうとしている、彼について行きながら言葉を返した。


「はっ、最近のガキはおっかねぇな、どうなってんだ?」


 彼は思いっきりげんなりした表情を作り、天を仰いだ。


「ハイヒーリング。ええと、俺はエルバートです。多分しばらくはこのギルドを利用させて貰うので、よろしくお願いします」


「はぁ? 上位のヒールだと!? こりゃすげぇ。ああ、そうだな。冒険者は利害が一致すれば助け合うもんだ。俺の名はヘイルだ、何かあれば相談しな」


 俺がヒールを使える事を知った瞬間、ニヤリと笑った彼は、名を名乗り、利害が一致すれば助けてやると言って、片手を上げてギルドの中に入って行った。そして、俺は彼女達の所に戻ろうと踵を返すと、いかにもずっとここで待ってました、と言わんばかりにアラステアが腕を組んで壁に背を預けながら立っていた。


「なるほどな、何をするかと思えば、確かに遺恨を残さない方が正解だろう。だが、どうして奴が本気じゃ無いと分かった」


 アラステアは、おおむね理解したものの、唯一残った疑問を投げかけた。


「ああ、まあ、簡単に言うとだな。腰に短い杖を差していたからな。あの人は魔法使いだろう」


「ほぉ、魔法使いであれだけ動けるという事は相当の手練れか?」


 アラステアは深刻な表情を浮かべて問う、えっと……もう敵じゃ無いんだが、どうしたの? 戦いたいの? いや、純粋な興味かな、そう願いたい。でもあの国王の子だもんな……戦うの好きそう。


「あ~魔法使いだから、って考えはしない方が良いぞ? それに魔法はピンキリ過ぎるから、見てみない事には何ともだな。まあ少なくても武器になる物があれだけなんだ、飾りじゃ無いだろ?」


「ふむ、魔法使いでも動きの方は訓練しだいか、いや、魔法が奥の手と言う線も……難しいな。だが、楽しくなって来たな、エルバート」


 いやいや、まだ冒険始まって無いからね? と思っていると、アイナとクトラがギルドの壁から顔半分を覗かせ盗み聞きをしている所を発見した。思いっきり聞き耳を立てていた。


「なぁアラステア、お前アイナとクトラどっちが好みだ?」


「いっいきなりなんだ。そう言うのはバーティーを乱すと聞いたが、まあ、子供には興味が無い。とだけ言って置こう」


 ほほう、アイナ君がいいのだね?と、思っているとクトラが出て来て、アラステアに声を掛けた。


「あ~、そのだな、私の魅力じゃしょーがねーかもしれねーけど、妹の男は取れねぇって考え直せ」


 クトラが顔を赤くして、頭をかきながらアラステアにそう告げた。それをみたアイナがそそくさと出て来て否定する。


「ちょっとクトラ、そう言う関係じゃないから、さっき知り合ったばかりのお客さんなの」


「んあ? そうなのか? よし、じゃあいいか、顔は好みだし、良い奴そうだから、私に勝てたら付き合ってやる!」


 クトラは腰に手を当ててふんぞり返りながらも、目をぎゅっと瞑り、口を引き絞り顔を真っ赤にしてそう言った。何こいつ、可愛い。ミラ的な意味で。


「なっ、いきなり何を言って居るんだ。言って居るだろう。そう言う行為はパーティーの輪を乱すと」


「あん? あたしもパーティーに入って良いのか? そっか、あたしつえーしな。いいぞ!」


 クトラは自問自答した後パーティに入ると決めた。そうして、姉妹の女の子二人をゲットしたのだった。そして、ここから、俺達の……いや、王子の初めての冒険が始まる。


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